調剤薬局といえば、薬剤師さんが働く職場の中で一番ポピュラーなところですよね!
薬剤師免許を持っているからには一度は経験しておきたい職場がまさに調剤薬局であるともいえるでしょう。
この記事では調剤薬局への転職を考えているすべての薬剤師さんを対象に、求人の傾向や転職時に気をつけるべきポイントなどについて解説しています。
「調剤薬局で働くのは初めて」という方から「もっと条件のいい調剤薬局に転職したい!」と考えているベテラン薬剤師の方まで、少しでも調剤薬局への転職に興味がある方はぜひ、本記事に目を通していただきたいと思います!
調剤薬局の薬剤師求人の種類を知っておこう
一口に調剤薬局の募集といっても様々なタイプがあるため、まずは調剤薬局のタイプ別の求人をご紹介したいと思います。
調剤薬局のタイプには以下のようなものがあります。
門前薬局
門前薬局とは大病院の前などにたくさん建てられている薬局のことです。
門前薬局の仕事は、はっきりって激務です!
私が以前に勤務していた門前薬局は大病院の前にあったため、1日の処方箋枚数が400枚を超えており、1日中調剤に追われているという状況が続いていました。
このように門前薬局は非常にバタバタした環境なので、落ち着いて働きたい方にはあまり向かないかもしれません。
また、クリニックなどと比べて高度な内容の処方箋が来ることも多く、それなりのスキルも求められ、未経験の方の転職はやや厳しいかもしれません(そもそも未経験では採用されるのが難しいです)。
激務の割には収入は平均的です。ただし、職場内の薬剤師の人数が多いため、休暇は取りやすいといえます。
医療モール内薬局
内科、小児科、眼科、皮膚科などの複数のクリニックなどが密集した医療モールの中に併設された薬局です。
このタイプの薬局は複数科目の処方箋を応需することが多いため、幅広い診療科についての知識が必要になりますね。
処方箋枚数は1日200枚を超えるところもあり、仕事は忙しめです。
医療モールにあるため立地条件は恵まれていて、通勤しやすいところが多いでしょう。
多くの診療科の処方箋を扱うため、スキルアップを図りたい方には特にお勧めです!
お給料やその他の待遇は平均的といえますが、門前薬局と同じく薬剤師の人数が多いため休みは取りやすいでしょう!
面分業薬局(面対応薬局)
特定の医療機関ではなく、広い範囲のクリニックや病院から処方箋を受け付けるタイプの薬局です。
さまざまな医療機関から多くの診療科の処方箋を受け付けるため、広い範囲の知識が必要になります。
1000品目以上の医薬品を備蓄している薬局も多く、たくさんの種類の薬について勉強することができます!
ただし、面分業は調剤併設型ドラッグストアには比較的多くみられますが、面分業専門の調剤薬局は現時点では数が少なく、求人を探すのには苦労するかもしれません。
このため、面分業の薬局で働きたい方は調剤併設型のドラッグストアなどへの転職も視野に入れる方がいいかもしれませんね。
面分業の薬局は収益性もそれほどは高くないため、お給料は平均より低めになる傾向がある点には注意が必要です。
また薬剤師の人数も少なめなので休暇はややとりづらいかもしれません。
マンツーマン薬局
マンツーマン薬局とはクリニックや小規模病院などの隣にある薬局のことで、調剤薬局の中では一番ポピュラーなタイプですね。
受け付ける処方箋の種類は当然のことながら隣接するクリニックや病院の診療科に対応したものになります。
このタイプの薬局は薬剤師数が2~3名ほどの小規模なものが多く、処方箋枚数は1日100枚以下と少な目であることが多いです。
比較的落ち着いた環境で調剤に取り組めるため初心者の方にはお勧めのタイプの薬局です。採用のハードルも低いといえるでしょう。
年収やその他の待遇は平均的といえますが、休日は処方箋を発行する医療機関に合わせることになるので注意が必要です。
単科病院の門前薬局
精神科や婦人科などの単科病院の目の前にある薬局のことです。
このタイプの薬局はほぼ決まった科目の処方箋しか受け付けないため、毎日同じような内容の調剤をこなすことになります。
処方箋を発行する医療機関の科目については非常に深い専門知識が得られるので、一つの科目を掘り下げて学びたいという方には特にお勧めです!
