妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師とは

妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師は一般社団法人日本病院薬剤師会によって平成21年度から運用・実施されている認定制度です。

通常、医薬品というのは、治験などの臨床実験を医薬品開発の段階で行って安全性や効果を確かめるものですが、妊婦や授乳婦や胎児・乳幼児に対して臨床実験を行うことができません。

そのため、妊婦・授乳婦に対する薬物療法という分野は、医薬品の効果や安全性のデータが極端に少なくなってしまっています。薬物療法をきっちりと適切に安全に行うために妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師の専門性と豊富な実経験が求められています。

妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師には、出生率が年々減少傾向にある現在において、すでに芽生えた命をからさないように妊婦や授乳婦の健康を保証するという意味で出世維持の維持増加に一役買っているという役割があります。

妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師に必要な知識と技術

妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師に必要な知識は、妊婦や授乳婦に関する知識です。

妊婦や授乳婦は体がどういう状態なのか、どういった症状に陥りやすいのか。どういう成分が含まれているものが危険なのか安全なのかについての専門的な知識はもちろんのこと。

確立されていない分野において正しく薬物療法を行うためには、それだけの経験が必要です。医療現場での実経験を積んで、正しい判断と情報分析などを行うことができる技能も大切になりますよ。

妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師になるには

申請条件

  • 日本の薬剤師免許を持った薬剤師
  • 5年以上、薬剤師としての実務経験を積んでいること
  • 日本病院薬剤師会の会員
  • 別に定める団体のいずれかの会員であれば日本病院薬剤師会の会員でなくても良い
  • 日病薬病院薬学認定薬剤師であること
  • 日本医療薬学認定薬剤師であれば上記を満たす
  • 病院や診療所にて妊婦授乳婦の薬剤指導を継続して3年以上行っていること
  • 日本病院薬剤師会が認定している研修施設にて、模擬妊婦模擬授乳婦とのロールプレイを含むカウンセリング技術情報評価スキルの確認トレーニングなどの実技研修を40時間以上履修していること
  • 研修施設にて、妊婦授乳婦の薬剤指導に3年以上従事していることの証明
  • 日本病院薬剤師会が認定している妊婦授乳不良域の講習会別に定める学会の主催している同領域の講習会を20時間10単位以上履修していること
  • 妊婦や授乳婦の薬剤指導実績が30症例以上あること
  • 病院長や施設長の推薦
  • 日本病院薬剤師会が行っている妊婦授乳婦薬物療法認定薬剤師認定試験に合格している

試験について

認定試験の問題は全部で50問。選択肢は5択になっています。合格の基準も合格率も非公開。おそらく合格基準は上位3名の平均点の75%ほどの点数であると言われていますよ。わかりやすく言うならば(なかなか無いとは思いますが)上位3名が全員100点だったとすると、合格基準点は75点ということになりますね。

あくまでも一般的に言われている推測であり、本当のところはわからないので注意してください。合格率も非公開ですが、6割から7割程度だと言われていますよ。出題範囲に関して普通に勉強していれば、普通に合格できるくらいのレベルです。

出題範囲については、インターネットでPDF形式で公開されています。例えば次のようなものがあります。

  • 妊婦
  • 出産に関する知識
  • 授乳婦に関しての知識
  • 胎児や新生児の影響
  • 栄養・サプリメント・嗜好品の影響
  • 先天奇形・先天異常
  • 臨床研究について
  • 法規制

出題範囲はかなり多岐にわたっています。医薬品や薬剤だけではなく、栄養やサプリメント・タバコやお酒などの嗜好品の影響まで、さまざまな知識が問われています。参考図書に関しては、各講習会で使われるテキストと添付文書、インタビューフォームなど。

そのほかを挙げるのであれば、文光堂「小児科学」、GERALD G. BRIGGS「DRUGS in PREGNANCY and LACTATION Ninth Edition」などですね。英語のものも読んでおいたほうが良いですよ。

妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師の活躍の場

妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師の活躍の場としては、産婦人科のある病院や診療所、小児科のある病院や診療所などの医療機関です。

少子高齢化社会なので患者数は減っていくように思えますが、薬剤師として少子高齢化をくいとめるのに一役買うことができます。