薬学部を卒業して薬剤師の免許をとり社会人として順調にスタートしたはずなのに・・・「何だかもの足りない」「思っていたのと違う」「もっと違う働き方をしてみたい」「もっと自由に自分を活かしてみたい」そんな気持ち、ありませんか?

その思いは、社会に出るとだれもがぶつかる「壁」のようなものかもしれません。そこで壁を乗り越えてさらなる躍進をするヒトもいれば、立ち止まってしまうヒトもいます。なかにはより良い「別の道」を選んで進むヒトもいます。

薬剤師の資格を持つということは、ヒトとは違う選択肢を選ぶことができる、ということでもあります。しかしいったん就職してしまうと他の職種・職場を経験することはなかなかできないものです。

そこで、正社員としてではなく派遣薬剤師という働き方を選ぶヒトも増えてきています。派遣薬剤師として様々な職場を経験し、その中で自分にあっている働き方をみつける方もいます。

ここでは、派遣薬剤師という働き方に興味を持っているあなたのために「求人選びのポイント」「働き方の種類」「給料」など派遣薬剤師として働くために必要な知識をまとめてみました。

派遣薬剤師として働くことに興味があるのならば、このページをぜひ参考にしてみてください。

薬剤師が派遣の求人を探すなら「派遣会社」ではなく「薬剤師転職サイト」で

薬剤師の派遣求人を探す場合に、一般の派遣会社のサイトでやみくもに求人検索をしても求人情報はほとんどヒットしません。実は、薬剤師の派遣求人は一般の派遣会社ではほとんど取りあつかわれていないのです。

薬剤師の派遣求人を探すにあたって必ず知っておかなければならないことは、「薬剤師の派遣求人が多く掲載されているのは薬剤師転職サイトである」ということです。

一般の派遣会社では、大手であっても薬剤師の派遣求人を掲載していることはほとんどありません。

確かに、ごくごくまれに薬剤師の派遣をあつかっている一般の派遣会社もありますが、利用するのはおすすめできません。

というのは、派遣会社のエージェントが派遣薬剤師の募集や採用に不慣れであることが多く、派遣先との条件交渉がうまくいかなかったり、派遣先とのミスマッチが生じたりする可能性があるからです。

薬剤師の派遣求人を探すなら、薬剤師に特化した薬剤師転職サイトを必ず利用しましょう。

薬剤師転職サイトを利用するメリット

では薬剤師転職サイトを利用するメリットは何でしょうか?

まず、もともとが薬剤師の転職・就職を手がけている転職サイトなので、アドバイザーが薬剤師の募集・採用・転職などに精通しており、また薬剤師が必要とされる現場についてよく理解しています。そのため良い条件の派遣求人が見つかりやすいといえます。

また、希望する条件(例:勤務地・業種・給与条件・未経験可・土日休み・駅近・扶養内O.K.など)を細かくしぼって求人検索できることが多いので、自分の希望がかなう求人探しがしやすいというメリットもあります。

さらに、どのような理由で求人が出ているのか、どのような雰囲気の職場なのか、調剤薬局であれば処方せん枚数から常勤薬剤師の数・応需している診療科などまでしっかりリサーチされていることが多く、ミスマッチを防ぐこともできます。

加えて、薬剤師派遣を手がけている転職サイトの多くは「派遣先を紹介したら終わり」ではなく、就業後のフォロー体制も整っています。派遣先に対する不安・不満などに対するフォローも転職サイトが仲介して行ってくれるので、安心して働くことができます。

その他、福利厚生が充実していることも多く、条件を満たせば社会保険に入ることもできますし、薬剤師賠償責任保険に加入できる場合もあります。

これらはどれも、一般の派遣会社では到底フォローできない内容といえます。

派遣の求人に強い転職サイトを選ぼう!

