感染制御専門薬剤師とは
感染制御専門薬剤師は一般社団法人日本病院薬剤師会が実施・運用している専門薬剤師制度です。
平成22年度の時点では219名の専門薬剤師がいます。そのうち更新者が40名で新規取得者が179名です。
感染症治療というのは、医学の進歩によって扱う薬の種類がどんどん増えている領域です。感染症に対する薬は、効果がとても強力なので扱いにはとても注意深くなる必要がありますよね。強力な医薬品を適切に扱うことができる薬剤師を育成する目的でこの制度は存在しています。
感染制御専門薬剤師の役割は、とても多岐にわたっています。例えば、マニュアルやガイドラインを更新する役割、消毒薬や抗菌薬を正しく使うため職員各位に情報伝達や教育をするといった役割。他には薬の評価などがあります。
色々な役割を担わなくてはいけないので大変ですが、その分やりがいもとても大きくなっています。
感染制御専門薬剤師に必要な知識や技術
感染制御専門薬剤師に必要な知識は、消毒薬・抗生物質に関しての専門的な知識。他にもいろいろと必要ですが、主な知識はそれら二つです。
かなり多くの種類がある消毒薬・抗生物質。現存しているすべてのものについて深い知識を持っていること、それらすべてを正しく扱えること。そのための知識です。
また、医療というのはチーム体制で挑むもの。薬剤師だけが消毒薬・抗生物質に関して深い知識を持っているというのではいけません。医師や看護師たちにもそれらの知識を分け与える必要があります。使うたびに「この薬はこういうもので・・・」と教育しなければいけないというわけです。
そのために、人に物事をうまく教える力というのも要求されます。その医療に携わっている人たち全員が、薬の特徴や利点を「知っている」状態にしなければいけませんからね。薬剤師は「理解している」その他医師たちは「知っている」という状態が望ましいです。
感染制御専門薬剤師になるには
感染制御専門薬剤師になるまでの道のり
感染制御専門薬剤師になるための道のりを大まかに紹介します。まず、日本病院薬剤師会の専門薬剤師制度はすべてピラミッド型のステップアップ制度です。その頂点に位置しているのが専門薬剤師。それは感染制御専門薬剤師においても同じこと。
まずは感染制御認定薬剤師の認定を受けなければいけません。それか、ICD制度協議会が認定しているICDの資格を有していること。後者を持っていれば、認定薬剤師でなくても感染制御専門薬剤師の申請をすることができます。
その後、学会発表・学術論文などを盛んには発表していきましょう。基準を満たしたら、そこではじめて感染制御認定薬剤師認定試験を受けることができるというわけです。そこで合格すれば、認定を受けることができます。
申請条件
- 感染制御認定薬剤師か、ICDの資格のどちらかを持っていること
- ICD制度協議会に加盟している学会や研究会に所属すること
- 所定の学会での感染制御領域に関わる学会発表を3回以上行い、少なくとも1回は発表者であること
- 学会誌や学術雑誌に、感染制御領域に関わっている学術論文を2編以上発表し、少なくとも1編は筆頭著者であること
- 病院長や施設長に推薦されていること
試験について
平成25年度に開始された試験は、AP渋谷道玄坂渋東シネタワーにて行われました。会場に関してはその年の受験者数によって変わります。受験するには、先述した申請条件全てを満たしている必要があります。
受験料は一般社団法人日本病院薬剤師会の会員であれば10,500円(税込)で、会員でないのなら、税込み15,750円かかります。試験は平成25年度であれば26年の1月に行われます。翌年の1月と思っておけばよいでしょう。
難易度に関しては、それなりに難しくはなっていますが、認定薬剤師としての認定を受けて実戦経験を積んでいる人にとってはそれほど苦労するところではないでしょう。試験よりも学術発表や論文などの発表のほうが大変だという人が多いようです。
感染制御専門薬剤師の活躍の場
活躍できる場所は、大病院での指導・教育者としての立場。中小病院で感染症専門の医師として働くこともできます。指導者にもなることができるので、現役を退いてからも活用することができるかもしれません。