私が小児科の門前の調剤薬局に勤務した際、世間一般で『モンスターペアレンツ』と呼ばれる親御さんが驚くほど多くいました。近年TVなどでもモンスターペアレンツを取り上げる番組が多くなっていますが、実際に直面するまで「そんな親なんているの?」「TVで少し誇張しているのでは?」と思っている自分がいました。

でも本当にTVで見ていたような人が存在し、初めはどう対応していいのかわからず苦戦していました。そこで私が調剤薬局で出会ったモンスターペアレンツをご紹介したいと思います。

医師の前では良い親、薬剤師の前では悪い態度

私が接してきたモンスターペアレンツの特徴として、調剤薬局においては非常に問題のある親なのですが、病院において医師や看護師に対しては非常に良い親を演じている人が多いです。

病院での態度は良いのに、調剤薬局では「遅い!時間がかかりすぎる!病院でも待たされたのに、なんでここでも待たされる必要があるの?うちの子供は具合が悪いのに、こんなに時間かかって可愛そうでしょ?悪化したら責任とってくれるの?車で待っているから車まで持ってきて。」と言われることが多いです。

『病院の患者さんが多い=薬局にくる患者さんも多い』とは思いつかないようです。自分勝手で他の患者さんを飛ばしてでも自分を最初にしろと言わんばかりの態度をとってきます。

非常に態度が悪く業務妨害レベルだったので、病院の医師に相談したところ病院ではそのような態度は一度も見せていないとのこと。非常に物分かりが良く、優しい親という印象だと言われました。

病院と薬局とで態度を使い分けられる人間。なんと器用な人なのかと感心してしまいましたが、毎回態度が悪すぎるので、こちらも嫌気がさしてました。それが私の態度に出てしまったことがあり、余計にひどい扱いをされることもあったので、この人は要注意人物だと薬歴のページに印がつけられました。

兄弟の薬を間違えて服用させたことに気づかずクレームを入れる母親

調剤薬局では薬歴にしっかりと以前処方された薬を記録していますし、実際に患者さんが持参したお薬手帳で、他の調剤薬局から処方された薬も確認しています。しかし「ここの薬局から出された○○って薬を飲んで前具合が悪くなったから、もう飲ませたくない。病院の先生にも相談したから。次またうちの子が具合悪くなったら責任とってもらうからね!」と言われたことがあります。

実際にうちの薬局から○○は渡しておらず、門前の病院からも処方されていません。お薬手帳を確認しても○○はどこからも処方されておらず、そのことを伝えると

モンスター「いや間違いなく○○!私が嘘ついているとでも言いたいの?あまり変なことを言うと警察に通報するわよ?」
私「○○ではなくて、●●ではありませんか?」
モンスター「違う!間違えるわけないでしょ?私はこの子の親なのよ!あなたこそ薬剤師なのになにを勉強してきたの?」
私「ですから、おたくのお子さんに○○はどこの病院からも処方されてないので、もう一度確認してもらえますか?」
モンスター「じゃあ、なんで○○がうちにあるのよ?うちの子は何を飲んだのよ?」

と、もうゴールの見えない会話を繰り返します。

結局色々調べて確認した結果、患者さんの兄に他の病院で処方された○○を間違えて飲ませていたようです。病院では素直に自分が兄弟の薬を間違えて飲ませていたと認めたのに、調剤薬局では自分の間違いを認めたくないようで、私たちに散々言っていた事も「知らない。何のこと?」という態度でした。

医師に対しては絶対的な尊敬を抱いているようで素直に接しているようですが、薬剤師に対しては全く尊敬どころかむしろ見下していると感じてしまいました。そして、何の脅しなのかすぐ「警察に通報するわよ」と言ってきます。警察に通報と言えば相手がひるむと思っているのでしょうか?もう、小学生と言い合っているような気分になりどっと疲れました。

今回は、医師と薬剤師に対して態度が180度違うため病院と調剤薬局とで連携して対応がなかなかできないタイプのモンスターペアレンツをご紹介しました。

次回は、調剤薬局で見たモンスターペアレンツ②で別のモンスターペアレンツを紹介します。