以上のことから、薬剤師が派遣の求人を探すのなら一般の派遣会社ではなく薬剤師転職サイトを利用するのが大変便利でしかも有利です。

もっとも、薬剤師転職サイトであればどこでも薬剤師の派遣求人をあつかっているわけではありません。また、サイトごとに特徴があるのも事実です。大手調剤薬局と連携していて、そこでしかみられない案件をあつかっているサイトもあります。

派遣薬剤師という働き方に興味があるのならば、薬剤師転職サイトをいくつかあたってみましょう。そして自分の希望や好みに合致しそうな案件があったら、まず登録をしてみましょう。登録しても派遣薬剤師として働く義務はありませんから、気楽に登録をしてみましょう。

登録をすれば非公開求人を検索することもできますし、担当のアドバイザーが決まれば細かい希望も伝えることができます。今すぐ派遣薬剤師として働く気がなくても、その旨を伝えれば大丈夫です。

派遣薬剤師という働き方を選ぶのならば、薬剤師転職サイトを必ず利用しましょう!

派遣の求人に強い薬剤師転職サイトはココ!

  1. マイナビ薬剤師

    仕事内容、職場の雰囲気、有給消化率などの濃い内部情報を提供してくれます。調剤薬局・ドラッグストアだけではなく、製薬会社や治験業界といった企業系の職場への派遣にもとても力を入れています。

    「マイナビ薬剤師」公式サイトはこちら

  2. 薬キャリ

    女性薬剤師に優しいサポートに力を入れている転職サイトです。非常勤の求人にも力を入れており、派遣やパート・アルバイトの優良求人が充実しています。

    「薬キャリ」公式サイトはこちら

  3. リクナビ薬剤師

    大手人材紹介会社のリクルートが運営する薬剤師転職サイトです。情報提供スピードが速いので、さくっと求人を知りたいときにおすすめです。

    「リクナビ薬剤師」公式サイトはこちら

派遣薬剤師の給料について知っておこう!

次は、派遣薬剤師のお給料についてです。

派遣薬剤師のお給料は、多くの場合時給制です。時給はパート従業員より高いことが多く、月収に換算すると正社員より高額であることも珍しくありません。

では、具体的なお給料はどの程度なのでしょうか?

派遣薬剤師の平均的な時給額は2000円~3000円

派遣薬剤師の時給額の相場は2000円~3000円程度です。時給3000円を超えると「高額案件」とされることが多いようです。

時給は、同じ条件のパート従業員より若干高く設定されていることがほとんどです。

これは、パート従業員は企業と直接契約しており継続雇用が前提であるのに対し、派遣薬剤師は派遣会社と契約しており契約期間が短いこと、すなわち継続雇用が前提でないことが理由です。

時給が高いのはどんな派遣先?

時給が高いのは、薬剤師の確保が難しいエリアでの求人・交通の便が悪いエリアでの求人・忙しい職場での求人・繁忙期の求人などです。

傾向としては、派遣期間が長いものは時給が比較的低めで、派遣期間が短いものは時給が高めです。

私が今まで見た求人の中で最高額は時給6000円の案件です。薬剤師が非常に少なく交通の便も悪いエリアでの求人ですが、引越し費用・社宅の用意もしてくれるという案件でした。

都市部でも、レアですが高額案件がみつかることもあります。比較的大きな駅の近くにある調剤薬局の求人で時給5000円というものをみたこともあります。こちらも引越し費用は会社持ちで住居まで用意してくれるということでした。

こういった高額時給案件は、意外なことにその他の待遇面も充実していることが多いのです。

薬剤師賠償責任保険に加入できたり、週休2日以上であったり、住居費のみならず光熱費まで会社が負担してくれるケースもあります。「何が何でも薬剤師がほしい」という企業の切実な思いが反映されているといえますね。

薬剤師の派遣に関しては、必ずしも「高額時給=ブラック企業」ではありません。もちろん例外もあるでしょうが、不安な場合には転職サイトのアドバイザーに高額時給の理由をしっかり確認しましょう。

なお、高額時給の案件を中心に扱っている転職サイトもあります。そういったサイトでは時給4000円以上の派遣先が多数登録されています。

時給が低いのはどんな派遣先?

