「最近同じ職場のスタッフとの雰囲気が険悪で仕事に行くのがツラい…」「入院患者さんに嫌な感じの人がいて病棟業務がとっても憂鬱…」こんな悩みを抱えている病院薬剤師の方はいらっしゃいませんか?

薬剤師は医療人として、どんな人にも分け隔て無く平等に接するべきとは分かっていても、現実はそんなに理想どおりにはいきませんよね。

薬剤師とはいえ人間なので、どうしても生理的に受け付けないという人がいるのは仕方の無いことです。

人間関係がこじれた場合はもちろんそれを修復するための努力が必要です。

お互いにじっくりと話し合って誤解を解いたり、少しずつでも相手の良いところを見つけて打ち解けていくことはとても大切なことだと思います。

ただし、こうした努力を重ねているにも関わらずいっこうに人間関係を改善させることができない場合や、修復不可能なほどに人間関係がこじれてしまったという場合、職場のほとんどすべての人から嫌われてしまい村八分状態になってしまう場合もあります。

こうしたときには無理して今の職場に留まるよりも、新たな職場で人間関係をリセットしてやり直す方が賢明といえます。

そこで今回は職場での人間関係に悩まれている病院薬剤師の方を対象に、転職によって解決を図る方法についてアドバイスしていきたいと思います。

調剤薬局に転職する

病院と調剤薬局の仕事は多くの点で共通しており、調剤薬局はどこも薬剤師不足で売り手市場のため、調剤薬局への転職は比較的お勧めのパターンといえます。

人間関係が良好な調剤薬局に転職する際のポイントは、できるだけ忙しくなさそうな職場を選ぶことです。

大きな病院の門前薬局など1日に数百枚も処方箋が来るようなところは病院に匹敵するような激務となります。

このため、職場全体がせわしなく殺伐とした雰囲気になり、人間関係もギスギスしたものになる傾向があります。

私が以前に勤めていた調剤薬局も大規模病院の門前にあったため、毎日が大忙しでした。

このため、スタッフはみな精神的にも余裕がなく、ふとしたことがきっかけで怒鳴り合いになるという場面も多々ありました。

特に仕事が遅い方や新人で動きが悪い方などが先輩薬剤師から罵倒されることが多く、お世辞にもいい雰囲気とはいえない職場環境でした。

このため、良好な人間関係を望む方はこうした大規模調剤薬局ではなく、処方箋枚数が1日50枚以下のような小規模の薬局を選択することをお勧めいたします。

私の経験からもこうした薬局では余裕をもって業務を回すことができるため、スタッフ同士の関係もアットホームで和気あいあいとしたところが多かった印象があります。

ドラッグストアへの転職

ドラッグストアは主に患者さんとの人間関係に悩まれている病院薬剤師の方にお勧めの転職先です。

調剤薬局では外来患者さんに対する服薬指導などのやりとりが発生しますが、調剤併設型ではないドラッグストアであれば、基本的に患者さんとの接点はありません

もちろん接客など来店されるお客様との人間関係はありますが、患者さんとのやりとりに比べればそれほど濃いものとはならないでしょう。

また、ドラッグストアは通常、病院や調剤薬局などと比べて薬剤師の人数が少ないのも特徴です。

このため、一つの時間帯に勤務する薬剤師の人数は1~2人というところが多く、薬剤師同士の人間関係に悩まれている方にも適する職場といえるでしょう。

仕事内容もレジ打ち、品だし、発注、接客などがメインとなり一人で黙々と作業できる時間も多くなります。

このため、チームプレイや共同作業が苦手という方にも適する職場といえるでしょう。

企業の管理薬剤師に転職する

同僚薬剤師との人間関係に悩んでいる方には企業の管理薬剤師の求人に応募するのもお勧めです。

製薬会社や医薬品卸会社、化粧品メーカーなどの管理薬剤師職であれば職場のスタッフはほとんどが非医療関係者になるため、今までの職場とはずいぶん雰囲気が異なるものとなるでしょう。

薬剤師は職場で自分一人だけということも多いため、薬剤師同士の人間関係に悩まれている方には適した転職先といえます。

また、当然のことながら企業であれば患者さんと接する機会はなくなるため、そうした人間関係を苦にしている方にも最適な職場といえるでしょう。

ただし、企業の管理薬剤師の求人はドラッグストアや調剤薬局などと比べると希少であり、応募倍率も高くなるためこの点には注意が必要となります。

DI担当の企業薬剤師に転職する

人間関係が少ない仕事という点では企業のDI担当の仕事もお勧めです。

DIとはDrug Informationのことで製薬会社などで自社の医薬品などについての情報の収集や提供を行う仕事です。

基本的にデスクワークがメインになり、インターネットなどを駆使して文献を読み漁りながら情報を収集し提供するのが主な仕事内容になります。

このため一人で作業をする時間が多く、病院のように濃い人間関係に悩まされる可能性は少ないといえます。

また、患者さんと接することもほぼなくなりますので、こうした人間関係に悩まれていた方には良い解決手段となることでしょう。

また、病院での勤務を通して得た高度な薬物治療についての知識も大いに仕事に役立てることができるため、病院出身の薬剤師の方は適性を満たしているといえるでしょう。

ただし、業務の大半がデスクワークになることから、こうした仕事に抵抗がないことが前提条件になります。

仕事では海外の論文を読む機会も発生するため多少の英語力も必要になることにも注意が必要です。

また、企業のDI業務は調剤薬局やドラッグストアと比べて圧倒的に募集枠が少なくなります。

ご自分が希望する条件の職場を見つけるまでには根気よく募集を探す必要があるので、転職活動が長期戦になる可能性が高いことは覚悟しておいてください。

さいごに

職場を変えれば現在抱えている人間関係の悩みを解決できる可能性が高くなります。

ご自分に合わない環境に無理に適応しようとするよりも、新たな職場で良好な人間関係を一から構築する方がはるかに効率的といえるでしょう。

居心地のよい環境を手に入れるためにも、是非、業種を超えて新たな職場にチャレンジしていかれることをお勧めいたします。