OTC専任薬剤師ってどんな仕事?
そんな疑問をお持ちのあなたに、ここではOTC専任薬剤師のお仕事とその魅力について紹介します。
OTC専任薬剤師の主な職場ってどこ?
OTC専任薬剤師の職場は、いわゆる薬店が主な職場になります。もっともイメージしやすいのが、スーパーなどの専門フロアにあるようなドラッグストアになるかと思います。
ただ、ドラッグストアでも最近は調剤を扱う、いわゆる薬局の位置づけにあたるような店舗も多いです。
OTC専任薬剤師とは、そうした調剤室を持たない薬店で働く薬剤師のことで、当然ながら調剤をすることはありません。
OTC専任薬剤師の主な仕事とは?
OTC専任薬剤師の仕事は、OTC医薬品の販売が主となります。調剤しなくていいから楽勝だと思ったあなた、ちょっと待ってください。何もOTCを売ることだけがOTC専任薬剤師の仕事ではありませんよ。
意外に多い雑用
試しにあなたの近くにある薬店へ足を運んでみてください。
小さいドラッグストアであれば、薬店には薬剤師さんが一人でお店に立っているのではないでしょうか。
もしもあなたがOTC専任薬剤師として、薬店に立つことになったら、あなたはその店舗を一人で切り盛りしなければならないと思った方がいいでしょう。
当然ながら、レジ打ちもありますし、商品の陳列、お店のお掃除だって全部一人でやらなければなりません。
もしあなたがお客様になってお店に行ったとして、商品の陳列がぐちゃぐちゃだったり、箱の上にうっすらと埃が溜まっているようなお店で風邪薬を買いたいとは思わないですよね?
そう、OTC専任薬剤師としてのあなたの役割は、まず店内を清潔に保つこと。
それと薬店にあるのは、OTC医薬品だけではありませんよね?
栄養ドリンクなどのいわゆる医薬部外品、健康食品(サプリメント)もあります。
シャンプー、ボディーソープ、化粧水のような美容品、日焼け止めに使い捨てカイロなんかも置いてあったりします。
OTC専任薬剤師は、そうした医薬品以外の箱が重くて、運ぶのが結構重労働だという声もあります。ちょっとは体力も必要かもしれません。
一方、大型のドラッグストアの場合であれば、一般アルバイトなど、そうした雑用を薬剤師であるあなたの代わりにやってくれる方がいるかもしれませんね。
要指導医薬品・第一類医薬品の販売
OTCはいくつかの種類に分類されていて、中でも要指導医薬品に分類されるお薬はインターネットでの購入も不可であり、店頭の薬剤師しか販売できません。
また、第1類に分類される医薬品も薬剤師の対応が必要です。
調剤薬局であれば、医師の処方箋どおりに調剤することが主な仕事になりますが、OTC専任薬剤師には処方箋がありません。
OTC専任薬剤師は、お客さんの相談を受けて、陳列棚の中からひとつふたつと目の前にいるお客さんに必要なお薬を選ぶのが仕事です。
つまり、それは目の前にいるお客さんの症状や様子を聞きながら、もっともマッチすると思われる薬をあなたが一人で考えてすばやく提案しなければならないということなのです。
カウンターにいる薬剤師はたいていあなた一人です。相談すべき相手もいない中でお客さんと対峙しなければならないのは、それなりに神経も使うでしょう。
当然ながら、お客さんとのコミュニケーション能力も必要です。
第2類・第3類医薬品、健康食品などの販売
第2類と第3類のOTC医薬品については、薬剤師以外に登録販売者も売ることができます。
OTC専任薬剤師として働く場合、この登録販売者という資格をお持ちの方があなたのパートナーとして一緒に働くことがありますので、よく憶えておきましょう。
健康食品の開発も盛んな昨今、医薬品とヘルスケアの垣根は将来的にどんどん低くなっていくといわれています。医薬品と健康食品との併用にも注意が必要です。
OTCだけでなく健康食品に関しても、適切な指導ができるように勉強を怠らないようにしましょう。
売上げアップのための取り組み
薬店を任されたあなたは、店舗の売り上げを気にしなければならないかもしれません。
いまやコンビニエンスストアでは、お客さんの目線を考えて主力商品や宣伝ポップなどの置き方を工夫するためにマーケティングの手法を取り入れているところも多いようです。
薬店なので、過度に派手な宣伝はかえってよくないでしょう。まずは清潔を第一に考えて、医薬品以外の商品で何か人目を惹くものを店舗の表に並べてみるといった工夫してみるのがよいでしょう。
OTC薬剤師のやりがい
最近では、薬に関する著書も多く出ており、ひょっとしたら、薬剤師の免許を取り立ての新人薬剤師よりも薬に精通したお客さんもいるかもしれません。
けれども、そこでひるんではいけません。何も薬に対する知識の多さだけがものを言うわけではありません。
薬剤師に求められるスキルは、ひとつひとつの薬に対する知識の豊富さだけで太刀打ちできるものではないからです。
いまやお薬手帳も電子化されたりするような時代です。ときにはお客さんが他に病院からもらって服用している薬について尋ねて、飲み合わせについて配慮してOTCを選ぶことも必要です。
お客さんの言葉に真摯に耳を傾けることのできる薬剤師。
それこそが、OTC専任薬剤師に求められる理想像であり、そのスキルを身につけるために努力することがあなた自身のやりがいにもつながるでしょう。
病院薬剤師は調剤以外に服薬指導として患者さんと触れ合う機会を持ちますが、OTC専任薬剤師はそれ以上にお客さんの相談を聞く力が必要かもしれません。
あなたと話がしたいからと思ってお店に足を運んでくれるお客さんがもしいたとしたら、薬剤師冥利に尽きるのではないでしょうか。
最後に
国がセルフメディケーションを推進していることはご存知でしょうか。
セルフメディケーションとは、自分自身で健康管理を行い、軽い症状のものであれば、薬店で薬剤師に相談するなどして健康維持に努めましょうという国の方針です。
実にセルフメディケーション税制なる医療費控除の特例制度もスタートしていますし、今後セルフメディケーションが進められていく中でOTC医薬品の開発も増えてくるでしょう。
医薬品とヘルスケアの垣根が将来的にどんどん低くなっていくということは先にも触れましたが、薬店とは、そうした人の健康をサポートするオアシスのような存在になるべきだと私は思います。
あなたの薬店が地域の皆さんを健康にする情報発信基地のような存在になれたら、素晴らしいことですよね。OTC専任薬剤師として働くあなたにはそんな夢を描くことだってできるのです。