「企業で薬剤師として働いているけど最近、別の会社への転職を考えている」「薬剤師の資格を活かして企業で働いてみたいけど、自分にはどんな会社が向いているのかな?」こんな風に考えている薬剤師の方はいらっしゃいませんか?
このページでは企業の経験者・未経験者を問わずにすべての薬剤師の方を対象に、企業薬剤師として働くためのノウハウを解説しています。
企業薬剤師として働くにあたって大変参考になる情報が満載ですので、少しでも企業に興味のある方はぜひともご覧ください!
企業薬剤師の求人の種類を知っておこう!
転職をする際にはどんな種類の求人があるのかを知っておくことがとても大切になります。
そこで、この章では企業薬剤師の求人の全体像についてご紹介したいと思います。
【業種・勤務先別】企業薬剤師の求人の種類
医療機器メーカー
医療機器メーカーで働く薬剤師の大きな仕事に一つには分包機などの調剤関連機器の製造があります。
これは、薬剤師は調剤のスペシャリストであるため、精巧な調剤関連機器を製造するためには調剤現場での知識や経験を有する薬剤師を採用する必要があるためです。
医療機器メーカーの年収は400~500万円ほどとそれほど高くはありませんが、福利厚生面では好待遇が期待でき、有休消化率などはドラッグストアや調剤薬局よりも優れていることが多いです。
募集の数については企業薬剤師の中では少ない傾向にあり、応募先を見つけるのにはやや苦労するかもしれません。
化粧品メーカー
化粧品メーカーに勤める薬剤師の仕事は化粧品成分の研究・開発や品質管理、薬事申請関連の仕事など多岐に渡ります。
特に化粧品は人体に直接触れる製品のため、法律によって規制されている部分が多く、商品化するには数多くの申請書類を作成しなければならないため、多くの薬剤師がこうした申請業務に従事しています。
平均年収は350~500万円程度であり、それほど高いとはいえません。募集件数も少ないため、求人を見つけるのには苦労する可能性があります。
製薬会社
製薬会社に勤める薬剤師の仕事内容は研究職、開発職、MR、DI業務など様々です。
製薬会社の平均年収は400万~600万円ほどですが、MRは年収が高い傾向にあり、800万~1000万円になることもあります。
製薬会社は薬剤師の採用数が少なく、競争率が高く狭き門であるといえます。
特に、研究や開発職は大学院を出ていることが必須になり、未経験者の方がこうした職種に転職するのはかなり難しいのが現状です。
福利厚生は大企業だとかなり手厚くなり、企業薬剤師の中でもトップレベルの好待遇といえるでしょう。
食品メーカー
食品メーカーに勤める薬剤師の主な仕事は食物の品質や安全性の確認になります。
その他、食品添加物を研究、分析、調査したり、食品の味を分析したりすることもあります。平均年収は400~500万円ほどであり、企業薬剤師の中では中程度の額といえるでしょう。
食品メーカーでは薬剤師の募集は他の企業と比べてやや多めではあるものの、人気の職種であり多数の応募が集まる傾向にあり、採用を勝ち取るにはやや困難を伴います。
化学メーカー
化学メーカーに勤める薬剤師の業務は主にシャンプーや合成洗剤、トイレタリー製品などの研究開発になります。
平均年収は500~700万円程度で他業種と比べて高めであるといえるでしょう。
求人に関しては薬剤師の募集は少なめであり、競争率は高いです。非公開求人が多いのも特徴であり、転職が難しい一因となっています
医薬品卸
医薬品卸で働く薬剤師は主に管理薬剤師として在庫管理を担当します。
自社の倉庫内の薬を一つ一つチェックして品質や数量を確認したり、医療機関や薬局に自社で扱う医薬品についての情報提供をしたりもします。
平均年収は600~700万円ほどであり、他業種と比べてやや高めとなっています。
求人数は他の企業薬剤師と比べて多めであり、残業や休日出勤もほとんどないため、プライベートを重視する人にはかなり働き安い職場であるといえます。
物流センター
物流センターで働く薬剤師は、主に製薬会社や医薬品卸会社の物流センターで管理薬剤師として働くパターンが多いです。
