東京都の企業薬剤師は、全体的に求人がとても多いです。国内で最も多いと言えるのではないでしょうか。

薬剤師の求人数自体がトップクラスなので、割合としてはたいしたことではありませんが、2016年5月現在薬キャリで67件の公開求人が出回っており、その数の多さを示しています。マイナビ薬剤師では85件、企業求人が全体で75件しかないリクナビ薬剤師でも12件です。

製薬会社・メーカー・臨床開発・その他さまざまな業種・職種の求人が出回っています。待遇などの傾向については、それぞれの業種ごとに異なるため、求人傾向などを考えてみましょう。

東京都の製薬会社・薬剤師求人

募集されている職種や求人数などの状況

東京都では製薬会社のさまざまな職種が募集されていますが、その中でも特にDI業務・薬事業務担当の求人が多い傾向があります。

次に多いのが管理薬剤師の求人です。

製造現場においての仕事は少ない傾向があります。東京都ということで、製薬会社のオフィスはありますが、工場は別のところに置いていることが多いです。そのため、東京都はオフィス勤務中心となっています。

経験者採用も多ければ、未経験者採用も多いです。それは求人数が多いために両方とも多く見えるといったところでしょう。割合で考えてみれば、未経験者採用よりも経験者採用のほうが多くを占めています。

求人内容の傾向:年収

あくまでも求人票に設定されている給料であり、実際の給料とは異なる場合がありますが、給料は職種ごとにあまり違いが見られません。

そのため、東京都の製薬会社全体の傾向として説明します。東京都は特別年収が高い求人(年収600万円以上を上限に設定する求人)が少ないですが、全体的に給料が安定しているのです。

特に製薬会社は高年収求人が少なく、400万円程度でどの求人も安定しています。年収については特別低く設定されている求人を除外するようにして、その他の待遇について重視して求人を探すほうが得策と言えるでしょう。

高い年収を求めるのであれば、福利厚生などはあまり気にせず、求人の年収欄を流し読みして高年収求人だけを拾い上げるようにすると、ある程度の求人数を確保することができます。

ただ、高年収求人はそのほとんどが未経験不可能となっていますから、気をつけましょう。

年収が高いものだとどれくらいの年収が設定されているのか、少しだけ説明します。地方では600万円が上限であることが多く、ギリギリ高年収求人と呼べるものがほとんどでした。東京においては、600万円を大きく上回り、700万円から900万円を上限としているものが多いです。

つまり、東京の製薬会社の年収は400万円程度に留まっているか、700万円から900万円と非常に高い年収が上限に設定されているかのいずれかであると言えます。

求人内容の傾向:福利厚生・手当・その他

東京都の製薬会社に設定されていることの多い福利厚生・待遇について説明します。

まず手当は、皆勤手当・資格手当・通勤手当・住宅手当が設けられているところが多いです。その他福利厚生については、社員旅行・会員福利厚生プログラム(宿泊施設やレジャー施設などの利用)・保養所の利用が求人票に書かれているところが多い傾向があります。

休暇制度については、育児休暇・産前産後休暇・特別休暇が多いです。年収が落ち着いているところが多い分、福利厚生が比較的充実しています。

ただひとつ気になるのが、どの求人を見てみても残業手当の文字が無いということです。残業手当は法的に考えて支給するのが当たり前となっていますが、現実問題支給されないこともあります。記載が無いということで「残業が無いのかな」と楽観視せず、問い合わせることが必要になるでしょう。

もちろん、その他の条件が気に入った求人だけ問い合わせるようにするということです。

東京都の各種メーカー・薬剤師求人

東京都の各種メーカーの薬剤師求人状況

東京都には、さまざまなメーカーの求人が出回っています。ただし、全体の求人数から考えればほんの一部となっており、東京都内では求人が少ないほうです。

内訳としては化粧品メーカー・ペットフードメーカー・医療機器メーカー・食品メーカーなどの求人となっています。募集されている職種は、管理薬剤師・薬事および品質管理担当・安全管理および企画開発がほとんどです。

特に薬事担当の求人が多い傾向があります。

求人内容の傾向について

薬事担当は年収がとても高く設定されている代わりに、未経験者は応募不可能となっています。

都内のメーカーにおける薬剤師求人はそのほとんどが薬事担当となっており、言い換えればほとんどが未経験者不可となっているということです。安全管理や企画開発などについては経験が求められないことが多くなっています。

まずは薬事の年収についてですが、求人票には700万円から1200万円までの間で設定されていることが多いです。低く設定されていても、600万円以上が前提ということで、とても年収が高いことが伺えますね。

その分残業時間も長かったり、業務内容が専門的であったりしています。年収は高いですが、求人票に福利厚生などが詳しく記載されていないことが多いです。

福利厚生については、メーカー求人全体が、求人内容に記載の無いことが多い傾向があります。管理薬剤師や安全管理・企画開発についても同じことです。

ただ、それらは年収が350万円から450万円が相場となっており、それほど高い年収は期待できそうにありません。とはいえ、探せば600万円程度までなら高年収求人も見つかります。

