管理薬剤師として店舗を管理していく中で、在庫管理は面倒な雑務の一つですね。店舗によっては事務に発注を委任している場合もありますし、他の薬剤師と共同で行っている例もあることでしょう。

それでも、管理薬剤師が責任をもって最終的な確認を行うことがほとんどかと思います。今回は在庫管理を行う上で私がおこなっていたことをお話していきます。

使用量の少ない医薬品へのタグ付け

複数人に使用されている医薬品は、それほど注意しなくても在庫管理はできるものですが、問題になるのは極少数の人だけが使用している医薬品です。毎月たとえば30錠だけ使用している場合、100錠包装で購入すると4ヶ月目で不足してしまいますね。この不足するということを調剤者が理解していなければ、発注漏れの原因となってしまいます。

膨大な数の医薬品を備蓄している薬局では、それぞれの医薬品の適正な在庫数を職員全員が記憶できているわけではありません。発注を必要とする医薬品を共通認識することが必要になります。この共通認識を作るためにはどうするのがよいでしょうか。

やはり、視覚に訴えるのが、最も確実な対策かと思います。だれが見てもすぐに必要数量が分かるように、包装に必要数量と発注のタイミングをタグ付けして記載しておけばいいのです。これによって、個人の力量による発注の誤差が激減します。調剤時に必ず目に入るように、箱を封印するように添付するのがポイントです。

発注希望カードの提出

前項でも話しましたが、職員全員が共通認識として必要な発注を理解するのは困難なことです。発注する際にも個人によってタイミングに差が出てきてしまいます。自分ではまだ大丈夫と考えていても、他の人が考えるともう発注が必要な数量になっているということも多々あります。この時に発注者が独断で発注数量を調節してしまうと、後々不足してしまう事態を招きます。これを予防するためには、タイミングも共通にする必要があるわけです。

タイミングを共通にするには、個人の裁量で発注をコントロールするのをやめなければいけません。完全にシステム化した動きで数量を決定することで、不測の事態がない限りは安定した在庫管理を実現できます。

医薬品ごとに必要な数量を記載したカードを前項で紹介したタグとともに貼り付けしておき、タグに記載された数量を下回った場合にそのカードを発注希望として指定の箱等に入れておくのです。そうすれば、管理薬剤師は週に一回程度の在庫の確認・調節をするだけで問題なく安定した在庫管理が実現できます。

不動在庫の処理

処方量の少ない薬は発注を管理して過剰に在庫はしないようにし、場合によっては小分けで少量のみ備蓄し、懸命に不動在庫を出さないように努力していることと思います。日々不動在庫の発生をできるだけ抑えていたとしても、それでも調剤薬局を続けているからには必ず不動在庫は出てしまいます。この不動在庫をどうするべきかで頭を悩ませている管理薬剤師も多いのではないでしょうか。

系列店舗がある場合には使用している店舗への移動もできるでしょうが、そうできないものもあります。そういった場合、異なる手段を用いて処理しなければなりません。たとえば地域の薬剤師会で不動在庫の交換を斡旋していることもありますし、不動在庫となったものを買取している業者もあります。ただ期限切れを待つだけでなく、どうにか処分できるように足掻いてみましょう。何とか処理できれば、それに勝るものはありません。

まとめ

在庫を適正に管理するためには発注数量と発注タイミングを職員全員の共通認識にしなければなりません。裁量を挟まず、完全にシステム化した方が安定した在庫管理を実現できるでしょう。そのためにはお金をかけなくてもすぐに取り組めるアイディアが必要になります。

在庫管理はすべての薬局で必ず取り組まなければいけない問題です。現状うまくいっていないなら、何か新たな改善案が必要となります。この記事が少しでもその手助けに慣れれば幸いです。