給料やその他の待遇については平均的といえるでしょう。
求人を探すときには、募集要項には「○○科の処方箋を主に受け付けています!」などと書かれていることが多いため、自分がいちばん興味のある科目を扱っている薬局を選ぶといいですよ!
チェーン展開薬局
チェーン展開薬局とは、大手の調剤薬局のように巨大薬局チェーンを展開している薬局のことです。あちこちに立っているためコンビニみたいな形態の薬局ともいえますね。
チェーン展開薬局は大きな組織が運営していることが特徴で、個人薬局などと違って就業規則や研修体制などがしっかり整えられています。
また、チェーン薬局同士の横のつながりも強く、ある店舗で薬剤師が不足したときは、すぐに別の店舗からヘルプ薬剤師を送ることが可能なため、休暇なども比較的取りやすくなります。
薬局の規模や立地条件は様々で、勤務する店舗によって大きく変わってきますね。大規模経営で収益性が高いため、給料は個人薬局などと比べて高い傾向にありますよ!
小規模個人経営薬局
処方箋枚数が1日20~30枚程度の小規模の薬局は、落ち着いて働きたい方には特にお勧めです。
大病院の門前薬局のように処方箋がなだれ込んでくるというようなことはあまりないため、ゆったりとしたペースで落ちついて仕事をこなすことができます。
調剤に自身の無い方やブランクのある方などは、まずはこうした病院で経験を積むと良いかもしれませんね。
ただし、こうした薬局は処方箋枚数が少なく利益が余りでていないところが多いため、残念ながらお給料についてはそれほど期待できません。
また、薬剤師数も少ないため休暇なども比較的取りにくい状況にあるといえるでしょう。
調剤薬局で働く薬剤師の給料について知っておこう!
ここでは、皆さんが特に気になる調剤薬局の薬剤師の給料の特徴についてご説明いたします!
年代別の平均年収
調剤薬局の年代別の平均年収は大体以下のようになります。
- 20代:350~450万円
- 30代:450~550万円
- 40代:550~650万円
- 50代:650~700万円
年齢とともに年収は上がっていきますが、通常は700万円くらいで頭打ちになるパターンが多いようですね。
企業やドラッグストアに比べるとやや低めですが、病院薬剤師よりは高めといえるでしょう。
管理薬剤師などの役職につくと年収はどのくらいアップするの?
調剤薬局で管理薬剤師になると普通は管理薬剤師手当が支給されます。
管理薬剤師手当の平均的な相場は月額3~5万円なので、年収で35~60万円程度のアップが見込めることなります。
調剤薬局に転職して高収入を得たい場合は、管理薬剤師の求人を狙っていくのもお勧めです!
管理薬剤師になるには3年ほどの調剤の実務経験が必要になるといわれていますので、やや採用のハードルは高くなりますが、この要件を満たす人はぜひチャレンジしてみてください!
ただし気をつけておきたいのは、管理薬剤師手当は法律上必ず支払わないといけないものではないということです。
実際に私が以前に勤務していた職場では、管理薬剤師手当というものがありませんでした!
私自身も管理薬剤師をやらされていましたが、平社員の薬剤師時代と給料が変わらないのに責任だけが増えてしまい、正直不満だったことを覚えています。
皆さんにはこうなって欲しくないので、就職前に管理薬剤師手当の額はきちんと確認しておくことをお勧めします!
認定薬剤師などの関連資格を持っていると年収は変化するの?
今はやりの認定薬剤師の資格は調剤薬局で働くときにはメリットになることが多いです!
認定薬剤師の資格保持者には月額5000~10000円程度の資格手当を支給する薬局が多く、今後はこうした傾向が強くなることが予想されるからです!
これは平成28年4月からスタートしたかかりつけ薬剤師制度が関係しています。
かかりつけ薬剤師になる要件の一つには認定薬剤師の資格を持っていることが定められているため、認定薬剤師の資格保持者はかかりつけ薬局では優遇されるんですね。
今後はかかりつけ薬局が増えていくと予想されているため、認定薬剤師の資格を持つ薬剤師は採用確率も上がり、転職を有利に進められるといえますね!
高収入を狙える調剤薬局はこれだ!
高収入が狙える調剤薬局はズバリ以下の薬局です!
