病院薬剤師の仕事って独特の感じがありますよね?

仕事量が膨大でスタッフは常にピリピリしており、小さなミスも許されない。そんな雰囲気の中で神経を張り詰めながら働いている方も多いのではないでしょうか?

なかには「もうこんなきつい仕事や雰囲気にはついていけない!」と感じている方もいることでしょう。

こうした環境の中で仕事を続けて行くためには慣れや経験も大切ですが、状況に即した適切な対処法を身に着けておく必要もあります。

そこで、今回は病院の仕事についていけないと感じている薬剤師の方を対象に状況別のアドバイスをまとめてみました!

調剤のペースについていけない

病院の薬剤部は朝と夕方に処方箋が集中する傾向があり、毎日、短時間のうちに大量の処方せんを処理する必要に迫られます。

通常、病院はどこも人手不足のため、少ない人数でテキパキと処理していかないと、いつまでたっても調剤が終わらずに次の仕事に取り掛かることができなくなります。

特に夕方に各病棟から回ってくる処方箋を効率よく処理できないと残業になってしまい、家に帰ることもできません。

ベテランの薬剤師ならともかく新人や不慣れな方ではどうしてもモタついてしまい、毎日残業になってしまうこともよくあります。

自分の仕事のペースが遅いために同僚の薬剤師の足を引っ張ってしまい、周りから白い目で見られるなど肩身の狭い思いをしている方もいることと思います。

それでは、調剤のスピードをあげてテキパキと仕事をこなせるようになるにはどうすれば良いのでしょうか。

これは中々難しい問題であり一朝一夕でどうにかなるものでもありません。たくさんの処方箋を調剤し、少しずつ経験を積むことでスピードアップが図れるのであり、そこに辿り着くまでには一定の年月がかかります。

このためまずは、調剤とはそういうものだと初めから割り切ったうえで地道に習得していく姿勢が大切となります。

そのうえで、効率よく仕事をこなしている先輩や同僚の仕事の仕方を良く観察することも必要です。

ピッキング時にはどのような順番で棚を回っているのか、一包化調剤や監査はどういう手順で行っているのかなどを詳細に観察し、参考になるところはどんどん真似ていくようにしましょう。

また、思い切って先輩や同僚にアドバイスを求めるのもおススメです。求められた方も自分が頼られていると分かれば悪い気はしないものです。

親切にコツを教えてもらえるだけでなく、周りの人たちと親しくなれるチャンスでもあるので勇気をもって話しかけてみると良いでしょう。

「自分はダメなんだ!」などと思い悩まずに、「最初はダメで当たり前。自分もみんなと同じペースでできるように少しづつステップアップしていこう!」という前向きな姿勢で臨むことが何よりも大切であると言えるでしょう。

病棟業務の雰囲気についていけない

病棟は薬剤部と違い、医師、看護師、患者さんやご家族など様々な人が行き交う場所であり、病院ならではの場所と言えます。

病棟業務にこそ、病院薬剤師としての仕事のやりがいを感じている方も多くいらっしゃいますが、中には病棟の雰囲気に馴染めない方もいるのではないでしょうか。

例えば病棟に設置されているナースステーションにはたくさんの看護師さんが常駐していますよね。

看護師は一般に気の強い人が多く、病院では薬剤師よりも立場が強いことが多いため、ナースステーションの雰囲気を苦手とする薬剤師の方も多いと思います。

私の知り合いの薬剤師もナースステーションで薬をセットしているときに看護師から「邪魔だからそこどいて!」と怒鳴られることがしょっちゅうあり、「病棟業務は毎日、気苦労が絶えない」とこぼしていました。

病棟業務では様々な職種のスタッフや患者さんと円滑にコミュニケーションをとる能力が強く求められるため、人見知りな方や口下手な方にはかなり辛い業務と言えます。

積極的に会話をもちかけることで良好な人間関係を築くように努力することも大切ですが、中にはどうしても苦手という方もいることでしょう。

自分が病棟業務の雰囲気にどうしても馴染めないと感じている方は、思い切って上司に相談して担当業務を変更してもらうのも一つの手段と言えます。

不向きな人に無理に病棟業務を担当させていると、他職種のスタッフや患者さんからのクレームにもつながり兼ねないため、上司がそれなりの配慮をしてくれることも多いです。

人によっては調剤や注射剤調製などの対物業務が向いているかたもいるため、いつまでも慣れない雰囲気を我慢し続けるよりも、配置転換を申し出る方が業務の負担の軽減につながります。

薬剤部の閉塞的な雰囲気についていけない

病院薬剤部の大きな特徴として人事異動が少ないことが挙げられます。

調剤薬局やドラッグストアなどでは通常、定期的な異動があるためスタッフも目まぐるしく移り変わっていきます。

これに対して病院では一部の国公立病院を除いて人事異動が少ないため、基本的にずっと同じ顔ぶれで仕事をすることになります。

定年退職や転職などで稀に人の入れ替わりはあるものの、他の職場に比べると同じメンバーで仕事を続ける割合が圧倒的に高くなります。

このため、薬剤部では固定メンバーのコミュニティによる独特の雰囲気が形成されてしまい、うまく馴染めないと感じる方もいることでしょう。

それでは、こうした状況を改善するためにはどうすれば良いのでしょうか。長い年月をかけて形成された固定メンバーの雰囲気というものはそう簡単に変えられるものではありません。

無理して馴染もうとしても精神的に疲れるだけであり、周りからも煙たがられる可能性もあります。

そこで、どうしても自分には合わないと感じる場合は一歩距離を置きながら付き合っていくことをお勧めします。「ああ、この人たちはこういう人たちなんだな。」と割り切ってしまい、表面的にだけでも周りに合わせていれば、不要な確執を回避することができます。

世の中には様々なタイプの人間がいるため、中には自分と合わない人がいるのは当然のことです。

スタッフの流動性が低い病院薬剤部でうまくやっていくためには、うわべだけでも取り繕っていくしたたかさも必要でしょう。

最後に

様々な改善策を講じたにも関わらず、どうしても病院の雰囲気に馴染むことができないと感じる方もいることでしょう。

好き嫌いの感情は人の心の奥深くに根差しており、簡単に変えられるものでもありません。

ちょっと自分に合わないからといって、何の努力もせずにコロコロと職場を変えることはお勧めしませんが、できるだけのことをしても、なお仕事のペースについていけないと感じるのであれば、思い切って職場を変えてみることも必要になります。

この先長い間続けていく仕事を有意義で実りあるものにするためには、転職という選択肢も有用であることは頭に入れておくとよいでしょう。