管理薬剤師と学校薬剤師

学校薬剤師は兼務が可能

管理薬剤師といえば兼務ができませんが、学校薬剤師であれば都道府県知事の許可を得ることで兼務が可能となります。学校薬剤師の業務は、管理薬剤師をしている・薬局の店長をしているといった、管理業務の経験が問われる仕事が多いため、基本的に薬局開局者や管理薬剤師が行うことが多いです。

学校における薬剤師の役割

学校における薬剤師の役割というのは、生徒の安全を守ることです。とは言っても非常勤での仕事になります。学校薬剤師の役割を知るには、学校薬剤師が誕生したきっかけについて学ぶと早いです。

それは、北海道の小学校で発生したことでした。昭和5年、北海道のとある小学校にて、生徒に風邪薬を服用させたつもりであったのにも関わらず、その生徒が2日後に死亡してしまったのです。先生は風邪薬と間違えて、殺菌消毒剤として使われる塩化水銀を飲ませてしまったため、死亡してしまいました。

この事件があってから、同じような事故を防ぐため、学校薬剤師が配置されることになったのです。

給料低いが臨時収入程度にはなる

学校薬剤師は、その役割の重要さと比べると給料が低いです。常勤ではなく、1ヶ月に1日程度の出勤になります。教育委員会によって金額は異なるのですが、大体年に7万円から15万円程度が相場です。本業プラスの臨時収入といったところでしょう。

学校で働く管理薬剤師の仕事

保健室・理科室の薬品管理

学校で働く管理薬剤師の仕事で、最もイメージしやすいと思われるのが保健室・理科室においてある薬品の管理です。品質を管理するということはもちろんのことですが、薬品がしっかりとした保管状況で保管されているのかをチェックすることが大切になります。

使用上の注意点などがあれば、各教員に指導・アドバイスを行い、普段からしっかりと管理ができる状態にするのです。理科室には劇物もありますから、より注意深く指導を行います。災害時に薬品をどうするかなどについても、教員と確認をしておきます。

飲料水やプールの衛生管理

近頃の学校にはウォータークーラーなど飲料水を用意しているところがあります。そういった飲料水の品質に関しては薬剤師が管理しているのです。飲料水の水質を検査し、飲んでも大丈夫かどうかをチェックする。ウォータークーラーが無くても、水道水が飲むことが可能な水準に達しているかをチェックする仕事もあります。

また、夏になればプールの衛生管理をするという仕事もあるのです。学校でのプール開きがある際、早めに登校したら見慣れない人がプールの水をチェックしているという様子を見たことがある人も少なくはないでしょう。

それが、学校薬剤師だというわけです。生徒が安全に泳ぐことができる状態にあるのかをチェックし、塩素をまき、塩素濃度を管理します。

タバコ・薬・薬物乱用についての指導

未成年のタバコ・薬物乱用が問題になっています。違法薬物や脱法ドラッグと呼ばれてるようなものだけではなく、市販薬の飲みすぎ(オーバードラッグ)に関する注意勧告・指導を行うのも学校薬剤師の仕事です。

保健だよりなど、生徒に配布されるプリントによって呼びかけを行ったり、薬物乱用防止のパンフレットなどを学校側に配ってもらうなどして指導を行っています。場合によっては、薬剤師が講演を行うこともあるようです。

照度や空気検査

これは薬剤師の仕事としてイメージしにくいことかもしれませんが、学校で安全に生活できる環境を整えるという意味では他の仕事と変わりありません。学校全体の照明の照度や、空気を検査します。照度は低すぎても高すぎても目に悪いですし、日々吸い込む空気が悪ければ、あらゆる健康被害を引き起こします。

それを防ぎ、生徒が安心して安全な学校生活がおくれるようにするのです。

まとめ

このように、学校で働く薬剤師の仕事は他の企業や薬局で働く管理薬剤師の仕事と変わりありません。その場所の環境を整え、清潔にし、薬品や薬剤・健康に関わるすべてのことを管理するのが、学校での管理薬剤師の仕事です。

学校薬剤師に管理薬剤師などの管理者が多いのも、納得ですね。