病院薬剤師への転職に魅力を感じた理由

私は新卒から大手全国チェーンの調剤薬局に勤務していました。門前は内科のクリニックで甲状腺専門のドクターが常時いるため、甲状腺疾患の患者さんが多く処方内容も偏っていました。

数年勤務し、調剤薬局では門前の病院の採用薬以外は触れる機会が少なく、知識も偏ってきていると感じることが多くなってきた為もう少し勉強したいと感じるようになり病院薬剤師の仕事に興味を持ち始めました。

調剤薬局では患者さんも「病院の先生に話したのに、なんでまたここで話す必要があるの?あなたは薬を出すだけでいいの!」という態度で、症状や診断内容を詳しく教えてくれず、また薬剤師は診断名を知る権利もない為なかなか処方意図を読み取ることもできず悪戦苦闘の毎日でした。

それに比べて病院薬剤師は病棟や院内のPCでカルテを見ることができ診断名を把握したうえで処方内容を見ることができると聞き、それにとても興味がありました。

大学病院の採用試験を受けるが・・・

大学病院等の大きな病院は年に1度採用試験があり、正社員ではなく嘱託での採用なのでかなり狭き門の為、働きながら勉強するのは大変苦労しました。普段の仕事もこなしながら寝る間を惜しんで、英語や小論文、薬理学などを勉強しましたが結果は不合格。

どうしようかと行き詰っている時に、友人から薬剤師の転職には薬剤師転職サイト(紹介会社)を利用するほうがいいよと言われ、試しに登録してみました。確かに最近はネットで薬剤師の求人を探そうと思うと必ずと言ってよいほど転職斡旋業者のホームページが出てきます。

薬剤師転職サイトを使ってみて

転職サイトに登録してすぐに電話がきて、希望の職場や、給料、転職の時期等を確認されました。求人情報を見たいな~って軽い気持ちで登録した人にとっては、正直面倒くさいと思います。20~30分の電話でのやり取りが終わり、その後メールで自分の希望に沿った求人情報が届きました。

さすがにいろいろ希望を伝えただけあって条件的には近いところが多かったのですが、やはり調剤薬局から病院への転職では年収の低下は覚悟しなければいけないのだと実感しました。実際に年収100万円以上は下がる求人情報ばかりでがっかりしながらも、迷いに迷った結果、若いうちに色々経験みようと転職を決意しました。
 
面接の際には紹介業者の担当の方も同席してくださり、私は病院側からの質問に答えるのみで、こちらからの希望や質問等は担当者が代弁するという形です。とてもスムーズに進み、こんなラクな面接でいいのだろうか?と思っていると、面接終了後すぐに採用内定。

就職難といわれているこの時代にこんなに簡単に就職内定をいただいていいのだろうか・・・就職活動中の学生たちから怒られるのではないか?などと考えるほどでした。採用試験等もなく面接のみで決まり、大学病院との違いも実感しつつここで頑張っていこうと意気込んでいました。
 

病院に転職して感じたこと

実際に病院に勤務するようになり、まず初めに調剤薬局に比べ患者さんと接する機会の少なさに愕然としました。ほぼ1日中、調剤マシーンとなり調剤室にこもりっぱなし。確かにカルテ等を見ることは出来るけれど、処方内容や処方意図を解読するより、まずは調剤!という雰囲気になかなか慣れず調剤薬局での勤務を思い出すたびに転職を後悔する日々でした。

病院薬剤師は病棟での服薬指導に力を入れるようになったと言われていますが、調剤薬局と比較するとまだまだその数は少ないようです。確かに入院患者さんは薬の変更、薬による副作用が出る、また退院時の持帰り薬に関して、などそれ以外に服薬指導をする機会は少ないです。また看護師さんとのコミュニケーションも上手く取れていないと、薬剤師が病棟に来ることに嫌悪感を示される場合もあります。

調剤薬局経験者から見た病院薬剤師のメリットとデメリットもご覧ください。

まとめ

今回の転職を経験して、転職前に漠然と病院に勤務すれば多くの薬に接する機会が持てて、患者さんの情報もカルテ等から正確に入手でき勉強になると考えていた自分の甘さを痛感しました。病院でも採用薬以外の薬と接する機会は少なく、また患者さんと接する機会は調剤薬局より格段に少ない事を学びました。

ただし、調剤薬局のように患者さんが多いときにスムーズに業務を回す努力は不要で、また曜日による患者さんの数の波は病院にはないので気持ち的には余裕をもって業務に取り組めると感じました。

でも私は病院でカルテを見て解決するより、調剤薬局で患者さんとコミュニケーションをとりながら症状を聞いて会話の中から診断名に近いものを自分なりに予想するほうが楽しく勉強になり、私に合っていると再確認することができました。