現在、派遣薬剤師として働いているあなた、この先派遣としてどこまでやっていけるか、不安に思ったことはありませんか?

派遣ならではのメリット・デメリットをふまえて、状況別に、派遣として生活できるのはいつまでか?いつまでに見切りをつけるべきかを考えてみました。

結婚を考えるなら(男性・女性)

現在または将来のパートナーが正社員の場合、あなたは全国展開の大手派遣会社に勤務するというのが理想的なパターンだと思います。

パートナーに転勤の辞令があっても、転居先で派遣先を見つけることができるからです。

男性の場合

さてこのパターン、あなたが男性でも女性でも、といいたいところですが、世間では、男性が派遣で働くことに対して、未だ理解が充分とはいえません。派遣で働いているということだけで、定職に付いていないとみなされ結婚の障害となることが多いのです。

このような理由で、これから結婚を考えている男性には、この先も派遣を続けていくことはお勧めしません。紹介予定派遣などを利用して、正社員をめざしましょう。

もちろん、夫婦のあり方はそれぞれですから、男性のあなたが女性のパートナーをサポートする、将来の資格取得を目指して期間限定であえて派遣という働き方を選んでいるなどの場合は、この限りではありません。

女性の場合

一方、家庭と仕事のバランスを考えたい女性にとっては、男性に合わせて職場を変えることができ、定時で終わることができる派遣薬剤師のメリットは捨てがたいですね。

派遣薬剤師の時給は、事務職の正社員などに比しても高額のため、収入の面でも家計にとってのメリットは大きいでしょう。

相手にあわせて動きがとれるという点では、派遣ほど適した働き方はないと思います。できるだけ好条件で派遣先を見つけられるよう、必要なスキルを磨いておきましょう。

男性:派遣としての働き方に見切りをつけ、正社員として就職することを考える。
女性:見切りをつける必要はない。どこに派遣されてもいいように、派遣としてのスキルを磨く。

子供が欲しいなら(女性)

そろそろ子供が欲しいと思ったとき、「出産・育児に関して、働けない間の保障はどうなっているの?」と疑問に思ったり、派遣で働き続けることに不安を感じたりはしませんか?

派遣契約は、労働者派遣法に基づいて行われます。2015年に新しく施行された労働者派遣法では、派遣先・派遣元での労働法上での責任を明確にして、派遣スタッフが不利にならないようにしています。

派遣契約のタイプによって満たさなければならない条件などがありますが、基本的には、出産育児に関する権利は認められています。

つまり、労働法上で定められているように、妊娠出産を理由とした派遣契約解除・解雇・配置・賃金等、待遇で不利益を加えることは禁止されているのです。したがって、派遣でも労働基準法に基づき出産休暇を取ることができます。

育児に関しては、育児介護休業法で就業規則に定めておくよう決められています。派遣元の就業規則によりますが、雇用保険から平均賃金の67%の休業補償を受けられる場合があります(育児介護休業法には、休業期間中の有給無給の定めはないため、無給の場合がほとんどです)。

また、育児休暇取得を理由として契約更新をしないなどの、不利益取扱いは育児介護休業法で禁止されています。ですから、派遣でも育児休暇を取ることができるのです。

ただし、「派遣だと、出産育児休暇は取れないって聞いた・・・」と思われているのもまた事実です。

出産育児休暇を取ろうと思ったら、自分自身も出産育児に関する法律や社会保障について正しい知識を得て交渉することも必要になってきます。

場合によっては、出産育児に関する福利厚生制度が充実している派遣会社に登録し直すことも考えましょう。

派遣でも出産育児休暇をとれるので、派遣薬剤師として問題なく生活していくことができる。ただし、派遣元との契約内容について、十分確認する必要がある。

育児期間中(女性)

この時期、週に2日・3日程度、子供の学校時間にあわせて・・・などという条件で派遣を希望するママ薬剤師さんが少なくありません。

高時給の派遣薬剤師は、時間外手当も高額。残業を要求されることも少ないため、定時で終われることも魅力の一つのようです。

家族の都合に左右されるママ薬剤師さんにとっては、高時給で時間の都合をつけやすい派遣という働き方が合っています。

子育て期間中は、派遣として働くのにもっとも適している。収入については、扶養の枠内・扶養を外れるなど、状況に応じて選ぶことができる。

子育てを終えて(女性)

さて、子育てを終えるとそろそろ気になるのは親の介護・・・女性には心の休まる暇がありません。

本当は夫婦二人で考えるものなのでしょうが、現実的には女性が合わせることが多いですよね。そんなときにも、派遣であれば対応可能です。

また、40代以降、女性にとってはさまざまな体調の変化が訪れます。これらとうまく折り合いをつけていくには、働き方のバランスも考える必要があります。

無論、この時期に派遣で培ったさまざまな経験を活かして、正職員への道を考えるのもよいでしょう。

自身や家族の状況・家計状況に応じた選択をする。家庭や自身の体調とのバランスを優先して、このまま派遣薬剤師を続けるとしても、問題なく生活することができる。

結婚を考えないなら(男性・女性)

あなたが結婚を考えない、とりあえず考えられない、または、正職員までのつなぎとは思っていないというならば、まずはこのまま派遣で働き続けるのもいいでしょう。

若いうちは、一定期間派遣で働き契約終了後海外滞在、などという働き方も素敵ですね。

ただし、派遣は非正規雇用です。必ず次の契約先があるとは限りません。現在は薬剤師不足が叫ばれているため、まだまだ需要が高いですが、今後もこの状況が続くとは限りません。

退職金もないため、一生涯この働き方をするとなると、他にも安定した収入源を確保することを考えておく必要があります。

事務職などでは、一般的に派遣は35歳までという定説があります。専門職である薬剤師ではこれほどではありませんが、40代をすぎると、自分の希望するような条件で派遣先を確保するのは難しくなるようです。

常に安定して次の派遣先につながるようにするにはどうしたらよいか、派遣会社のカウンセラーに聞いてみてください。

処理する処方箋の枚数や事務処理能力など、要求されるさまざまなスキルについて自分のレベルを客観的に評価し磨いておくことや、その限界を見極めることも必要です。

いつでも見切りどきを見極められるよう、常に情報収集を怠りなく。他に安定した収入源を確保できないならば、正職員への道を考えた方がよい。

ずっと派遣で生活していこうと考える人へ

派遣は、自分の都合に合わせた働き方ができるのが最大のメリット。しかし、それは企業側にとっても同様です。雇用の調整弁としていつでも切ることができる、それが派遣なのです。

結婚している人は、パートナーが定職についているならば問題ありません。しかし、派遣としての収入のみで生活する人は、自分の思うような収入レベルを得られるだけの契約先がいつもあるとは限りません。

さらに、正職員として働いた経験がなく派遣としての働き方しかしていない人は、年齢を重ねるにつれて次の契約先の選択肢が狭まってくることも考えられます。

年とともに落ちてくる処理スピードの遅さを補うような、判断力・業務知識・さらには事務処理能力があるかどうかによって左右されるからです。

あなたが上記のスキルに不安を感じるならば、早めに正職員を目指しましょう。