逆に時給が低いのは、薬剤師の確保が容易な都市部といわれています。薬学部のある都市や交通の便の良いエリアでは、たしかに時給は低めです。

また職種別でみると、ドラッグストアへの派遣は時給が低めです。

調剤薬局や病院、企業では、パート薬剤師より派遣薬剤師の方が時給が高めに設定されていることが多いのですが、ドラッグストアの派遣薬剤師はパート薬剤師とあまり変わらない時給であるといわれています。

年収に換算するといくら位になるの?

年収を1日8時間勤務、年間休日125日(240日勤務)で計算すると、時給2000円の場合は384万円、時給3000円の場合は576万円、時給4000円の場合は768万円、時給5000円の場合は960万円、時給6000円の場合は1152万円です!手取りとなるともう少し少なくなりますが、非常に高い水準といえます。

もっとも、これは1年間継続して働いた場合の収入になります。

派遣先が変われば時給が変わることもありますし、継続勤務を希望しても派遣先が契約更新をしてくれないこともあります。

また、派遣の契約期間が切れたあとに次の派遣先がみつからないと、その間は無収入となってしまいます。この点は派遣薬剤師として働く時に注意しなければいけませんね。

資格を持っていると時給は変わるの?

資格を持っていても時給が変わるとは限りません。

採用する側にとって重要なのは資格ではなく「今までどのような仕事をしてきたか」「即戦力になるか」ということだからです。ただ、募集時に時給に幅がある案件では、時給アップの交渉材料にはなるかもしれません。

なお、時給アップの交渉材料となる資格は、派遣先により異なってきます。

例えば、調剤薬局であればかかりつけ薬剤師になるために必要な「認定薬剤師」の資格が有利といえます。

また、在宅医療を行っている薬局であれば「緩和薬物療法認定薬剤師」「認定褥瘡薬剤師」なども需要が高いといわれています。

ただし、派遣期間が短い場合には、いずれの資格もあまり受給アップの交渉材料にはならないかもしれません。

一方、病院への派遣を希望する場合には、「がん専門薬剤師」や「感染制御専門薬剤師」など専門性の高い資格が有利といわれています。

そして、企業への派遣を希望する場合にはTOEICをはじめとする英語の試験は有利に働くことが多いといえます。希望する職種によっては「治験コーディネーター認定資格」などがあると有利かもしれません。

ボーナスは出るの?

ボーナスが出る求人は、ほとんどありません。ただし、契約の継続を条件にミニボーナスが支給される派遣先も、時々あります。また、派遣会社に正社員として雇用されるという働き方をする場合、派遣会社からボーナスが支給される場合もあります。

パート・アルバイトと派遣薬剤師、どっちが有利?

パート・アルバイトも働き方はある程度自由に決めることができますし、派遣薬剤師も働き方を選べる場合が多いです。

しかし時給が若干低くても安定雇用・異動のない働き方を希望するならば、パート・アルバイトで働くのが有利でしょう。

一方、短期間にしっかり稼ぎたい・いろいろな職場を経験したい・転居をいとわない・人とのしがらみを考えたくないというのならば、派遣薬剤師として働くのが有利だと思います。

派遣薬剤師の求人を条件面で選ぶ

では、派遣薬剤師の求人をどのようにして選べばよいのでしょうか?

派遣薬剤師の大きなメリットの一つとして「働くときの条件を自由に選べる」という点があげられます。そこで、まず派遣薬剤師の求人を条件面で選ぶ際のポイントを検討してみようともいます。

働く曜日・時間を選ぶことができる

派遣薬剤師の求人では、多くの場合働く曜日・時間帯がしっかり明記されています。

フルタイムに近い求人だけではなく、週2~3日のみの求人、午前中のみ・午後のみの求人や、土日休み・逆に土日のみ勤務という求人もあります。もっとも、なかには「勤務日・勤務時間については相談に応じます」という募集もあります。

多彩な案件の中から自分の希望する働き方(フルタイム or 時短、平日勤務希望 or 土日勤務希望 など)に応じて派遣先を選ぶようにしましょう。

派遣薬剤師を募集・採用する企業は人手不足です。勤務が決まってから働く曜日や時間について条件の変更を希望しても、認められない場合がほとんどです。それどころか契約を打ち切られたり、次の派遣先を紹介してもらえなかったりする可能性もあります。