在庫の確認や納品・検品業務、出荷業務、品質管理など医薬品の管理全般を主に任されます。
平均年収は500~600万円ほどで、残業もなく比較的働きやすい職場といえるでしょう。有給消化率も高く、プライベートを充実させることもできます。
秋になると求人が多くなる傾向にあり、この時期が狙い目といえます。
【職種別】企業薬剤師の求人の種類
MR
MRの主な仕事内容は医療機関の医師や薬剤師に対して自社の医薬品に関する情報提供をすることです。
MRは平均年収が700万円ほどであり企業薬剤師の職種の中では高めであるといえます。
また、長期にわたって勤務すれば年収が1000万円を超すこともあり高給を目指す人にとっては最適な職種といえるでしょう。
MRの求人は最近は増加傾向にあり比較的多くの募集が出ていますが、人気職であり多くの薬剤師が応募するため競争率は依然として高い状況が続いています。
CRA
CRAは臨床開発モニターとも呼ばれる職種で医療機関において治験が適切に実施されているかどうかをモニタリングする仕事をします。
病院や治験実施施設を直接訪問し、治験責任医師や治験審査委員会のスタッフなどと面会しながらGCPの遵守状況などを確認します。
CRAの平均年収は500~700万円ほどですがプロジェクトマネージャーなどになると800~1000万円になることもあります。
CRAの仕事には治験に関する高度な専門知識や英語力が必要になるため、仕事の時間以外にも自主的に学習してスキルアップを図るなどの努力も必要になります。
CRAはウェブ上でも多くの募集出ており、企業薬剤師の中では比較的転職しやすい部類に入ります。
CRC
CRCとは治験コーディネーターのことで、治験を実施する企業や医療機関で治験がスムーズに行われるためのサポートをする役割を果たします。
CRCの平均年収はそれほど高くなく400万~600万円ほどといわれています。
CRCの求人の中には薬剤師資格を優遇するものとしないものとがあり、優遇される企業では年収が30万円ほど高くなるところもあるため薬剤師の方はこうした企業を狙うのがお勧めといえます。
求人数は東京と大阪に多いですが、年収は大阪の方が若干上だといわれています。
完全週休2日制でお盆や年末年始には長期休暇を取れるところも多く、福利厚生面では恵まれているといえるでしょう。
DI担当
DIとはDrug Informationの略で主に製薬会社で医薬品についての情報を収集し、自社のMRなどに集めた情報を提供したりする役割を担います。
DI担当業務の平均年収は350~600万円ほどであり、企業薬剤師の中では平均的な水準といえるでしょう。
求人は他の企業薬剤師と同じく普通に公開されており、未経験でも応募可としているところも多いです。
企業のDI担当者は福利厚生がしっかりしており、有休の消化率も高い傾向にあります。
コールセンタースタッフ
コールセンターで働く薬剤師は、主に自社が製造開発した医薬品についての質問に答える仕事を担当します。
医師や薬剤師、患者さんなど様々な人からの質問に答える仕事であるため専門知識に加えて高いコミュニケーション能力も必要とされます。
年収は400~600万円ほどと他の企業薬剤師と大差はありません。残業はなく、土日にはきちんと休みがとれ、福利厚生は充実しているといえます。
コールセンターの薬剤師は求人数自体がそれほど多くなく、仕事内容も人気があるため転職にはやや狭き門といえます。
臨床開発
臨床開発とは新薬の開発に関する業務であり、品質保証部門(QA)、品質制御部門(QC)、データマネジメント(DM)部門などに分かれています。
治験に関する知識や英語力が必要となり、専門性が高くやりがいのある仕事といわれています。
平均年収は400~600万円とそれほど高くはありませんが、福利厚生が充実している、残業がないなど条件の良い求人も多数出ています。
求人数は少なめなので、転職活動は根気よく行う必要があります。
学術業務
学術業務とは医薬品の副作用に関する情報などを調べて社内文書としてまとめたり、医療機関の医師や薬局の薬剤師などに提供する情報文書を作成したりすることです。
