がん専門薬剤師とは

がん専門薬剤師は一般社団法人日本医療薬学会が主催している認定制度。がん領域に対する薬物療法を円滑に進めるために設けられた制度です。

がん医療は年々高度化しています。その分進歩してきたと言えるのですが、難しさも増しています。それに伴ってがん薬物療法についての高度な知識や技術を有する薬剤師を育成することを目的として開始されたというわけです。

がん専門薬剤師は全国においてまだ70名足らずといったところで、まだまだこれからといった感じですね。

がん専門薬剤師の仕事は、がんの薬物治療にあたって、患者さんひとりひとりと向き合い、それぞれに合った抗がん剤を選び、副作用の対策を考えていくこと。患者さんに対する服薬指導も行います。日々患者さんと真正面から向きあって、患者さんから信頼されるような人間になることが大切な役割です。

がん専門薬剤師に必要な知識や技術

がん専門薬剤師に必要なのは、がんの薬物治療に関する専門的な知識。特に、抗がん剤に関する深い知識を持っている必要があります。薬剤師としての総合的な知識や技術はもちろんですが、それよりも「がん」に特化した知識と技術を持つ「がんに関する薬物療法のエキスパート」としてのスキルが求められます。

また、がん専門薬剤師にはそういった専門知識だけではなく、患者さんに信頼される人柄が必要です。患者さんひとりひとりと向き合って薬物療法をする必要があるので、患者さんひとりひとりに信頼されなければ話になりません。

患者さんがいざというときに頼ってくれるような人間であること。医者にも言えないようなことや、言いそびれてしまったことなどを「どうしよう話しにくいなあ」と思われずに、安心して話してもらえるような人柄であることが求められます。

その他、薬の説明などに関しても、薬の効果や副作用などについて説明するだけではなく、自己管理をしてもらえるように説明することも大切です。

がん専門薬剤師になるには

資格取得条件について

がん専門薬剤師の資格を取得するためには、日本医療薬学会が行う試験に合格しなければいけません。その受験資格としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 薬剤師としての実務経験が5年以上あること
  • 日本医療薬学会の会員であること
  • 日本医療薬学会認定薬剤師・日本病院薬剤師会生涯研修履修認定薬剤師・薬剤師認定制度認証機構によって認証された生涯研修認定制度によって認定された薬剤師であること、または日本臨床や栗学会認定薬剤師であること
  • 日本医療薬学会が認定しているがん専門薬剤師の研修施設で、研修カリキュラムを5年以上履修すること
  • 認定対象となっている講習を受講して決められた単位以上を履修していること
  • がん患者への薬剤管理指導の実績を50症例以上有して、そのうちの50症例を提出すること

とても多くの受験資格があり、試験を受験するまでが大変ですが、がんという難しい分野に関わることなので、その難しさはある種当然と言えるでしょう。

試験について

試験の出題範囲は、「乳がん・肺がん・消火器がん・婦人科領域がん・造血器腫瘍・頻尿器科領域がんについて」「臨床試験について」です。それぞれに関する大まかな知識から深い知識までが問われることになります。

実際には「次の乳がんに関する記載について正しい組み合わせを選びなさい」というような選択問題が出題されます。

合格率は例年50%前後となっており、それなりに難易度は高いです。100人いたら2人に1人は落ちている計算になりますからね。

試験勉強に関しては、各出題範囲に関する参考資料などを見ておくといいでしょう。参考資料に関しては例えば、日病薬・集中教育講座で配布されている集中教育講座テキストや、南江堂にて発行されている新臨床腫瘍学などがあります。

それらをよく読みこんで勉強をし、研修をきっちりと受け、その内容を反復学習することが、がん専門薬剤師の試験に通るために必要なことです。

がん専門薬剤師の活躍の場

がん治療を行っている病院が、がん専門薬剤師として活躍できる場所になります。「がんのエキスパート」としての責任が発生し、同時に医師などからも「がんの専門家」として信頼され仕事を任されるでしょう。