薬剤師が集まりにくい僻地の薬局!
これは薬剤師業界では有名な話ですが、地方に行くほど薬剤師不足が深刻化しているため、給料が高くなる傾向にあります。
特に離島や北海道、九州などでは年収900~1000万円+住居付き+引っ越し代全額負担などの破格の条件の求人も珍しくはありませんん。
高収入を希望しており、引っ越しOKな方はぜひともこうした求人を狙っていきましょう!
管理薬剤師を募集している薬局!
高収入を狙ううえで外せない求人が管理薬剤師募集の調剤薬局です!
管理薬剤師は責任が重い反面、給料も高く、普通の薬剤師の年収を50~100万円ほど上回る場合が多いです。
また、収入以外にも薬剤師として大幅にスキルアップすることもできるため、転職時にも受けがよくなることは間違いありません!
一般薬剤師の仕事に飽きてしまったという方や高収入を求める方は、ぜひとも管理薬剤師にチャレンジしてみてください!
エリアマネージャーを募集している薬局!
調剤薬局の年収の上限は、普通ですと700万円くらいといわれています。
これは店舗の責任者である管理薬剤師や薬局長の年収ですが、それよりもさらに上を目指したい人はエリアマネージャーになるという手段もあります。
エリアマネージャーはあるエリア内のすべての系列薬局を統括するポジションで、責任は大きいですが800万円以上の年収を期待することができます!
規模の大きな薬局だと年収1000万円以上になる場合もあるので、腕に覚えのある現役管理薬剤師の方などは、ぜひこうしたポジションを狙って転職されてみてはいかがでしょうか!?
ラウンダー薬剤師を募集している薬局!
皆さんは調剤薬局にあるラウンダー薬剤師というポジションをご存じですか!?
ラウンダー薬剤師とはいわゆる助っ人薬剤師のことです。
複数店舗を展開している薬局などでよく見られるポジションで、特定の店舗に所属せずに、人出が不足している店舗を順番に回って行きます。
離れた場所に店舗を展開しているような薬局では新幹線で移動したり、ホテルに泊まりがけで勤務することもあり、あちこちを巡回する手間を考慮して、お給料は高めに設定されていることが多いです。
年収600~800万円くらいの高収入求人が多く、複数店舗を巡回するのが苦にならないという方にはぜひお勧めしたいポジションといえます!
急な欠員が出た薬局!
普段はそれほど高い年収で募集していない薬局でも、急な欠員により極端に薬剤師が不足した場合には破格の待遇で募集をかけることがあります。
私が勤めている薬局でも、以前に予想外の退職者が出て人手不足になったときには通常よりも年収を100万円高くして募集をかけていました。
古くからいるスタッフからは不平等だと不満の声が上がりましたが、社長が「非常事態だから仕方ない!」と無理矢理納得させていたのを覚えています。
このような求人をタイミング良く見つけるのはなかなか難しいかもしれませんが、求人サイトで「急募!」と書かれている募集を検索したり、転職サイトの担当者にこうした求人を優先的に紹介してもらえるように伝えておいたりするとと見つけることができるでしょう!
調剤薬局の求人を選ぶ際にチェックしておくべきポイント
調剤薬局への転職を成功させるためには、転職先の徹底した事前調査が欠かせません。以下に示すようなポイントは必ずチェックしておきましょうね!
正社員薬剤師の数をチェック!
薬局に勤める正社員薬剤師の数は必ず確認しておきましょう!
正社員薬剤師の数が極端に少ない調剤薬局は採用のハードルは低いですが、就職すると悲惨な目にあう可能性が高くなります。
具体的には以下のような事態が想定されます。
- 思うように休みがとれない
- 入社後すぐに管理薬剤師をやらされる
- 他のスタッフが病気などで欠勤したときに負担がのしかかってくる
- 転職したばかりなのに責任の重い仕事を押しつけられる
- 他の正社員が退職した場合にその人が担当していた仕事がすべて自分に回ってくる
こうした事態を避けるためにも、最低でも正社員の薬剤師が3人はいる薬局を選ぶことをお勧めします!
1日の処方箋枚数を確認する!
1日の処方箋枚数の確認は必須です!1日の処方箋枚数を確認し、それを勤務する薬剤師の人数で割り算してみてください。
その数が40を大きく超える場合は、その職場はブラックである可能性が非常に高くなります!
