薬歴の記載方法ですが、ここ最近の書き方はSOAP形式が推奨されるようになってきました。

以前の薬歴は何か一行でも書かれていればよく、大切なのは患者情報である服用歴や副作用歴、アレルギー歴といったものでした。ですが、薬剤師の職能が評価されてきたことにより薬歴自体が見直されることになったのです。

そもそもSOAPって何?

この単語、読み方はソープです。この単語に意味があるわけではなく、つづりを構成する文字がそれぞれ記載する内容を意味する頭文字になっています。Sは「Subjective Data」の頭文字で「主観的データ」、Oは「Objective Data」で「客観的データ」、Aは「Assessment」で「評価・判断」、Pは「Plan」で「計画」を意味しています。

要するに、記録する内容を系統立てて決めておくことによって、その患者の問題点や現在行っているケアの内容などを誰が見てもわかりやすく記録するためのものです。

POSも同じ意味?

よくSOAPとともに話される言葉で、POSというものがあります。それが何かといいますと、こちらも英単語を省略したもので、正式名称は「Problem Oriented System」、日本語とすると「問題志向型システム」となります。

SOAPは薬歴の記録方式を表していますが、POSはその薬歴を使用して、いかに患者の問題を解決していくかというものとなります。患者の問題をいかにケアしていくのかを目指すものがPOSであり、その手段となるものがSOAPというわけです。

具体的にどうすればいいのか

略称ばかりが使用されていると、内容自体は難しくないのに手が出しづらい状況になってしまいます。ここまでで略称の意味を説明しましたが、具体的にどうすればSOAP形式の薬歴となるのかを見てみましょう。

S(Subjective Data):主観的データ

この主観的データとは、薬剤師主観のデータではなく、患者主観のデータになります。つまり、患者が薬局に来てから話したことを、薬剤師の考えを入れずに記録していけばいいのです。ここで捕捉などを付け加えると、正確な情報ではなくなりますので注意が必要です。

例:薬はきちんと飲んでるつもりなのに、なんでだか病院の受診日には1週間分くらい残るんだよなぁ。たまにクラクラする時もあるから、寝不足で忘れてるのかな。

O(Objective Data):客観的データ

ここの項目には、事実を記録していくことになります。つまりは検査値だったり残薬の数だったり、手に入る客観的なデータを記録しておきます。もちろん薬剤師が行う客観的データですので、処方内容の変更などもここの項目に記録することになります。

例:降圧薬残薬7日分、処方変更なし。めまい感の自覚症状あり。自宅での血圧測定はしていない。

A(Assessment):評価・判断

ここの項目に記載することは、薬剤師の考察や見解です。患者から得られた主観的データ、客観的データを合わせて考察し、薬の専門家としての見解を記載しましょう。

例:コンプライアンスの不良により、血圧のコントロール不良を起こしている可能性あり。残薬はあるが処方調整されていないことから、患者が病院での報告をしていない可能性もある。

P(Plan):計画

Aの項目で得られた考察・見解をもとに、どういったケアをしていくべきかを記載する項目です。現在どういった指導を行っているのか、今後どのように患者に服薬してもらう必要があるか。次回への申し送りなど、実際に行うべきことを記載しておくとよいでしょう。

例:定期的な自宅での血圧測定を行うように指導。残薬について先生に報告することを伝える。朝の服用がコンプライアンス不良につながっているようなら、今後病院への服用時点の変更について提案する必要あり。経過の確認を続ける。

おわりに

SOAPの具体的な記載方法を記載しましたが、面倒に思った方も多いのではないでしょうか。ただ書き連ねるだけではないため、確かに従来よりも手間が増えます。

しかし、SOAP形式の薬歴はその患者の問題点をわかりやすく記録することができ、結果として充実した患者対応を生むことになります。記録も慣れてしまえばそれほどの苦労も感じません。ワンランク上の患者対応とするため、活用してみて下さい。