自分の希望する曜日や時間をしっかり転職サイトや派遣先に伝え、無理のない働き方を選ぶようにしましょう。

基本的に残業はなし

派遣薬剤師として勤務する場合、残業はほとんどありません。あっても少なめですし、残業代はしっかり払ってもらうことができます。

派遣薬剤師は派遣会社に雇用されているのであって派遣先企業に雇用されているわけではないので、サービス残業はありえないのです。

また、派遣先企業も残業代が発生すると人件費がかさんでしまうので、派遣薬剤師に残業をさせることはあまりないのです。

ただし、残業がある場合もあります。残業を希望しない場合には、残業の有無を必ず確認しましょう。

自分の希望する職場を選ぶことができる

派遣で働く場合、派遣先の業種などを選ぶことができるのも大きな魅力です。

例えば調剤薬局の場合、総合病院の門前薬局・クリニックの前にあるマンツーマン薬局・繁華街などにある面薬局など自分の希望する形態の薬局を選ぶことができます。

今まで経験したことない環境をあえて選び、スキルアップすることも不可能ではありません。

また、ブランクや経験不足が不安な場合は、処方せん枚数が少ない薬局を選べば安心です。

もちろん転職サイトのアドバイザーに自分の希望や不安を伝えれば、それに応じた派遣先を紹介してもらえます。

その他、治験コーディネーターなどは未経験でも研修制度が充実していることが多いので安心です。

自分が希望する職種・業態とその理由、今までの自分のキャリアでできること・できないことをしっかり伝えて、より良い派遣先を紹介してもらいましょう。

有給休暇・産休育休はとれるの?

一定の条件をクリアすれば、派遣薬剤師にも有給休暇は付与されます。また、産休育休も取得することはできます。

ただし、有給休暇があるからといって自由に休むことは難しいかもしれません。というのは、派遣先企業とのすり合わせが必要になるからです。

人員に比較的余裕のある職場であれば休みやすいかもしれませんが、多くの派遣先は人手不足です。急病などの場合を除き、休暇を希望する場合には早めに派遣先企業に伝えましょう。

また、産休育休についても早めに派遣会社には伝えましょう。派遣先企業に伝えにくい場合には、転職サイトのアドバイザーを通じて伝えてもらいましょう。

「派遣切りにあるのでは?」と不安に思われるかもしれませんが、派遣薬剤師の産休育休取得率は比較的高めです。

もともと派遣薬剤師は期間限定で働くことが多いので、派遣期間を出産にうまく合わせればストレスなく働くことができます。

引越し代や居住費の負担は?

派遣薬剤師として働くにあたり、転居を伴う場合には住居費・引越し費用を派遣先企業が負担してくれる場合も少なくありません。

特に地方に派遣される場合には、上限がある場合もありますが、住居費・引越し費用が派遣先企業負担であることが多いです。場合によっては、住居費のみならず光熱費も負担してくれることもあります。

交通費の負担は?車通勤はできるの?

交通費の負担は、派遣先によりさまざまです。全額負担してくれる場合もあれば、支給なしの場合もあります。

車通勤の場合も同様で、ガソリン代の支給の有無は派遣先によります。特に居住地が派遣先に近い場合には、車を使っても交通費が支給されないことがあります。これは派遣前に確認した方が無難です。

なお、交通の便の悪いところでは、車が貸与されたりタクシー代が支給されたりするケースもあります。

派遣期間は1日~長期までいろいろあります

派遣期間は多くの場合月単位ですが、1日単位で働ける案件もあります。このような案件は若干条件が厳しい(60歳以上 or 学生 or 世帯年収など)のですが、条件をクリアすれば単発で働くことができます。

一方で派遣が許される期間いっぱいまで働いて欲しい、という長期案件もあります。

派遣薬剤師は正社員やパートとして働く場合と違って働く期間を自分の都合に合わせて選ぶことができるのも、大きなメリットです。留学や家族の長期休暇など、自分のスケジュールに合致する案件を選ぶようにしましょう。

いずれ正社員として働きたいならば紹介予定派遣を選びましょう

ところで、紹介予定派遣という働き方をきいたことがありませんか?