皆さんもご存じのとおり薬剤師が1日に扱える処方箋枚数は法律で40枚までと定められています。
このため、このルールを平気で破るような薬局は、経営者の意識が低くブラックである可能性が高いといえるのです。
実際に私の友人が勤める薬局では、繁忙期は1日200枚以上の処方箋をたった2人の薬剤師で調剤しなければならないと言っていました。
これって完全に法律違反なんですけど、残念ながら中小の薬局だとわりとよくあることなんですよね。
こういう薬局に採用されると確実に後悔することになりますから、事前に薬剤師一人当たりの一日の処方箋調剤件数は必ず確認しておいてくださいね!
クリニックとの関係に注意!
特にマンツーマン薬局の求人に応募する場合は、薬局と、処方箋をメインに発行するクリニックとの関係を見極めることが非常に大切になります。
実際に私の友人が勤める薬局では、薬局経営者とクリニックとの関係が悪化してしまったため、処方箋が回ってこなくなり、撤退を余儀なくされたという例もあります。
薬局にとって処方箋を発行する医療機関は生命線であるため、お互いに良好な関係が築けているかどうかはぜひチェックしておきたいポイントですね!
薬歴を書く時間は確保されているか?
業務時間中に薬歴を書く時間が確保されているかどうかは、面接時や職場見学などでしっかりと確認して起きましょう。
忙しい調剤薬局では調剤に追われていて薬歴を書く時間が全く取れないところもあります。
こうした薬局ではお昼休憩の時間に薬歴を書かされたり、事務員さんが薬剤師の代わりに薬歴を書いたりすることもあるようです。
また、最悪の場合ですと薬歴を書かずに放置しておくというところもあると聞いています。
こうした悪質な薬局に就職しないためにも、事前に薬歴記入の時間が確保されているかどうかは確認しておきたいですね!
在宅医療についてもチェックしておこう!
最近は在宅医療を始める薬局がどんどん増えているため、在宅をやらされる可能性があるかどうかはしっかりと確認して起きましょう!
在宅で注意しておきたいのは車の運転です。
免許を持っていない人はもちろん、ペーパードライバーで車の運転は苦手という人は、業務で車を運転する可能性があるかどうかをきちんと確認しておかないと後悔することになります。
残業について
忙しい調剤薬局ですと、ほぼ毎日のように残業が発生するところもあります。
特に正社員の場合は業務量が多く、毎日2~3時間の残業が発生することも珍しくありません。
充実したプライベートライフを送るためにも、一ヶ月の平均的な残業時間についてはよく確認しておきましょう。
また、特に個人経営の薬局などでは残業代を支給しない悪質なところもあるようです。
こうした薬局は「募集要項に書かれている月給の額に残業代も含まれている」などと理不尽な言い訳をしてくるところも多いと聞きます。
募集要項に残業手当についての記載が無い場合は、面接時に残業についての規定を必ず確認しておきましょうね!
有給消化率
有給消化率はぜひとも確認しておきたいポイントです。
有給は法律で労働者に認められた権利なので、本来ならすべての薬局で取ることができるはずです。
しかし、特に個人薬局などでは法律などお構いなしに従業員にまったく有給を取らせないという悪質なところもあります。
募集要項に有給についての記載が無い場合は、面接時に取得率などについてきちんと確認しておくようにしましょう!
昇給について
昇給システムについてもぜひ確認しておきたいですね!
通常、求人内容には年収400~700万円などと幅広い書き方をしていることが多いですが、実際にどのくらいのペースで昇給するのかは気になるところです。
面接時にあまりガツガツとお給料について質問するとマイナスイメージを与えかねませんが、「平均的な昇給のペースはどのくらいなのでしょうか?」などと確認するくらいなら問題ないでしょう。
個人の調剤薬局には募集要項の下限の年収のままで半永久的にコキつかい続けるという悪質なところもあるため、こうした点についてもきちんとチェックしておきましょうね。
ボーナスの支給開始時期について
ボーナスの支給開始時期もきっちりと確認しておきましょう。
実はボーナス(賞与)って、毎月のお給料と違って会社側には支給する義務がないんです!
