私は薬剤師資格取得してすぐに調剤薬局で勤務を数年間経験したのち、周りに病院で働く薬剤師の友達が多いこともあり病院での勤務に興味を持ち始め色々調べる中で調剤薬局と病院との違いが多種多様で、人それぞれ合う、合わないがはっきりと分かれるものだと感じ始めました。

最終的に病院での勤務を開始したのですが、私には合わない点が多かったようです。

調剤薬局の薬剤師から見た、病院薬剤師のメリット

調剤薬局に勤務している時は、服薬指導時に患者さんに症状や病名を聞こうと試みても「なんで病院の先生に説明したのに、また薬局に来てまで同じとを言わなきゃいけないの?面倒くさいから早く薬ちょうだい!薬剤師は薬だけ出しとけばいいでしょ!」と言われ続けていました。

薬歴に何か情報を残そうと何とか会話から症状を読み取ろうと必死になっていました。法律上も薬剤師は診断名を知る権利はないと記載されており、医師から診断名を聞くことは難しく、処方箋から診断名や症状を詳しく読み取るだけの知識を得るまでは苦戦していました。

しかし、病院で働く薬剤師の友人と話していると、「カルテはいつでも閲覧可能だから、処方箋を見てなんか変だな・・・これはなんで処方されているのかな?と思ったときはカルテを見て、その患者さんの症状や診断名を確認し、それでも処方薬に疑問があれば医師に疑義する」という話を聞き、調剤薬局だけしか経験していない時の私には大変衝撃的でした。

医師への疑義照会は門前の病院の場合は顔なじみで少し気が楽ですが、広域からの処方箋の場合は医師との面識もなく疑義をするのは非常に緊張します。また、FAXでの疑義対応の病院の場合、FAXを送信してもなかなか気づいてもらえないことも多く、結局は直接電話をして催促や確認をするなど手間と時間が余計にかかります。

病院内だと医師との面識ももちろんあるし、問い合わせもしやすい環境でしかもカルテが閲覧できるなんて、とても仕事がしやすいし、処方箋とカルテを見て勉強にもなり、自分自身の知識の向上にも最適でメリットだらけだと考えていました。

病院薬剤師として働いて実感したデメリット

実際に病院に勤務して感じたことは、なんとデメリットばかり(!!)

調剤薬局に比べて格段に患者さんと接する時間や機会は減ります。患者さんの名前は処方箋で覚えるけれども顔を見る機会は全くありません。1日中病院内の調剤室に閉じこもったままで完全に調剤マシーンとなっていました。

病院という様々な医療スタッフと同じ空間で医療に従事していけると思ったのに、完全に薬剤師は別の空間で別扱いをされている気分でした。他の医療スタッフは連携していると思いますが、薬剤師はあまり連携の中に入れていません。

人と会話するのが大好きな私にとって、狭い空間の中に閉じ込められて黙々と調剤をするのは苦痛以外の何物でもありませんでした。確かにカルテは簡単に見ることが可能で、診断名もすぐにわかる。友人から聞いていた時はとても魅力的だったのに、実際にそれが可能な環境になるとそんなに頻繁にカルテを確認するものでもなく、魅力も全く感じませんでした。調剤薬局時代の自分はないものねだりをしていたのだろうか?と感じるほどです。

調剤薬局勤務時も、同じ作業の繰り返しでいったい何をしているのだろう。このままでいいのか?と常に自問自答していましたが、病院で働くようになってから調剤薬局勤務時以上にそれを感じました。

薬剤師と言っても病院と調剤薬局とでここまで仕事内容が変わるのかと本当に驚くことばかりです。仕事内容は同じ『調剤』として区分されますが、同じものとして考えていいのだろうか?と思います。

人と接することが苦手だと思う人は、病院での勤務もそれほど苦にならないかと思いますが、私のように患者さんと直接接して会話をしたいと考えている人は調剤薬局のほうが満足のいく仕事ができると思います。