人間ドック健診食生活改善指導士の資格概要

人間ドック健診食生活改善指導士は公益社団法人日本人間ドック学会が実施している資格です。平成20年から、医療保険者に特定健診や特定保健指導をすることが義務化されていて、実際に行われています。

そこで、適切な保健指導を行うことのできる人材を育成すること、特定保健指導をする立場の知識や指導技術の水準引き上げなどを目指して創設されたのが、人間ドック健診食生活改善指導士です。特定保健指導のプロフェッショナルとしての役割を担っています。

人間ドック健診食生活改善指導士に必要な知識や技術

健康や食生活に関係している深い知識が必要になります。食生活と健康がどのように結びついているのか。どのような食生活が好ましいのか。特定保健指導で指導する内容をきっちりと正しく伝えるために、それらの知識を蓄え行使するわけです。

また、実際に特定保健指導を行うときには医師や保健師・管理栄養士などが作成する計画書に基づいて指導をしなくてはならなかったり、他の職種の人たちとの連携を取る必要もあります。自分とは違った立場にいる人間とも円滑なコミュニケーションをとることができるような高いコミュニケーション能力も、人間ドック健診食生活改善士には大切です。

人間ドック健診食生活改善指導士になるには

試験はいらない

人間ドック健診食生活改善指導士の資格を取得するのに試験を受ける必要はありません。ではどんな人が資格取得対象になるのか、どういう道のりをたどれば資格の認定を受けることができるのでしょうか。

まず対象者についてですが、これは看護師・栄養士・歯科医師・薬剤師・助産師・准看護師・歯科衛生師になります。これを読んでいる人は薬剤師の方がほとんどだと思うので、もうすでに認定対象者になっているというわけですね。

そのほかにとくに条件というものはありません。これだけの要件を満たしていれば認定対象者として扱われることになります。「でも試験がないんだったらどうやれば?」と疑問が浮かぶことでしょう。

試験が無いから申請さえすれば誰でも資格をとることができるのか。それは違います。

人間ドック健診食生活改善指導士になるには、日本人間ドック学会主催の研修会に参加する必要があるのです。

研修会について

人間ドック学会の研修会は、厚生労働省の「食生活改善指導担当者研修プログラム」に基づくものであり、結構難しい内容になっています。そこに学会独自のプログラムなども加わってくるのですが、期間はたったの4日間。

「4日しか受けなくていいのか」と思うことでしょうが、それだけ濃密な時間を過ごすことになり頭がパンクしてしまう人もいらっしゃいます。短期決戦でたくさんの知識・技術全てを詰め込むと考えると大変ですね。

この研修プログラムを全て履修しなければ資格取得はできません。

一日目はまず人間ドッグの歴史を15分間語ることから始まります。その後のプログラムは以下の通りです。

  • 社会環境の変化と健康課題を1時間
  • 健康づくり施策についてを1時間
  • 生活習慣病とその予防についてを1時間
  • 生活指導と健康に影響する生活環境要因についてを1時間
  • 個人の健康課題への対処行動についてを1時間半
  • ストレスとその関連疾患およびストレスへの気づきへの援助が2時間半

一日目で合計8時間15分の講義をみっちりと受けることになります。まるで学校のような時間割ですね。座学でもくもくと講義を受ける受動的なプログラムがその後も続きますが、4日目には意見交換やグループワークの時間が160分も設けられています。

そこで4日間で学んできた知識や技術を総動員して話し合いや意見交換などを行い、自己の知識レベルがどこまでの水準を満たしているのかを確認することができる。それが終われば資格の認定を受け、晴れて認定者の仲間入りです。

人間ドック健診食生活改善指導士の活躍の場

特定保健指導を行っている医療機関や健診センターが人間ドック健診食生活改善指導士の仕事場になります。そこで仕事を行っていくわけですね。薬剤師であることと研修を受けることというだけで資格をとることができるので、とりあえず取ってみるという取り方ができます。

取っておくと将来転職するとなったときなどに選択の幅が広がるので良いですよ。