紹介予定派遣では、派遣薬剤師として派遣先で1~6ヶ月の間働きます。そして、派遣期間が切れるときに、派遣薬剤師と派遣先企業の双方が同意をすれば正社員として採用されるという制度です。

いきなり正社員として働くのではなく、いわば「お試し期間」があるので、ミスマッチが生じる可能性が低くなります。

全ての派遣先で実施されているわけではありませんが、転職を希望していていずれ正社員で働きたい、あるいは転職を希望してはいるけれどいきなり正社員として働くことに抵抗を感じている方には、とても良い制度だと思います。

まとめ

派遣薬剤師の求人を条件面で選ぶ際のポイントをさまざまな角度から検討してみましたが、いかがでしたか?

漫然と転職サイトで派遣薬剤師の求人をみていると、いろいろな案件があるので目移りしてしまうものです。転職サイトで求人を探す前に、どんなわがままな内容でもいいので自分の希望を洗い出しておきましょう。

派遣薬剤師の求人を働き方で選ぶ

では、今度は薬剤師派遣の求人を働き方(職種)ごとにどのような人におすすめなのかをみていきましょう。

ドラッグストア(OTCのみ)

ドラッグストアは年中無休であったり営業時間が長かったりする店舗がほとんどです。そのため勤務時間がシフト制の求人が多いです。また、土日どちらかは勤務できることが条件とされている場合もあります。

仕事内容は、品出しからポップ書き、第一類医薬品の販売まで幅広いです。通信販売をあつかっているところでは、インターネットの注文や質問などへの対応も行うことがあります。

薬だけでなく幅広い商品にふれる機会がありますし、お客さんとの距離も近いです。

ドラッグストアから提示されるシフトに柔軟に対応できる人、雑貨も含めいろいろな商品に興味があってどんな業務も楽しめる人、接客が好きな人にはおすすめの職場です。

ドラッグストア(調剤兼任)

ドラッグストアと調剤店舗が併設されている場合には、どちらの業務がメインになるか求人案件に記載されている場合が多いです。

もっとも明記されていない場合もあるので、転職サイトのアドバイザーに確認をしましょう。

OTCあるいは調剤専任なのか、兼任なのかは働く上で重要です。

ただし、併設店では調剤専任であってもOTCや介護用品に関する質問を患者さんから受ける機会が多いです。

ドラッグストアがメインの場合は、勤務時間がシフト制であることが多いようです。一方で調剤専任の場合は、勤務時間が決まっていることが多いようです。

なお、調剤専任でもドラッグストアの開店時間が遅い場合には調剤の方もそれに合わせて受付を行うので、勤務終了時間が遅くなることもあります。

併設店では、調剤だけでなくドラッグストアで販売されている商品のことも学ぶ機会があります。そのため、OTCや介護用品の勉強をしたい人、接客が好きな人におすすめの職場です。

門前薬局

総合病院の門前薬局は、非常に忙しいところが多いです。診療科目が多岐にわたることも多く、非常に勉強になります。

しかし、忙しすぎるがゆえに派遣先からは「即戦力」であることを求められることが多いです。

一方で、業務が十分に終わっていなくても、残業ができないために薬歴を書ききれず次の日に持ち越してしまうこともあります。

そのため門前薬局におすすめなのは、ある程度のスキルがあり自分の力量を見極めてしっかり仕事をこなせる人、どんなに忙しくてもそれに耐えうる体力・精神力のある人です。

マンツーマン薬局

マンツーマン薬局は門前薬局に比べて余裕のあるところが多いですが、メインで処方せんを受け付けているクリニックの診療科目によっては処方せん枚数が繁忙期に通常の2倍以上発行される場合もあるので注意が必要です。