メーカーは全体的に、福利厚生よりも年収を重視して求人探しをしたほうがいいかもしれませんね。

東京都の臨床開発・薬剤師求人

臨床開発の求人状況

東京都は、臨床開発モニター(CRA)も治験コーディネーター(CRC)も両方とも求人数が多いです。経験者・未経験者ともに求人が多く出回っています。

薬剤師だけで調べたとしても、数百件見つかるほどです。未経験者OKの割合は4割程度ですが、それでも他都道府県よりは多い割合・求人数となっています。

求人を出している会社も多く、会社ごとに求人を比較検討し、より良い会社に応募するといったことも可能です。会社数が多いということは失敗しても保険があるということでもありますから、臨床開発関連の職に転職するチャンスは大きいと言えます。

求人内容の傾向などについて

会社ごとに求人内容が全く異なるため、傾向を述べるのが難しい業界です。年収は400万円から500万円であることが多いのですが、会社によっては400万円を下回ることも十分ありえます。

ただ、600万円を超える年収を設定しているような求人はほとんどありません。

年収よりも福利厚生を重視する傾向があり、保養施設の利用・リフレッシュ休暇・リゾート施設・レジャー施設の利用などの福利厚生が設定されていることが多いです。

求人選びのコツとしては、研修が充実しているところを選ぶぶようにする・自分で何か一つ必須の福利厚生を決めておくことが考えられます。

東京都に事務所のあるCRO

  • クインタイルズ・トランスナショナルジャパン株式会社
  • パレクセル・インターナショナル株式会社
  • シミック株式会社
  • イーピーエス株式会社
  • 株式会社メディサイエンスプランニング
  • エイツーヘルスケア株式会社
  • 株式会社MICメディカル
  • 株式会社リニカル
  • コーヴァンス・ジャパン株式会社
  • インヴェンティヴ・ヘルス・ジャパン合同会社

ほとんどすべてのCROが事務所を構えており、それぞれが求人を出しています。臨床開発関連の職は、求人で会社名を公開していることが多いです。それぞれの会社について、OBや現役社員の評判などを調べてから応募するようにしましょう。

東京都に事務所のあるSMO

  • サイトサポート・インスティテュート株式会社
  • 株式会社EP綜合
  • ノイエス株式会社
  • 株式会社アイロム
  • 株式会社エシック
  • 株式会社エクサム
  • 株式会社クリニカルサポート
  • 株式会社BELL24-Cell Product
  • 株式会社新日本科学臨床薬理研究所
  • セーマ株式会社
  • 株式会社医療システム研究所

特に上から四つ目までの会社が抱えている治験コーディネーターの数が多いです。それぞれ100名以上のCRCが働いているとされています。

東京都のその他企業薬剤師求人

コールセンターの求人が多い

東京都ではメディカルコールセンターの求人が多いです。コールセンターは未経験でも応募できる求人が多いですし、パートやアルバイト求人も多い傾向があります。他の会社よりも融通が利く面が大きいため、ママ薬剤師におすすめです。

年収は350万円程度から600万円までの間で幅広く設定されています。福利厚生については全く記載されていない求人も多く、ほとんど無いものと思ったほうが良いでしょう。年収と勤務時間など自分自身の都合を重視して求人選びをすることが大切です。

メディカルコールセンターの求人は、薬キャリに多い傾向があります。

「データ」にまつわる仕事

医薬品データベース開発およびデータ解析などの仕事を「データ」にまつわる仕事としてまとめて紹介します。こういった仕事は薬剤師としての知識経験のほかに、IT業界についての理解が必要となります。

IT業界での業務経験を求められる場合も多いですし、そうでなくとも解析ソフトを用いた臨床試験の経験や医薬品の臨床試験の経験・医薬品データベースに関わった経験などが求められることが多いです。

つまり、全くの未経験からの応募は不可能ということになります。

年収は400万円から500万円程度が想定年収相場となっていますが、中には800万円までとしているところもあります。

福利厚生についてはどの求人も似たり寄ったりで詳細が求人票に書かれていないことが多いです。年収を重視して求人選びをすることをおすすめします。

その他

その他、数が多いとは言えないまでも求人が出回っている業種・職種について名前だけ紹介します。ただし、メディカルライターについては比較的求人数が多いため、求人票に設定されている年収の相場のみ説明しています。

  • メディカルライター(医薬品広告代理店のコピーライティング・医学情報コンテンツ作成)
  • アートディレクター(医薬品広告代理店)
  • コントラクトスペシャリスト(外資系CRO)
  • 英語翻訳業務
  • 監査業務

メディカルライターは求人数が多いです。年収は幅が広いのですが、大抵400万円以上700万円未満と設定されています。広告代理店の案件が多く、特にコピーライティングの募集が多いです。医学情報コンテンツ作成はあまり多くはありません。

まとめ

東京都内には、薬剤師が応募することができる求人が多数出回っています。種類も多く、それぞれの求人数も多いため、最初からどの業種・職種にするかを決めておきましょう。

その中で求人を探し、それぞれの重視するポイントを見比べて求人選びをすることが大切です。求人の種類や数が多いからといって、惑わされることのないようにしましょう。