派遣薬剤師のメリットは、何といっても時給が高いことです。しかし実際の求人をみると、意外にその時給の幅が広いことに気がつきます。

ここでは、5000円台の高額時給の求人について、その傾向を分析してみました。

時給5000円なら派遣薬剤師でも月収80万円が可能!?

時給5000円!派遣薬剤師は時給が高いといわれますが、ここまでくるとそうそうあるものではありません。実際に求人を調査してみても、数十件にとどまりました。ちなみに、

派遣薬剤師の高額時給の求人例

【時給】5000円

【勤務時間】月〜金9:00-20:00土9:00-15:00週40時間の変形労働制

【処方箋】平均40枚/日

【業務内容】調剤・鑑査・服薬指導

【備考】
・車通の方が便利です。
・住居・転居費用は全額会社負担。
・複数の近隣クリニックから内科をメインとして応需している調剤薬局です。在籍薬剤師4名(社員3名パート1名)

上記の求人ですと、1週間40時間の変形労働制ですから、週給5,000円×40時間=200,000円となり、月給にすると、800,000円となります。

1ヶ月でこれだけ稼げるのは魅力的ですね。

時給5000円台の派遣薬剤師求人の傾向

病院数が少ない地方都市の門前薬局に多い

高額時給の求人というと、人手が不足している過疎地域で出される求人というイメージを持つ人がいるかもしれません。

しかし今回の調査では、高額時給の求人のほとんどは、中規模地方都市の総合病院または近隣クリニックの門前薬局でした。

さらに、それを都道府県別に分類してみると、人口10万人あたりの病院数が少ない県に高額時給の求人が多いという傾向がみられました。

人口10万人あたりの病院数が少ない地域は、もともと薬剤師の就職者数が少ないところです。

また、総合病院または近隣クリニックの門前薬局という立場上、病院やクリニックから出される処方箋数に対応するためには、一定数の薬剤師を確保する必要があります。

このような門前薬局側の事情によるところが大きいと思われます。

ある程度の規模や設備を持った施設が多い

施設の規模について全てに明記されているわけではありませんが、複数人の薬剤師を抱えうち数名は正社員、というものが多くありました。

また、スタッフの人数は、求人票の業務内容から読み取ることもできます。ほとんどの求人では、調剤・監査・服薬指導が業務内容として挙げられていましたが、総合病院の門前薬局では、服薬指導メインというものもありました。

わざわざ服薬指導メインと明記しているということは、薬局内での分業体制が進んでおり、そうした体制を可能にするだけの人数がいるということでしょう。

設備も最新のものが導入されており、取り扱う処方箋の数も多いため、多種多様な調剤にあたることができる環境がほとんどです。

フルタイム勤務がほとんど

1日8時間週5日・週5〜6日のシフト勤務・月〜土における週40時間変形労働制など、フルタイム勤務がほとんどで、短時間勤務や都合の良い時間帯だけというものはみられません。1日8時間週5日は総合病院の門前薬局のみでした。

休日は、日曜日と他1日というものがほとんどで、土日休みは総合病院の門前薬局のみでした。

全国から広く募集している

地方は首都圏などに比べて常に人手不足です。その地域だけでは、少ないパイの奪い合いをしているようなものですから、全国から薬剤師に働きにきてもらえるよう、派遣先ではさまざまな好待遇を用意しています。

5000円台の高額時給に加えて、転居費用や住宅手当などを勤務先が負担する、さらには職場でのキャリア形成をアピールしたり、「サーフィンスポットとして有名な海水浴場の近くです。」と観光ポイントをアピールしたりするなど、求人票からその切迫度を読み取ることができます。

車必須の求人が多い

「のどかで落ち着いた環境です。」という求人がありました。総合病院の門前薬局でしたが、オープンしたてで周辺には他の門前薬局すらないようです。このような場所では、買い物ひとつとっても自家用車は必須です。

求人情報の多くには「車通勤が便利」とあり、「バスの便が良い、車がなくても生活可能」とあるのは1件でした。

5000円台の求人のほとんどは交通の便が悪いところにあり、住居が近くに用意されていたとしても、車がないと生活には不便なようです。

ですから、運転免許を持っていても、ペーパードライバーの人だと生活していくうえで厳しいかもしれません。

また、車を持っていない人は購入したりレンタカーを手配したりする必要があります。5000円という高時給にはこの分も含まれていると考えていいでしょう。

まれに「希望者には社用車(軽自動車)を貸与することもできます。ご相談ください。」というものがあります。車を持っていけない人は、こうした求人を探してみるのも一つの方法です。

時給5000円台の派遣薬剤師として働きたい人へ

キャリアに自信がありますか?

時給5000円台の求人の職場は、スタッフも多く設備は最新、処方箋の数が多く、多種多様な調剤にあたることができる職場です。

このような職場では、総合病院や調剤薬局での幅広い診療科の調剤経験が必須となります。条件としては記されてはいないものの、派遣薬剤師への要求レベルが高い職場です。

だからこそ、5000円という高時給が設定されているのです。

これまでにも多くの経験を積み、さらにキャリアアップをしたい!という人にはおすすめですが、ブランク明けの人や、自分のキャリアに自信がない人はやめた方がよいでしょう。

単身者ですか?

地方に住む人は、「自分の居住地域で時給5000円の求人があれば」と思うかもしれません。しかし、こうした求人はいきなり高額時給になったものではありません。

薬剤師がなかなか見つからず、需要と供給の関係で結果的に時給がつり上がったものです。ですから、数十件の求人のほとんどに「急募」のマークがありました。

このような求人に反応してすぐに働くことができるのは、出稼ぎ感覚で全国どこででも自由に働ける単身者です。それ以外の人には、応募することすら難しいでしょう。