企業で学術業務を担当する薬剤師の平均年収は500~800万円と高めであり、これは学術業務の仕事内容が専門性が高く広範に渡っていることによります。
求人については一年を通じてコンスタントに募集が出ており、東京、大阪、名古屋などの都市部に集中している傾向にあります。
福利厚生は充実しており、長期休暇が取りやすい、残業が少ないなどのメリットもあります。
メディカルライター
メディカルライターが作成する文書には多くの種類がありますが、主なものには製薬会社での薬事申請関連の書類があります。
治験分野の知識や英語力も必要とされることからかなり専門性の高い仕事といえます。
メディカルライターはその専門性の高さから平均年収は500~700万円と他の企業薬剤師と比べて高めに設定されています。
人気の職種の割には募集数は少なく、競争率が高めとなっています。
膨大な数の文献を読み込んだり海外の臨床データを読み漁ったりすることも多いため、こうした作業が苦にならないことが採用されるための必須条件となります。
薬剤師が企業で働くメリット・デメリット
薬剤師が企業で働くメリット・デメリットには以下のようなものがあります。
メリット1:土日休みが多い
企業は調剤薬局やドラッグストアと違って土日は休みである職場がほとんどです。
祝日もカレンダーどおりに休めるため、家族や友人との予定が合わせやすくプライベートを重視する方にはおすすめの職場といえます。
メリット2:高収入が狙える
企業薬剤師は業種にもよりますが高収入を狙える可能性が高いです。
中には年収1000万円を超える場合もあり、高い給料を求める薬剤師にとっては企業は最良の選択肢となるでしょう。
勤続年数とともに着実に昇給していく会社がほとんどであり、長期勤務を前提にすれば企業は公務員薬剤師と並んで安定した昇給を期待できるため、安定した将来設計にはお勧めの職場といえるでしょう。
メリット3:福利厚生が充実している
製薬会社などの大きな企業は福利厚生が充実しており、有給・長期休暇・住宅手当などの各種手当てなどの面で調剤薬局やドラッグストアと比べて優遇されている傾向にあります。
デメリット1:求人数が少なく競争倍率が高い
企業の求人は調剤薬局やドラッグストアと比べて数が少なく、採用されるまで転職活動が難航する場合もあります。
ただし、これも転職支援サイトなどを上手に活用することで効率良く求人を見つけることも可能になるためそれほど心配する必要はありません。
デメリット2:募集案件が都市部に集中している
企業というとどうしても勤務先が東京、大阪、名古屋などの都市部に偏りがちです。
地方在住の方が企業に転職する場合は引っ越しを伴うことも多いですが、心機一転して新しい環境で働くことでメリハリがつき、充実感を感じられるという方も多いようです。
デメリット3:採用面接の難易度が高い
企業の募集には薬剤師以外の人からの応募も多いため、採用面接は難易度が高く、入念に準備して望むことが必要になります。
ただし、こうした面接対策も薬剤師に不足しがちな社会人としての適正な資質を身につけるためには良い訓練の場にもなります。
企業薬剤師の求人選びのポイント、転職活動の予備知識
企業薬剤の求人を選ぶ際には以下に挙げるポイントを意識するようにしましょう。
正職員の求人選びのポイント
正職員として企業に勤めたいと考えている方は基本的に長期の勤務を想定されている方が多いです。
このため、給料や年収などのだけにとらわれるのではなく、勤務場所、福利厚生、会社の安定性、仕事内容、内部の人間関係、転職の有無など様々な要素を考慮にいれて転職先を選ぶ必要があるでしょう。
そのためには職場見学やインターネットの口コミなどを通して徹底的に情報収集する必要があります。
上場している会社では会社四季報や決算書などから財務状況を分析するのもお勧めです。
いずれにせよ求人選びの際には、この先、数十年に渡って自分が勤めるにふさわしい会社なのかどうかを入念に調べあげながら選択するということを忘れないようにしてください。
派遣薬剤師の求人選びのポイント
派遣薬剤師は原則的に期間限定の雇用となるため、給与や仕事内容をメインに求人を選択しても問題はありません。