だから、極端な話、調剤薬局の業績が悪くなったら全額カットすることもできちゃうんです。
また、転職した場合は入社時期によっていつからボーナスが支給されるかが変わってきます。
中には「入社1年未満の人にはボーナスを支給しない」などの就業規則を定めている薬局もあるため、支給のルールについても面接などできっちり確認しておきたいですね!
異動や転勤の有無
大手チェーンの調剤薬局はもちろん、個人薬局でも全国規模で店舗を展開しているところもあります。
こうした薬局に転職する場合は必ず転勤の有無を確認しておきましょう!
私の友人でも埼玉の調剤薬局に就職したのに、神奈川の店舗で急に人が足りなくなったため、泣く泣く引っ越しさせられた経験のある人もいます。
こんな目に遭わないためにも、異動や転勤の有無についてしっかり事前に確認しておくようにしましょうね!
調剤薬局未経験の薬剤師の求人選びのポイント
ここでは調剤薬局に初めて転職される方を対象に、求人を選ぶ際にぜひともおさえておきたいポイントについてアドバイスしたいと思います!
個人薬局には要注意!
未経験の方が規模の小さな個人薬局に転職する場合は特に注意が必要です!
なぜなら、こうした個人の調剤薬局は行き当たりばったりの運営をしているところが多く、研修のノウハウやマニュアルなどが整備されていない場合がほとんどだからです。
こういう所に未経験者が就職すると、ろくに研修を受けないままでいきなり現場に放り出されるなんてことにもなりかねません。
未経験の方は、採用されやすいからといって安易に個人薬局の募集に飛びつかないように注意してくださいね!
研修体制が整っている大手チェーン薬局を狙え!
個人薬局ではなく大手のチェーン薬局ならきちんとした新人研修のマニュアルが整備されているところが多いです。
私の後輩の薬剤師が大手チェーンの調剤薬局に就職したときには先輩薬剤師がつきっきりで指導してくれ、新人研修用のテキストなども完備されていたそうです!
このように大きな組織の薬局ほど研修体制が整っている傾向にあるため、未経験の方は是非ともこうした薬局の求人を探されることをお勧めいたします!
総合科目を学びたいなら面分業の薬局を選べ!
クリニックの前にあるマンツーマン薬局などでは、ほとんどの処方箋がそのクリニックから発行されることになります。
こうした環境では処方箋発行先のクリニックの診療科目については詳しくなりますが、それ以外の科目に対する知識がおろそかになりやすいです。
このため、幅広い知識を身につけるためにも、未経験の方は面分業の調剤薬局を選ぶのもお勧めといえるでしょう。
落ち着いて仕事をしたいなら1日の処方箋枚数が50枚以下の薬局への転職がお勧め!
未経験の方は特にじっくり調剤に取り組める環境の薬局求人を選ぶことをお勧めします。
大量の処方箋を扱う薬局では1日中調剤に追われ、朝から晩まで息をつく暇もないほどです。
こうした環境では、落ち着いて研修をしてもらう暇もなく、ひたすらピッキングをするような日々が続くことになり、未経験者にはあまり向かないかもしれません。
このため、特に調剤経験のない方は処方箋枚数が1日50枚以下の薬局の募集を探すのもお勧めといえるでしょう。こうした薬局は未経験者でも採用されやすいという点もメリットといえます。
調剤薬局の勤務経験はあるけどブランクが空いている薬剤師の求人選びのポイント
ブランクが空いている方が調剤薬局に転職する場合は以下のような点に注意しながら募集を探しましょう!
未経験者OKの求人に応募する!
ブランクがある人は過去に調剤経験があったとしても、経験者限定の求人に応募することはあまりお勧めできません。
こういう職場は即戦力を求めているため、たとえブランクがある人でも一人前の薬剤師として扱われてしまいます。
久しぶりの調剤で現場に慣れない人でも容赦なく大量の仕事を任されてしまい、仕事のペースが遅いと「使えない人」という烙印を押されてしまう危険性があるのです。
このため、ブランクのある方はできるだけ「未経験者OK」と明記されている調剤薬局の求人を選んで、未経験の薬剤師と同じように研修をしてもらうとよいでしょう。
ブランク明けは誰でも仕事に慣れるのに時間がかかるものです。無理して背伸びをせずに、少しずつ勘を取り戻していきましょうね!
転職活動と並行して知識をブラッシュアップしておく!