どういう理由で求人が出ているのか(例:繁忙期だから、産休育休の従業員がいるから等)、また、自分が派遣される時期の処方せん枚数がどの程度なのかをしっかり把握しておくと、安心して働くことができます。

そして、マンツーマン薬局ではクリニックからの処方せんを月に2~3回持ってくる人も多いので、患者さんとの距離も近く感じることが多いです。

これらのことからマンツーマン薬局におすすめなのは、ブランクがあったり調剤経験が浅いためにしっかり勉強したい人(ただし、繁忙期ではないことが条件です)、患者さんにしっかり関わりたい人です。

なお、繁忙期の求人については門前薬局と同じで、スキル・体力・精神力のある人におすすめです。

面薬局

面薬局は受付時間が長いことが多いので、勤務時間がシフト制であることも多いです。一方で、立地(ビジネス街など)によっては土日が完全に休みになるところもあります。

面薬局では取り扱う薬剤の種類が多く、規格・剤形違いの薬剤を多数在庫していることも多いです。そのため、調剤過誤を出さないために細心の注意を払って調剤を行う必要があります。

また初来局の患者さんの薬を在庫していないケースも多いため、医師に疑義照会で薬剤の変更をお願いしたり患者さんに謝罪したりする機会も多くなります。

そこで面薬局におすすめなのは、ある程度の調剤経験があって細心の注意を払って業務にあたることのできる人、薬の欠品時に臨機応変に対応できる人です。

病院・クリニック

病院やクリニックへの薬剤師派遣は原則禁止されています。しかし例外的に認められているものもあり、紹介予定派遣の場合や産休育休・介護などによる代替派遣については認められています。

薬剤師複数人体制であることがほとんどで、未経験でも可という求人も多いです。残業や当直もほとんどなしです。

病院の業務に興味があるけれどいきなり正規雇用は不安だという人、病院勤務がしたいけれど残業・当直は避けたい人、やりがいのある仕事をしっかりしたい人にはおすすめです。

企業内診療所の薬剤師

ごくごくまれですが、企業内診療所の薬剤師の派遣求人が出ることがあります。勤務されている方が産休・育休を取得するタイミングで募集が出ることが多いようです。

企業内診療所は診察時間が比較的短いですし、重症な患者さんは少ないです。処方も比較的軽めなので人気の案件です。

おすすめなのは、ブランク明けで短時間勤務を希望している人、期間限定で働きたい人です。

製薬会社

数は少ないですが、製薬企業での募集もあります。

募集職種はいわゆる学術部門が多く、文献のスクリーニングや資料作成、コールセンターでの業務が多いようです。

未経験でも研修があり、バックアップ体制も整っていることが多いようです。土日休みが多いですが、勤務時間はフルタイムに近い場合が多いようです。

おすすめなのは、企業での学術の経験がある人、学術は未経験だけれど興味がある人、文献を読むことが苦痛でない人、デスクワークを希望する人などです。

治験に関わる仕事

治験に関わる仕事も派遣の方が活躍されています。実際に病院などに行って医師や患者さんに接する治験コーディネーターや治験モニターとして働いたり、企業に勤務して治験データを整理・管理したりする働き方もあります。

治験コーディネーターや治験モニターは、宿泊を伴う出張があることもありますし、残業も生じることがあるようです。そして、治験コーディネーターや治験モニターの求人は紹介予定派遣が多いといわれています。

一方、企業に勤務してデータをあつかう仕事をする場合には、デスクワークがほとんどです。締め切り間際は若干スケジュールが厳しいときもあるようですが、残業は少なめのところが多いようです。

治験に関わったことのある人、出張をいとわない人、新薬の開発に関わりたい人、将来正社員として働くことを希望している人などにおすすめです。

講師

異色ですが、美容師さんなどの専門学校での講師の募集もあります。

講義は1回1時間弱で、1週間の講義数は案件ごとに異なります。指導マニュアルもあるようです。

勤務時間や勤務日は比較的自由がきくようで、早めに予定を伝えれば時間割作成時に反映してもらえるようです。

この仕事におすすめなのは、他の薬剤師が経験したことのないような仕事をしてみたい人、教育に興味がある人、余裕を持って働きたい人です。

まとめ

薬剤師の派遣求人にはこのようにいろいろな働き方があります。ここにあるのはほんの一例です。

興味のある職種に派遣薬剤師として勤務して、自分の適性をみるのもいいですね。

派遣薬剤師Q&A ~よくある疑問・質問に答えます~

では、ここからは派遣薬剤師についてよくある疑問・質問にQ&A方式で回答していきます。

派遣薬剤師の仕事だけで生活することは可能?