ただし、派遣薬剤師として働く時は福利厚生などは派遣先ではなく派遣元の会社(派遣会社)から提供されることには注意が必要です。
このため、派遣先選びと同様に派遣会社選びも非常に重要になってきます。派遣会社とは派遣先の会社よりも長いつきあいになる可能性が高いため、評判や福利厚生などをチェックしながら慎重に選ぶようにしましょう。
また、同じ派遣先で長期に渡って働きたいと考えている方は、応募前に契約更新の見込みなどについても派遣元の担当者に確認してもらうようにしましょう。
企業未経験の場合
未経験の方が企業薬剤師に転職される場合は業種選びが非常に重要になります。
たとえば、研究職や開発職では未経験者の方の転職はかなり厳しいといわれているため、候補から外す方が無難でしょう。
一方、CRCやCRA、DI、学術担当などは年齢にもよりますが比較的未経験者でも採用されやすいといわれています。
また、たとえ企業が未経験でも調剤薬局や病院に勤められた経験のある方なら前職での知識や経験を大いに生かせる職種もたくさんあります。
このため、できるだけ自分のバックグラウンドに適合した業種を選択し、面接時にその点をしっかりアピールすることで採用確率を高めることができます。
いずれにせよ、未経験者はあまり選り好みをせずに、最も採用されやすい業種を選ぶことがポイントといえます。
給料よりも働きやすさや負担の少なさ重視で求人を選ぶなら…
負担の少なさを重視される方にお勧めの求人として医薬品卸や物流センターなどの管理薬剤師の仕事があります。
年収は350~500万円ほどとやや少なめですが、残業もほとんどなく毎日定時に帰宅することができます。
仕事内容も医薬品の在庫管理がメインになるためノルマなどもなく、落ち着いて自分のペースで働けることでしょう。
これ以外の職種ではDI担当者、学術担当者、コールセンター薬剤師などもお勧めです。
いずれも負担が少ないといわれており、残業もほとんどなく、土日にもきちんと休みを取ることができます。
調剤薬局やドラッグストアと比べても楽な環境にあり、こうした仕事に疲れた人にもお勧めの転職先といえるでしょう。
これらの仕事は未経験者でも採用されやすいのも特徴であり、転職先の候補としてはかなりお勧めといえます。
給料や福利厚生を重視して選ぶなら…
給料を重視する場合の求人の筆頭は何といってもMRでしょう。MRは平均年収が660~708万円と高く、薬剤師のMRの場合は50~54歳の平均年収が1000万円を超えています。
これは間違いなく企業薬剤師のトップレベルに位置する水準といえます。MRは国内の大手上場企業が高い給料で募集している傾向にあるため、こうした求人が狙い目です。
また、福利厚生を重視する場合にも同様に大手製薬会社の求人がお勧めです。
住宅手当、社宅、独身寮、家賃補助、介護休暇、保養所、社員食堂、資格取得支援、災害見舞金など様々な待遇がそろえられており、給与以外にも多くの恩恵を受けることができます。
スキルアップややりがいを重視して求人を選ぶなら
スキルアップができ、かつやりがいを感じられる代表的な職種としては治験関係の仕事があります。
新薬の開発を通じて医療全般の進歩に貢献することができ、重い病気に苦しむ患者さんの治療にも役立つことができます。
また、実際に治験を実施している医療機関に出向いて医師や看護師などの各スタッフや患者さんとも交流することとなり、医療現場とも密接に関わることもできます。
GCPの知識や各種治験関連報告書の作成能力などを身につけることもでき、海外の文献を精読することで英語力も上達します。
治験に関係する具体的な求人は、業種では製薬会社やCRO、職種では治験コーディネータや臨床開発モニター、メディカルライターなどがあるためこれらの中から選択すれば良いでしょう。
治験関連分野は未経験者でも比較的採用されやすい分野であるため、日々の仕事に物足りなさを感じたり、薬剤師としてのさらなる知識の向上を図りたいという方にはうってつけであるといえます。
ブラック企業に注意
企業選びをする際に最も気をつけないといけないものの一つにブラック企業があります。間違ってブラック企業に入社しようものなら実に悲惨な事態が待ち受けています。