ブランクがある方は現場に出てから苦労しないためにも、できるだけ転職期間中から調剤の勉強しておくことをお勧めします。
医療の世界では次々と新薬が登場しています。こうした状況について行くためにも、ブランクが長い人は早いうちから知識をブラッシュアップしておく必要があります。
インターネットや本屋さんなどで新人薬剤師向けの調剤テキストを1冊購入して通読しておくだけでも、現場に出てからの負担が軽くなります。
また、面接時にブランクを取り戻すために自己学習に励んでいることを伝えると印象も良くなり、採用の確率もアップするでしょう!
転職サイトによっては調剤研修システムが利用できたり、最新の調剤報酬改定に対応した調剤用テキストを無料でもらえるところもあるので、こちらも併せて検討してみてくださいね!
できるだけ処方箋枚数の少ない薬局を選ぶ!
ブランクが長い方は、できるだけ処方箋枚数の少ない薬局を選ばれることをお勧めします。
処方箋が1日に200枚も来るような薬局は非常にバタバタしており、現場の雰囲気もピリピリしています。
こうした薬局にブランク明けの方が入社すると、業務スピードに圧倒されてしまい、精神的に参ってしまうことも少なくありません(そもそも採用のハードル自体も高くなります)。
少しずつ調剤業務に慣れていくためにも、まずは処方箋枚数が1日50枚以下と募集要綱に書かれているような調剤薬局に復帰するのがお勧めといえますね!
調剤薬局の薬剤師として仕事と子育てを両立するための求人選びのポイント
ここでは小さなお子さんがいるママ薬剤師さんを対象に求人選びのコツを解説したいと思います!
パートや派遣など時間に融通が利きやすい勤務形態を選ぼう!
子育てや家事にも追われながらとっても忙しい毎日を送っているママ薬剤師の皆さんにお勧めの勤務形態はズバリ、派遣とパート薬剤師です!
正社員として調剤薬局に勤めると、どうしても夜番や土曜日など他のスタッフが嫌がる時間帯に出勤しないといけなくなります(そもそも子育て中の女性だと正社員ではなかなか採用されないかもしれません)。
また、仕事が忙しいときには当たり前のように残業をしなければならず、家庭との両立が難しくなります。
例えば、子どもを幼稚園に迎えにいかないといけないときに残業なんかになったら最悪ですよね!
その点、パートタイマーや派遣なら時間的にも融通がきくため、残業をさせられる可能性はかなり低くなり、おまけに採用されやすくなります。
また、パートタイマーであれば勤務時間も「午前中のみ」や「夕方まで」など柔軟に対応してくれるところが多いため、ママ薬剤師にとっては非常に働きやすい形態といえるでしょう。
ママ薬剤師の皆さんはぜひともこうした勤務形態の募集を狙っていきましょう!
自分と同じママ薬剤師が働いている職場を選ぶ!
職場見学や面接でぜひ確認しておきたいポイントは、その職場にママ薬剤師がいるかどうかです!
自分と同じ境遇のママ薬剤師が多くいる職場は、子育てをする女性が働きやすいという何よりの証拠でもあります。
こうした職場はママ薬剤師に対して理解もあるため、子どもが急に熱を出して出勤できなくなったときなどにも快く応じてくれる場合が多いですよ。
転職時には募集要項だけを見るのではなく、このような点にもぜひ着目してみてください!
土日祝日休みの病院前門前薬局を狙う!
調剤薬局で土日祝日がすべて休みのところは珍しいですが、探せば見つからないこともありません。
病院(特に公立病院)は土日休みのところが多いため、こうした病院の門前薬局であれば土日に休める可能性が高くなります。
「土日は家族と充実した時間を過ごしたい!」というママ薬剤師さんが転職される場合は、こういう薬局の求人を積極的に狙って行きましょう!
派遣薬剤師として調剤薬局で働きたい薬剤師の求人選びのポイント
派遣は採用されやすく働きやすいポジションですが、応募時には注意すべき点もあります。
派遣薬剤師として調剤薬局で働く場合は以下のようなポイントに注目して求人を選ぶようにしてください!
派遣元の福利厚生システムをしっかり確認しておこう!
