マンツーマン薬局とは

マンツーマン薬局の定義

調剤薬局にも様々な種類がありますが、そのうちのひとつとしてマンツーマン薬局というものがあります。これは、診療所の前に開業している薬局のことです。基本的に、ひとつの診療所に対してひとつの薬局となっているため、このように呼ばれています。

特に、医薬分業がとても進んでいる秋田・佐賀県にマンツーマン薬局のスタイルが多いですね。もちろん、現在では全国でこのスタイルの調剤薬局を見かけます。マンツーマン薬局は、秋田県ではペア薬局と呼ばれることがあるのだそうですが、どちらも同じものなので混乱しないようにしましょう。

マンツーマン薬局の特徴と役割

マンツーマン薬局の特徴としてもっとも大きいのが、調剤薬局の専門性が診療所の診療科目に左右されるという点です。皮膚科メインに診療するところの近くにある場合は、皮膚科関連の医薬品に特化されていきます。そういったところが、マンツーマン薬局の特徴です。

マンツーマン薬局の役割は、医薬分業を進めるためというもの。昔は診療所でも調剤が行われ、そのまま薬が出されることが多かったものです。現在でも、そのようなところがまだ見受けられますが、調剤は調剤薬局で専門的にやるものというのが理想。

その理想を形にするための薬局と言うのが、マンツーマン薬局です。

門前薬局との違いについて

特徴も役割も、門前薬局ととても似通っています。門前薬局も病院の医薬分業を進めることを目的・役割として展開されてきました。現在では7割近くの調剤薬局が門前薬局という形をとっているほど、門前薬局というのはメジャーなものとなっているのです。

そんな門前薬局とマンツーマン薬局の違いは、点と面という言葉で表されることがあります。点というのは、ある一点としか接することがありません。ただ、面というものは他の物体と接する面積が大きいです。

それが、そのままマンツーマン薬局と門前薬局の違いとなっています。つまり、マンツーマン薬局はその名前にあるとおり、ひとつの医療機関の処方箋を扱う薬局。門前薬局はメインとする医療機関があったとしても、そのほかにも処方箋を受け付けている薬局ということになります。なるほど、点と面ということですね。

マンツーマン薬局のメリット・デメリット

処方傾向がつかめる

マンツーマン薬局は、処方傾向がつかめるというのがメリットです。マンツーマンであるため、そばにある診療所の診療科目が、そのまま処方傾向となります。もちろん病状別に薬は違い、細かい傾向となるともう少し変わってきますが、処方箋科目については絞られてきます。

診療所が眼科なら眼科、小児科なら小児科、皮膚科なら皮膚科の関連の薬剤をそろえていれば良いのです。同じ診療所からの処方箋ばかりを扱うため、病状についても傾向がつかみやすくなります。処方の傾向がつかみやすくなり、働きやすくなるのです。

在庫管理がしやすい

処方傾向がつかめるということは、在庫管理にも直結します。先ほど述べたとおり、診療所と同じ科目の薬剤についてを主として扱うことになるのですから、当然、在庫管理もしやすくなるのです。また、長く深く付き合っていくことになるため、医師との連携もスムーズになります。

問い合わせも電話一本で直接行うことが可能ですし、医療機関ととてもフランクな付き合いができる。それによって、相互薬について問い合わせがしやすく、在庫管理も意思疎通も楽になります。

仕事に慣れやすい

マンツーマン薬局は、処方箋科目が限られてきて、処方傾向がつかめやすい反面、仕事が単調になりやすいと言われています。確かに、同じ薬を調剤することはとても多いでしょう。もしかしたら、一日にずっと同じ薬の調剤をするかもしれません。

ただ、それは裏返せば仕事に慣れるのが速いということです。これはメリットにもなります。単調であるが故に、すぐに仕事に慣れることができるため、経験の無い科目についてもすぐに慣れて、働くことができるでしょう。

しかし、マンツーマン薬局は1日の処方箋枚数が少ないため、他の薬局よりも暇な時間が増えるという点は、物足りないと思う人も多いかもしれませんね。