たとえば、月に100時間を超える残業を強いられる、パワハラやモラハラが日常的に行われる、残業代が支払われない、有給が全く消化できないなど数々の災難に見舞われることになり、こうした事態に耐えられずにすぐに退職する人も続出しています。
ブラック企業を見分けるポイントはいくつかあります。たとえば、年中募集が出ている企業は離職率が高く、人で不足が状態かしていることを意味しているのでブラック企業の確率が高いといえます。
このほかにもある程度有名な企業であれば口コミサイトなどで評判を確認することも大切です。
企業の薬剤師求人探しは『薬剤師専門の転職サイト』が必須
薬剤師として企業に就職する場合には以下のような理由から薬剤師専門の転職サイトを利用することを強くお勧めします。
企業とのしっかりしたパイプがある
企業薬剤師の募集や求人を取り扱うサイトは担当する企業と強い関係を持っているため、様々な情報が手に入りやすい環境にあります。
また企業の人事担当者とのつながりもあるため給料やその他の待遇面においても交渉がしやすく非常に頼りになる存在となります。
自分に合った最適な求人探しをサポートしてもらえる
一人で求人を探そうとすると膨大な募集案件を一つ一つチェックしていく必要があるため大変時間がかかります。
その点、薬剤師専門の転職サイトを利用すれば担当のキャリアコンサルタントが自分の希望する条件に合った最適な求人を複数提案してくれ、面接の日程などもすべて調整してくれます。
このため特に忙しい人や優柔不断で応募先を絞れないなどという方にとっては転職サイトは強力な味方となってくれることでしょう。
応募や面接のサポートもしてくれる
企業への転職は調剤薬局などと違って採用のハードルがとても高く、応募書類の書き方や面接の対策などが非常に重要になります。
転職サイトを利用すれば、こうした書類の作成方法や面接時の質問の受け答えなどもしっかりとレクチャーしてくれるため万全の備えをしたうえで採用面接に臨むことができます。
企業の薬剤師求人に強い転職サイトはココ!
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マイナビ薬剤師
仕事内容、職場の雰囲気、有給消化率などの濃い内部情報を提供してくれます。調剤薬局・ドラッグストアだけではなく、製薬会社や治験業界といった企業系の職場への転職にもとても力を入れています。
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薬キャリ
女性薬剤師に優しいサポートに力を入れている転職サイトです。アルバイト・派遣の求人紹介も得意なので、非常勤として企業で働きたい方におすすめです。
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リクナビ薬剤師
大手人材紹介会社のリクルートが運営する薬剤師転職サイトです。情報提供スピードが速いので、さくっと求人を知りたいときにおすすめです。
あなたはどのタイプ?企業薬剤師への転職パターン別の転職理由、求人選びのポイント
企業薬剤師への転職には色々なパターンがあります。以下に代表的なものをご紹介いたします。
病院から企業薬剤師に転職
病院から企業薬剤師に転職する人には大きく分けて収入アップを求めて転職する人と新しい仕事への挑戦ややりがいを求めて転職する人の2通りがあります。
病院薬剤師は薬物治療や治験についての高い知識を持っている方が多いため、MRやCRC、DI担当者などの仕事が馴染みやすい傾向にあります。
病院は全体的に給料が安い傾向にあるため、企業に転職することで多くの方は年収を上げることができます。100万円以上アップすることも珍しくなく、中には200~300万円も上がったという人もいます。
企業に転職すれば福利厚生も充実しており、土日にはきちんと休みが取れる、夜勤・当直が無くなる、有給の消化率が上がるなど労働条件は改善する傾向にあるといえます。
また、企業薬剤師は全体的に採用難易度が高い傾向にはありますが、病院薬剤師は調剤薬局やドラッグストアなどと比べると職能に対する評価が高いため比較的転職しやすいといえるでしょう。