派遣薬剤師として転職する際に注意したいポイントとして、福利厚生は派遣先の調剤薬局ではなく、派遣薬剤師を募集している派遣元の会社から提供されるということです。
このため、有給、育休、産休、各種手当て、定期健康診断の実施などはすべて派遣元の会社の規定に左右されます。
できるだけ手厚いサービスが受けられるように、派遣元のサービス内容や評判などはしっかりと確認しておくようにしましょうね!
親身に対応してくれる派遣元を選ぼう!
派遣薬剤師が雇用関係を結んでいるのは派遣先では無く派遣元の会社です。
このため、派遣先で何かトラブルが発生した場合は真っ先に派遣元の担当者に報告・相談をすることになります。
派遣元の担当者とは採用後もこまめに連絡を取り合うことになるため、派遣元の会社の担当者の人柄や人間性は実はとても重要になってくるんですね。
私も以前に派遣薬剤師として働いていたことがありますが、派遣元の会社の担当者がとても親切な方で、色々な相談にのってもらうことができました。
派遣先で求人条件との食い違いが起こったときも、担当者の方が派遣先の人事とうまく話をつけてくれたために、トラブルを回避することができました。
このように派遣元の担当者は派遣で働く薬剤師にとって非常に重要な存在になるため、転職時には、募集要項に書かれた内容だけではなく、担当者さんについてもしっかりと吟味することが大切になります。
調剤薬局の薬剤師求人探しは『薬剤師専門の転職サイト』が必須
調剤薬局に転職する場合は、以下のような理由から是非とも薬剤師専門の転職サイトを使うことをお勧めします。
小規模の個人薬局は情報収集が難しい!
調剤薬局って規模の大きな会社なんかと比べると情報が手に入りにくいんです。インターネット上で探しても、クチコミ情報すら見つけられないなんてことも多くあります。
そんなときに役に立つのが薬剤師専門の転職サイトです!
特に、調剤薬局の求人に特化した転職サイトには、過去に調剤薬局に転職した多くの薬剤師からの膨大なフィードバック情報が蓄積されています。
「この薬局は薬剤師の定着率が高い」「あの薬局はブラック企業で多くの退職者を出している」など、募集要項には載っていない、転職者にとって頼りになる情報が満載なんです。
このような転職の成否を左右するような貴重な情報を入手できるのは薬剤師専門の転職サイトをおいて他に無いため、転職サイトの利用は必須と言われています。
担当者が給与や条件面の交渉をしてくれる!
転職時にはいかに自分に有利な条件に持ち込んで採用を勝ち取るかが鍵となります。
特に個人の調剤薬局などの小さな会社は社長の裁量一つで給与額などが大きく変わってくるため、転職時の条件交渉は必須といえるでしょう。
この交渉時にとっても頼りになるのが転職サイトです!
転職サイトを利用すればベテランの担当者が自分の代わりに給与やその他の条件の交渉をしてくれます。
コミュニケーション能力や交渉術に自信の無い方はぜひこうしたサービスを活用して少しでも有利な条件で転職しましょう!
自分の条件にピッタリマッチした求人を見つけられる!
調剤薬局の求人件数は非常に大変多いため、この中から自分の求める条件に合う内容の募集を見つけ出すのは至難の技です。
その点、転職サイトを利用すれば、担当者に自分の希望する条件を伝えるだけで膨大なデータベースの中から自分が求める条件に合ったものをピックアップしてくれるので効率よく希望する求人を探すことができます。
調剤薬局の薬剤師求人に強い転職サイトはココ!
