糖尿病療養指導士の資格概要

糖尿病療養指導士とは、糖尿病治療において大切になる自己管理について患者さんに指導する人のこと。管理栄養士であったり、看護師であったり薬剤師であったり、その職種はさまざまですが、その役割についている人が取得する資格が糖尿病療養指導士の資格です。

糖尿病と、その患者さんへの療養指導全般に関しての正しく深い知識を持っていて、医師の指示の下、患者さんに指導をすることができる経験を有した糖尿病における生活指導のエキスパートという役割になります。

一般社団法人糖尿病療養指導士認定機構によって実施・運用されている資格で、平成26年度では1,585名の資格取得者がいます。中でも薬剤師と看護師の資格取得者が比較的多いです。

糖尿病療養指導士に必要な知識や技術

必要なのは、糖尿病とその療養指導に関しての専門知識だけではなく、患者さんの生活を理解して適切な自己管理を促すことのできる観察力と判断力です。相手がこういう生活をしているからこういう指導をすればいいのではないかということを考え、実行に移していくことが求められます。

観察力や判断力については実務経験によって培われていくものですから、受験資格を満たすまでの間に養っていくと良いでしょう。薬剤師においては服薬指導などの経験が役に立ちます。

また、薬剤師の場合は、医薬品と結びつけて考えることも必要になってくるということも。

糖尿病療養指導士になるには

認定を受けるまでの流れ

糖尿病療養指導士の認定を受けるまでの流れとしては、まず受講の申し込みをする必要があります。これは6月ごろから7月の中ごろまで行われているので、必ずその期間中に申し込みをするようにしましょう。

その後、講習会の案内などをチェックして講習会を受講しに行きます。案内に関しては認定機構のホームページに乗っているのでこまめにチェックしておき、メモをとっておくのが好ましいですね。講習会の受講終了証を取得して、受験の申込。

受験申込は11月から12月の上旬にかけて行われていて、申込には申請書類一式を提出する必要があります。提出すると、審査員によって受験資格の有無を審査され、あると判断された場合にのみ認定試験を受けることになります。

認定試験に合格すると認定証・認定バッジがもらえるので、それで認定完了です。

受験資格について

  • 看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士いずれかの資格を持っていること
  • 次の1,2,3全ての条件を満たした医療施設で、現在もしくは過去10年以内に、継続して2年以上「糖尿病患者の療養指導業務」に従事していた人で、なおかつこの間に通算で1,000時間以上の糖尿病患者に対する療養指導を行っていること
  • 1.施設に勤務している(イ)(ロ)のいずれかに該当している医師が糖尿病療養指導にあたって受験者を指導していること
    (イ)日本糖尿病学会専門医(非常勤でも月に1回以上であれば可)
    (ロ)日本闘病病学会の会員で、糖尿病の診療と療養指導を行っている常勤医師

    2.外来で、糖尿病患者の診療が常に行われている
    3.糖尿病の患者教育や食事教育が常に行われている
    4.機構が開催している講習会を受講して受講終了証を取得すること

試験について

試験審査はマークシート方式の筆記試験と、糖尿病療養指導自験例10症例の評価によって行われます。筆記試験の問題は150問出題され、試験時間は午前と午後の合計4時間です。試験会場は全国に7会場(会場は年度によって変更がある場合有り)。

出題範囲は「糖尿病療養指導ガイドブック」に沿っていて、それさえ対策していれば問題なく合格することができるレベルの難易度です。ガイドブックは毎年出版されているので、その年度のガイドブックを参考するようにしましょう。

糖尿病療養指導士の活躍の場

活躍することができる場所は、薬剤師であれば、糖尿病患者に対しての療養指導を行っている病院や保険薬局・福祉施設など幅広くあります。行う内容は生活指導ですから、薬剤師らしい仕事とは言えないかもしれませんが、服薬指導の経験が役に立つという点で、その分野で働いているなら、薬剤師もとっておくと役立つ資格です。

糖尿病というのは現代人がかかりやすい生活習慣病のトップクラスですから、需要も高く将来性も十分あると言えるでしょう。