調剤薬局から企業薬剤師に転職
調剤薬局から企業薬剤師に転職する人は調剤などの仕事に飽きてしまい、新しい業務を経験するために転職する人が多い傾向にあります。
調剤という仕事は慣れてしまえば同じことの繰り返しになってしまい、単調になりがちです。
このため、特に20~30代前半の若い人が新しい仕事に対するやりがいや挑戦を求めて企業に転職される方が多い傾向にあります。この年代であれば未経験の業種でも比較的採用されやすく、転職活動にはそれほど苦労しなくて済む場合もあります。
調剤薬局での経験を活かせる職種にはMRやDI担当、学術担当、CRCなどがあります。こうした職種は医療用医薬品についての広範な知識が必要となるため、特に幅広い診療科目の処方せんを取り扱っていた薬剤師では有利になります。
募集数はそれほど多くなく、採用難易度はいずれもやや高めであり、年齢によっては転職に苦労する可能性もあります。
平均的な給与は調剤薬局と企業とではそれほど変わらない傾向にありますが、土日やお盆、年末年始にまとまった休みが取れるなど待遇は調剤薬局と比べて恵まれる傾向にあるといえるでしょう。
ドラッグストアから企業薬剤師に転職
ドラッグストアから企業薬剤師に転職するパターンは比較的珍しいですが、接客や販売業などに飽きてしまったり、激務に疲れた薬剤師がデスクワークの仕事を求めて転職するという場合があります。
ただし、調剤経験の無い人ですと就くことのできる業種はかなり限られてしまうため、現実的には医薬品卸や物流センターの管理薬剤師などに収まることが多いです。
これらの業種は未経験でも比較的採用されやすく、40代以上の年齢の方でも多くの方が転職されています。
給料はドラッグストアと比べるとやや下がる傾向にありますが、労働条件はほとんどの場合で改善します。
土日祝日に休みが取れる、残業が無く定時に帰社できる、有給消化率が上がるなどの様々な高待遇が期待できるため、プライベートを重視する人にとってはこうしたパターンの転職は大きなメリットとなることでしょう。
企業薬剤師から同じ種類の企業薬剤師に転職
企業薬剤師から同じ種類の企業薬剤師に転職される方はほとんどが給与アップを求める人になります。
同じ職種であれば転職先でも過去の経験を存分に活かすことができるため、採用当初から高い給料が期待できます。また、企業の募集の傾向も把握しやすいため有利に転職活動を進めることもできます。
特にMRは転職によって年収がアップしやすいといわれており、20代後半~30代前半などの比較的若い世代では転職が活発となっています。
営業成績の良い方ですと転職によって年収が200万円以上も上がったという事例もあり、腕に自信のある人ほど転職しやすい世界であるといえるでしょう。
大手企業に転職するほど福利厚生面でも手厚くなる可能性が高く、中小企業で培った経験を採用面接でアピールすることで好待遇を勝ち取られる方もいらっしゃいます。
ただし中には自分の勤めている会社がブラック企業であるため、そこから逃げるためにあえて同じ種類の別会社に転職するという方もいらっしゃいます。
企業薬剤師から他の種類の企業薬剤師に転職
職種を変えて企業から企業に転職する薬剤師には待遇の改善を求める方が多い傾向にあります。
MRの激務に疲れたため残業が少なめのCRAに転職したり、有給消化率をあげるために製薬会社から医薬品卸の管理薬剤師に転職したりというパターンが多く見られます。
ただし、他職種に転職すると前職の経験があまり活かせないことが多く給料自体は減額になる場合も多いことには注意が必要です。
MRと、CRCなどの治験関連職は病院が主な働き場所という共通点があるため転職しても比較的仕事になじみやすいといえます。
また、医療機器メーカー、食品メーカー、化粧品メーカーなど、同じ製造業同士であれば当局への申請手続きの方法が共通している場合なども多く、比較的容易に転職できる傾向にあります。
この他にも現在の仕事内容に飽きてしまったから、新しいことに挑戦したいからなどの理由であえて別の業種を選択して転職する方もいらっしゃいます。