-
マイナビ薬剤師
仕事内容、職場の雰囲気、有給消化率などの濃い内部情報を提供してくれます。調剤薬局の求人には最も力を入れているので、優良求人が揃っています。
-
薬キャリ
女性薬剤師に優しいサポートに力を入れている転職サイトです。「将来のために、産休や育休の制度がしっかりしている薬局が良い」といった希望にも対応できる体制が整っています。
-
リクナビ薬剤師
大手人材紹介会社のリクルートが運営する薬剤師転職サイトです。情報提供スピードが速いので、さくっと求人を知りたいときにおすすめです。
あなたはどのタイプ?調剤薬局薬剤師への転職パターン別の転職理由、求人選びのポイント
調剤薬局への転職には、転職前の職種によって以下のようなパターンに分けられます。
企業から調剤薬局に転職
企業から調剤薬局に転職される方は、企業での激務に疲れ果てしまったからという方や、せっかく薬剤師免許を持っているからには一度は調剤薬局で働きたいからという方が多いです。
ただし、これまでに企業でしか働いたことがなく、調剤は全く未経験という方がいきなり調剤の世界に飛び込んでいくのはやや大変かもしれません。
特に処方箋枚数が1日に200枚を超える大病院の門前薬局のようなところでは仕事のペースについていけない可能性も高くなります。
そのため、こうした方は処方箋枚数が1日20~40枚程度の小規模薬局などで働かれることをお勧めいたします。
企業出身の方が調剤薬局に転職した場合はお給料はやや下がる可能性があります。
また、企業は通常は土日に休みを取れますが、調剤薬局では土曜は出勤させられるパターンが多いです。
家族や友人と予定が合わせづらくなる可能性があるのでこの点は注意が必要ですね。
ドラッグストアから調剤薬局に転職
ドラッグストアから調剤薬局に転職される方は、今の仕事に飽きてしまったり将来に不安を感じてという方が多いですね。
登録販売者の登場以来、ドラッグストア業界では薬剤師に逆風が吹いています。
今後は薬剤師をおかずに登録販売者だけで運営していく店舗が増えていくと予想されているため、ドラッグストアの薬剤師(特にOTC専任型)は早めに調剤技術を習得しておこうと調剤薬局に転職する傾向があります。
ドラッグストアから調剤薬局に転職する場合、調剤が全く未経験という方は、「未経験者OK」と募集要項に明記されていて研修体制が整っている職場に転職することをお勧めします。
未経験なのに人出不足でバタバタしている職場に転職すると痛い目をみることになるんで気をつけてくださいね(笑)
お給料はドラッグストアと比べるとやや低めになることは覚悟しておきましょう。
その代わり日曜・祝日や盆暮れ正月などは休みを取りやすくなります!
病院から調剤薬局に転職
病院から調剤薬局に転職する薬剤師は病院の激務に疲れ果てたからという方や、病院の給料が安すぎるからという方が多いです。
病院の激務に疲れたという薬剤師の方は処方箋枚数が少なく落ち着いて仕事ができる小規模薬局に転職する傾向にあります。
調剤薬局は病院と比べて年収が高く、多くの場合、転職することによって年収は上がります。
また、一般に病院薬剤師の方が調剤薬局の薬剤師よりもスキルが高いため、病院出身者であればよほどのことが無い限りは不採用になることはないでしょう。
病院出身者の方はご自身のバックグラウンドを活かして積極的に高待遇の調剤薬局に応募していくことをおすすめします!
調剤薬局薬剤師として他の調剤薬局に転職
調剤薬局から他の調剤薬局に転職する主な理由には、年収アップや人間関係の改善があります。
調剤薬局では割と早い段階で年収が頭打ちになるため、それ以上の年収を目指される場合はどうしても転職しなければなりません。
また、調剤薬局は基本的に狭い調剤室で複数の人間が働いているため、一度人間関係が崩れるとかなり居心地が悪くなってしまいます。
このような理由から他の調剤薬局への転職に踏み切る薬剤師さんが多いみたいですね。
調剤薬局は今はどこも薬剤師不足の状況にあるため、経験者ならすんなりと転職を決めることができるでしょう。
それどころか、募集要項に記載されているよりも高めの金額で給与交渉ができる場合も多いので、交渉が得意な方はぜひ試されることをお勧めいたします!
これまでの経験を活かして好条件の求人に積極的に応募し、有利な条件での採用を勝ち取ってください!
最後に
調剤は薬剤師の独占業務であり、調剤薬局とはまさに薬剤師にとっては聖域のような場所といえます。
これから先、高齢化が進むにつれて処方箋調剤の需要はますます高くなり、在宅医療の需要もさらに増えるため、調剤薬局は将来性のある大変有望な業種であるといえます。
また、薬剤師不足が深刻化していて、薬剤師にとってかなりの売り手市場である現在は、好条件の求人があふれており、転職にとって絶好のチャンスでもあります。
この記事を読まれて「調剤薬局っていいかも!」「自分なら今よりも条件のいい調剤薬局の募集がみつかりそう!」などと思われた方は、ぜひ行動に移されてみてはいかがでしょうか!?