プライマリ・ケア認定薬剤師とは
プライマリ・ケア認定薬剤師は日本プライマリ・ケア連合学会が実施・運用している認定薬剤師制度。
医療系の学会としては初めての「薬剤師認証機構」に認められた学会が運用している制度です。それは、研修や認定の質がとても高く評価されているということ。そこに認められている薬剤師も、また高く評価されているということになりますね。
プライマリ・ケア認定薬剤師は、健康や病気や福祉などに関わってくるありとあらゆる問題に対して、総合的に解決することを目的とする実践的な医療活動を担っているという役割があります。
また、薬剤師として持っている専門知識をふんだんに活用しつつも、さまざまな医療分野を横断的に幅広くカバーしていることの保証。それがプライマリ・ケア認定薬剤師なのです。
プライマリ・ケア認定薬剤師に必要な知識や技術
普通、医療従事者というのはある特定分野に関しての専門知識を有し、その分野ひとつに一点集中で業務を行いますよね。がん治療についての専門的知識・技能が高い人であれば、がん治療を主に行うということです。ある意味当然ですよね。でも、プライマリ・ケア認定薬剤師は、そうではありません。
プライマリ・ケア認定薬剤師に必要なのは、医療に関するありとあらゆる知識ですね。幅広く持っていることが重要なのであって、ひとつに関して特化している必要はありません。
プライマリ・ケア認定薬剤師にとっては、そういった専門知識というよりは、技能や性質が大切になります。プライマリ・ケア認定薬剤師に必要な技能や性質に関しては例えば以下のようなものです。
近い存在であること
プライマリ・ケア認定薬剤師というのは、地域密着でさまざまな問題解決を行うことが求められます。
そのため、物理的な距離が近いというだけではなくて、患者さんとの精神的距離が近いという性質が必要です。気軽に相談してもらえるような存在であることが、何よりも求められます。
さまざまな知識と技術を包括していること
性別や年齢、臓器ごとにとらわれずに幅広い知識と技術。それを駆使して、病気が発生する前の予備段階において予防の取り組みをするなどが必要です。
とはいっても、全ての領域をプライマリ・ケア認定薬剤師がひとりでカバーするというのは無理な話ですよね。他の職種の人や専門分野を持っている薬剤師たちとの協力も大切になってきますよ。
他にもいろいろなものが求められますが、特に必要なのが上記のような能力です。
プライマリ・ケア認定薬剤師になるには
認定を受けるまでの流れ
認定を受けるまでの大まかな流れについて説明します。
まずは、研修開始届書を学会に提出しなければいけません。提出したら、今度は指定された研修会や講座に出席。必要単位をとり、研修を修了しましょう。そのあと、試験・審査を受け、合格したらプライマリ・ケア認定薬剤師としての認定を受けることができます。
申請条件と受付期間、書類について
プライマリ・ケア認定の申請条件は、いたってシンプル。日本の薬剤師資格を持っていることです。それ以外は特に規定されていません。申請するまでのハードルは、他のどの専門薬剤師よりも低いですね。
書類は指定された月のはじめから月末までの間。平成28年であれば、7月1日から7月31日までの消印で郵送する必要があります。必要書類は学会のホームページでダウンロード。印刷したあとに手書きでき入試、学会本部事務局宛に郵送します。学会員である場合は、会員番号を書きましょう。
単位取得について
新しく認定申請をするのに必要なのは、50単位以上。そのうち、日本プライマリ・ケア連合学会に関連している研修などの単位を30単位以上、細則で決められている必須領域を20単位。見学実習では8単位を取ることが必要になります。
必須領域は、例えば以下の通り。
(一部だけ紹介しますが、全て見たいという方は学会ホームページから細則を見てみましょう)
- プライマリ・ケアに関する知識とプライマリ・ケア認定薬剤師の役割について
- コミュニケーションスキル
- 服薬指導・支援
- プライマリ・ケアにおける薬物治療
- 生活習慣指導
- メンタルケア
- 在宅ケア
プライマリ・ケア認定薬剤師の活躍の場
プライマリ・ケアが活躍できる場所は、例えば地域のかかりつけ薬局・ドラッグストアの健康相談会などの地域に深く根付いている現場になります。簡単に言えば、地域密着型の医療現場ということですね。
近年は在宅での仕事を行うこともあり、活躍の場はその「地域」になります。