派遣薬剤師の時給は高水準ですので、仕事が途切れなければ収入面で困ることはまずありません。特に単身者である場合には、場所を選ばなければ仕事は確実にありますので、生活は可能です。

週40時間で働けば、時給2000円ならば年収は400万円弱ですし、時給3000円ならば年収500万を軽く超えます。

しかし、派遣の仕事は継続してあるとは限りません。診療報酬の改定内容によっては、いわゆる「派遣切り」が生じる可能性もあります。

継続して安定した収入を得ることを希望するならば、正社員になることを前提として紹介予定派遣を選ぶか、派遣会社に直接雇用されて提携先の企業に派遣されるという形式の派遣を選ぶと良いでしょう。

子育てしながら派遣薬剤師として働くことはできる?

派遣薬剤師は働き方を選ぶことができるので、家族のスケジュールに合わせて子育てをしながらでも働けます。ママ薬剤師の中には、子どもの長期休暇に合わせて仕事をしている派遣薬剤師もいます。

しかし、子どもの急な体調変化などでどうしても休みたい時もありますよね。

そこで、子育て中の方におすすめの求人は、比較的余裕のある職場や子育てに理解のある職場への派遣です。

調剤薬局ならば、常勤薬剤師数の多い求人・一人あたりの処方せん枚数が少ない求人・ママ薬剤師の多い職場の求人です。

企業であれば、コールセンターなどです。

治験に関わる仕事や講師は事前にスケジュールが決まっていることが多く、急に休むことは難しいでしょう。スケジュール調整の難しい職場に派遣される場合には、転職サイトを通じて子育て中であることをしっかり伝えてもらいましょう。

派遣薬剤師に必要なスキルは?

まず、どのような仕事を選ぶにしても、コミュニケーションスキルは必須です。派遣薬剤師は職場が頻繁に変わることが多いですが、コミュニケーションスキルが低いとなかなか職場になじめません。また患者さんや医師とのコミュニケーションが上手に取れないと、業務がとどこおってしまいます。

そして、調剤薬局や病院への派遣を希望する場合には、調剤経験や病院での勤務歴があると有利です。特に繁忙期の求人や忙しい職場での求人では即戦力が求められるので、調剤経験があると喜ばれます。

一方、製薬会社や治験に関わる仕事ならば、英語ができたほうがよいでしょう。

もっとも、調剤スキルや経験不足が心配ならば、未経験可あるいはブランク可の求人を選べば大丈夫です。転職サイトのアドバイザーにも不安なこと・苦手なことを積極的に伝えるようにしましょう。

英語はできたほうがいい?

治験に関わる仕事や製薬企業の学術の仕事を希望する場合は、英語ができたほうが有利といえます。少なくとも、英語アレルギーではないほうが良いでしょう。

調剤薬局で働く場合は、働く場所によると思います。ビジネスマンの多く集まるような場所であれば英語はできたほうがいいでしょう。一方で外国の方が少ない地方の薬局であれば、英語よりもその地方の「方言」をマスターするほうが大切です。

私は工場や農地の多いエリアで働いていたことがありますが、出稼ぎの外国人の方が多く、しかも英語が通じない方(ポルトガル語や中国語がメイン)が多かったので大変な思いをしたことがあります。患者さんのお子さん(小学生くらいの子ども)に通訳をしてもらったこともあります。

未経験でも大丈夫?

