抗菌化学療法認定薬剤師とは

抗菌化学療法認定薬剤師は日本化学療法学会によって2008年に発足された認定制度。平成26年度の新規認定者や更新者と、それまでに認定を受けた人を合わせると合計671名の抗菌化学療法認定薬剤師がいます。

抗菌化学療法認定薬剤師の役割というのは、感染症の種類や病態に応じた抗菌薬の選択から、それをどう使っていくのかを知識としてたくわえ、実践的にその知識を使うというもの。以前は抗菌薬の投薬を医師にアドバイスするという支援的な役割になっていた薬剤師ですが、抗菌化学療法認定薬剤師は、自分から積極的に判断して実践する役割を担います。

また、抗菌化学療法というのは現代医療において欠かすことのできないものでありながら、多剤耐性菌の増加が問題視されていて、「抗菌薬が不安だ」という人も少なくはありません。そういう不安を持っている人たちに、正しい説明をして、正しい治療を行うことができる。その証明が抗菌化学療法認定薬剤師の資格というわけです。

抗菌化学療法認定薬剤師に必要な知識や技術

抗菌化学療法についての正しく深い知識が必要とされます。どの薬がどの症状や病態に効果があるのかなどを判断し、医師に伝え、医師と一緒に治療を行っていく。知識だけではなく、その知識を基にした判断力とコミュニケーション能力・協調性も必要です。

もちろん、調剤技術などの薬剤師としての基本的技術が高いということも必要条件に入ります。

抗菌化学療法認定薬剤師になるには

申請条件

  • 日本国内の薬剤師免許を持った薬剤師である
  • 日本化学療法学会認定の研修施設で5年以上の研修を行う(通算で良い)
  • 日本化学療法学会の正会員である
  • 医療機関で、薬剤管理指導や治療薬物モニタリング(TDM)
  • 医薬品情報(DI)業務を通じ、感染症患者の治療に参加した症例を25症例以上報告すること
  • 学会が指定している抗菌薬適正使用の研修プログラムなどで、規定単位数を取得する

以上が申請条件ですが、新規申請には他にも以下のような書類が必要になります。

  • 抗菌化学療法認定薬剤師認定申請書
  • 薬剤師免許写し
  • 単位取得証明書
  • 症例一覧
  • 推薦状
  • 抗菌化学療法に関わっていることの証明書
  • 申請量振込み控えの写し

認定申請書に関しては、学会のホームページからダウンロードできます。

試験について

平成27年度の試験は、平成28年2月7日の日曜日、13時から15時の120分の試験になっています。会場は東京慈恵会医科大学の本館2階中央講堂です。つまりは東京都南区ですね。受験に関して必要な書類などは例年、その年度の9月末までに提出しなくてはいけません。

出題の範囲は、「抗菌科学両方認定薬剤師テキスト~薬剤師が知っておきたい感染症と抗菌化学療法~」「抗菌薬TDMガイドライン」のふたつの内容。それらは学会ホームページにてそれぞれ購入の申し込みをすることができます。

前者は税込みで3,000円。後者は税込みで2,000円の合計5,000円かかってしまいます。送料も実費で自分が負担することになるので気をつけましょう。

難易度は、そこまで高くはありません。その年度の試験において定められている出題範囲のテキストなどを購入し、それについてしっかりと理解ができていれば問題なく合格できるレベルです。受験資格も他の薬剤師認定制度に比べるとハードルが低いですね。

ちなみに、合格発表については雑誌や学会ホームページにて行われます。名前もホームページで名簿として公開されることになっており、この名簿は誰でも見ることができるものになっているので留意しておきましょう。

学会ホームページには、その他試験に使えるようなテキストなどが掲載されています。例年そのうちのいずれかのテキストが出題範囲になっているので見てみるといいかもしれませんね。基本的には定められたテキストだけの対策でかまいませんが、他も読んでいると理解が早いかもしれません。

抗菌化学療法認定薬剤師の活躍の場

抗菌化学療法認定薬剤師の活躍の場は、病院内の感染対策チームや抗菌薬について扱っている保険薬局・施設・メーカーなどです。医療現場だけでなくメーカーにも活躍できる場所があるので、転職にも役立つ資格になっていて、将来性は十分にあると言えるでしょう。