学校薬剤師の給料

学校保健安全法によって大学を除く学校すべてに置かれる学校薬剤師。学校医や学校歯科医などと連携して仕事をすることが多く、薬剤師の職場としてはかなり特殊です。そんな学校薬剤師の給料は、一体どれくらいもらっているのでしょうか。

学校薬剤師の給料相場

学校薬剤師の給料の相場についてお話します。

学校薬剤師の仕事だけをしているのではない

学校医師や学校歯科医がイメージしやすいので引き合いにだしますが、自分がかつて通っていた学校の歯科医や医師たちを思い浮かべてください。その人たちは地元の有名歯科医であったり小児科の先生だったりしていたと思います。

学校薬剤師も同じような感じで、学校薬剤師の仕事だけをしているわけではありません。学校薬剤師というのは、それなりの地位をもって働いている薬剤師でないとなれないものなんです。薬剤師会の正会員であることを条件にしている市町村などもあります。

多くの学校薬剤師は、自分自身で薬局を開業していたり、どこかの薬局の管理薬剤師や薬局長です。そういった役職や地位がなければ、まず学校薬剤師になれません。当然給料も学校薬剤師としての給料ともともとの職場での給料が合わさることになります。

そのため、学校薬剤師は年収が高いことがほとんどです。

具体的な相場

学校薬剤師は年収が高いとはいっても、学校薬剤師としてもらうことのできる給料というのは、一ヶ月で何十万というものではありません。それだけで生活していくことのできる金額をもらうことは無いです。

では大体どれくらいなのかというと、教育委員会によって異なりますが、相場は大体年に7万円から15万円ほど。これは月収ではなく年収になります。ほんの副業程度か、それ以下といった感じの金額ですね。

そもそも学校薬剤師というのは、常駐しているものではありませんし、一ヶ月に1回学校に行くか行かないかという勤務日数・勤務形態になっています。そう考えると十分の金額のようにも思えますが、職責の重さを考えてしまうと少し少ないかなと思う人が多いようです。

もともと行っている仕事の給料とあわせると、年収600万円や700万円などになりますが、それはほとんどが学校薬剤師としての給料ではなくてもともとの薬剤師としての給料になります。地位が高いので、給料も必然的に高いというだけですね。

学校薬剤師の給料の地域差

学校で働く薬剤師の給料は、各教育委員会によって変わります。平均は先ほども述べたように7万円から15万円となっていますが、地域によっては年間で2万円しかもらえないというところもあったりと、その下限はかなり低いです。

幼稚園や小学校、中学校や高等学校のホームページなどで学校薬剤師の報酬が公開されている場合もあるので、学校薬剤師について、近くの学校で正確な報酬を知りたい人は、確認してみるのもいいですね。

給料と仕事を照らし合わせた働く意味

年間2万円の報酬のところもあったりするので、「頼まれてもやらない」と思う薬剤師も多いようです。仕事内容は多岐に渡りますし、子供の命に関わることもあるので責任はとても重たいものですよね。そもそも学校薬剤師が誕生したのは「風邪薬と間違えて消毒殺菌剤を飲ませてしまい、その2日後にその児童が死亡した」という事件がきっかけのもの。

学校での薬剤師業務にはそれだけの責任が伴います。そう考えると、報酬に比べて責任が重過ぎるため、やりたくないと考えるのは必然。

そこで実際に学校薬剤師が学校に出向いて行う仕事と、実際にその仕事をこなしているかどうかの割合を考えましょう。多くの学校薬剤師は、定期検査などには学校にいきます。定期検査とは別に、臨時で検査がある場合もあるのですが、それにちゃんと行く薬剤師は、全体の2割もないくらい少ないようです。

保健委員会への出席率も悪く、それでも同じ学校薬剤師を任され続けていることが多いそうですよ。給料面だけで考えると行く意味が無いと感じているからこその割合の低さですが、それでもやっていけるようなので、学校薬剤師になる意味が無いわけではなさそうです。

まとめ

学校薬剤師の給料は、もともとの職場での給料に上乗せという形。年に7万円から15万円ほどで、2万円のところもあったりと、かなり低いです。

給料だけを考えると、どうも意味が無いような気がしますが、学校薬剤師は給料でははかれない魅力があります。子供たちの将来を担う学校薬剤師の仕事は、とても意義のあるもので、そういった給料以外での魅力を強く感じ取れる人には向いているかもしれませんね。