派遣薬剤師については、未経験可という案件が多数あります。今まで経験したことのない分野で働いてみたいという人にとっては、とてもうれしいことですよね。

ただし「未経験可」となっていても、繁忙期の求人や忙しい職場に応募してしまうと、派遣先の求めるスキルと自分の持っているスキルとの間にミスマッチが生じる可能性があります。

このようなミスマッチを避けるために、転職サイトのアドバイザーに自分のできること・できないことをはっきり伝えましょう。

未経験の方でも働きやすい職場は、調剤薬局の場合は薬剤師一人あたりの処方せん枚数が少ない薬局・単科のクリニックの処方せんを主に受け付けている薬局などです。治験に関わる仕事や製薬企業の学術、専門学校などの講師も未経験からという人が多いので、おすすめです。

仕事の掛け持ちってできるの?

仕事の掛け持ちは、O.K.であることが多いようです。場合によっては、派遣会社から複数の就業を持ちかけられることもあるようです。求人によっては「掛け持ち可」と明記してあるものもあります。

ただし、本業があって派遣薬剤師を副業とする場合には、本業の就業規則に従ってください。また、転職サイト側にも本業があることを伝えておくと、トラブルを未然に防ぐことができます。

なお、複数の派遣会社に登録することは、全く問題がありません。というのは、派遣先が決まるまでは雇用契約が発生しないからです。

派遣会社ごとに若干個性が異なりますので、相性のいい派遣会社をみつけるまでは複数の派遣会社に登録するほうがむしろいいかもしれませんね。

派遣期間の途中に辞めることはできるの?

派遣期間の途中で仕事を辞めることは、よほどのことがない限り難しいです。というのは、派遣薬剤師を採用する企業はほとんどの場合人手不足で、派遣薬剤師の方に辞められてしまうと困ってしまうからです。

身勝手な理由で辞めてしまうと次の仕事を紹介してもらえなくなる可能性があります。したがって、派遣の仕事を引き受ける前に業務内容や派遣期間などをしっかり確認しましょう。

とはいえ、やむを得ない場合もあると思います。

例えば入院をともなうような病気や怪我の場合には、転職サイトのアドバイザーにしっかり事情を説明し、復帰できる時期も含めて派遣先に伝えてもらうようにしましょう。

一方、派遣先が契約内容を守ってくれないような場合(サービス残業の強要・職務内容が事前の説明と全く異なる・何らかのハラスメントがある等)には、アドバイザーにその内容をしっかり伝えましょう。それでも事態が改善されないようならば、仕事の継続が不可能であることをはっきりと伝えましょう。

派遣で管理薬剤師として働くことはできる?

派遣で管理薬剤師として働くことは、原則としてできません。というのは、法律によって管理薬剤師は派遣の対象からはずされているからです。

ただし、紹介予定派遣であれば、管理薬剤師として働ける可能性があります。紹介予定派遣は通常の派遣と異なり、正社員になることが前提となっているからです。

管理薬剤師として働くことを希望する場合にはそのことをに伝え、長く働ける良い派遣先(転職先)を紹介してもらいましょう。

派遣の場合、薬剤師賠償責任保険はどうなりますか?

調剤薬局で働く場合、薬剤師賠償責任保険に加入していると万が一の時に安心ですよね。

大手の派遣会社に登録すると、薬剤師賠償責任保険に加入できることがあります。会社によって対応が異なりますので、加入を希望するのであれば問い合わせをしてみましょう。

最後に

派遣薬剤師という働き方は、非常に魅力のある働き方です。

さまざまな職場を経て経験を積むことができますし、自分のライフプランやライフステージに合わせてその時に最も適した働き方を選ぶこともできます。派遣という働き方を通じて、自分が本当にやりたいことをみつけることもできるでしょう。

「無理せず、自分らしく生きる。」それが実践できる数少ない働き方の一つだと思います。

派遣薬剤師の求人で興味のある案件があったら、まず転職サイトに登録してみましょう。そこからあなたの新しい未来が始まるかもしれません。

登録しても派遣薬剤師として働く義務はありません。恐れずに、まず最初の一歩を踏み出してみてくださいね。