「病院で働きながら在宅医療の仕事にも従事したい!」「調剤薬局で培った在宅医療の経験を病院に転職して活かしたい!」こんな風に考えている薬剤師の方はいらっしゃいませんか?

今回はこうした薬剤師さんを対象に、病院で在宅医療に従事するためのアドバイスをしたいと思います!

薬剤師が病院で在宅業務に従事する際のポイント

平成28年の診療報酬改訂では在宅患者訪問薬剤管理指導料の点数が引き上げられました

これは、患者さん本意の地域包括ケアシステムを構築する一環として厚生労働省が病院にも在宅医療への参加を促していることを意味しています。

このため、今後は多くの病院で薬剤師が在宅医療に参加して行く流れが予想されますが、現段階ではこうした病院の薬剤師募集はそれほど多くはありません。

病院薬剤師が在宅医療に参加する際の一番の問題点は人手が足りないことであるといわれています。

ただでさえ忙しい病院業務の合間を縫って患者宅に訪問するのはよほど人員に余裕のある病院でないと不可能です。

このため、病院で十分な在宅医療を実施するのはまだ難しい状況にあるといえますが、それでも「病院で在宅をやりたい!」と考えている方は、以下に示すようなポイントに着目しながら転職活動をされることをおすすめします。

中~大規模病院で働く

在宅医療を行うためには薬剤部にある程度のスタッフ数を確保することが必須となります。

このため、薬剤師数が3~4人というような小規模の病院では訪問薬剤師管理指導に人員を割くことは現実的に困難となります。

転職先を探す際には薬剤師の人数が少なくとも10人を超えるような中~大規模の病院を探すことをおすすめします。

地域密着医療を謳っている病院で働く

最近は地域密着型医療を売りにしている病院が非常に増えてきていますが、こうした病院は患者さんの多くが近隣に住んでいる住民の方々であるため、在宅医療にも力を入れているところが多いです。

また、地域密着型の病院では定期的に近隣住民の方々と触れあうためのイベントなどを開催しているところも多く、通常の病院と比べてより患者さんとより親しい関係を気づくことができるため、在宅医療もスムーズに実施しやすい環境にあるといえます。

在宅療養後方支援病院で働く

在宅療養後方支援病院とは平成26年度の診療報酬改定で新たに命名された病院です。

この病院は直接在宅医療に関わるのではなく、在宅医療を受けている患者さんが緊急事態に直面した際にこれらの患者さんを24時間体制で受け入れる役割を果たしています。

直接患者宅を訪問するわけではありませんが、在宅医療を裏方で支える重要な役目を担っており、こうした病院で働くことも在宅医療の一環といえます。

在宅療養後方支援病院の一覧は日本医師会のホームページで確認することができるので興味がある方はぜひ参照してみてください。

在宅医療支援病棟で働く

病院が実施している在宅医療は患者宅を訪れる訪問薬剤師管理指導だけとは限りません。

院内にある在宅医療支援病棟でも入院患者さんのスムーズな在宅医療への移行をサポートするために様々な取り組みを実施しています。

たとえば、患者さんの在宅復帰後を見越しての医師への処方提案や、患者さんやその家族への教育・指導、ケアマネージャーなどの参加する退院時カンファレンスへの出席など、院内にいながらも多くの方法で在宅医療に参加することが可能になります

病院薬剤師としての在宅医療を希望される方は、こうした在宅医療支援病棟での勤務も視野に入れて転職先を探されることをお勧めいたします。

在宅医療に従事できる病院薬剤師の求人例

ここでは在宅医療を実施している病院の求人例をご紹介いたします。すべてWeb上で募集されている求人なので、こうした病院への転職を考えている方はぜひ参考にしてください。

<ケアミックス型病院>
勤務地:大阪府枚方市
採用形態:正社員
勤務時間:8時30分~17時
休日:日曜
給与:年収500万円~600万円
仕事内容:入院患者への調剤・医薬品管理・服薬指導・在宅業務(ドクターに同行する訪問薬剤師管理指導)
その他:夜勤、当直、残業無し。

<総合病院>
勤務地:神奈川県大和市
採用形態:正社員
勤務時間:8時30分~17時
休日:4週8休
給与:年収450万円~500万円
仕事内容:調剤・訪問医療(訪問医療は医療スタッフ全員がバックUP)
その他:在宅や居宅介護支援などの「出かける医療」に力を入れる総合病院。出前方式の健康相談も実施。

<急性期・慢性期病院>
勤務地:横浜市都筑区
採用形態:パート・アルバイト
勤務時間:9時00分~17時15分
休日:日曜日
給与:時給1800円~2000円
仕事内容:調剤(総合科目応需)・在宅医療
その他:在宅に力を入れている病院です!

さいごに

在宅業務に参加する病院や拡大傾向にあるとはいえ、現時点ではその数はまだ少ないといえます。

このため、在宅業務を実施している病院の中でどうしても自分が希望する求人が募集されていないという方は、病院以外の選択肢も検討することをお勧めします。

在宅業務に一番力を入れている業種といえば何といっても調剤薬局があげられます。

これからの時代は、調剤薬局は在宅に参加しないと生き残れないともいわれており、病院以上に数多くの調剤薬局が在宅医療に参入しています。

どうしても在宅医療関連の仕事がしたいと考えている方はこうした職場も視野に入れて転職活動をされることをおすすめいたします。