腎臓病薬物療法専門薬剤師とは
腎臓病薬物療法専門薬剤師は日本腎臓病薬物療法学会が実施・運用している専門薬剤師認定制度です。
透析・腎移植などの慢性腎臓病に対するものだけではなく、腎臓がまだ発達していない未熟児や、高齢者などへの対応・薬物療法まで。腎臓に関わる薬物適正使用の実施を幅広くサポートする役割を持っています。
腎臓薬物療法認定薬剤師の人のステップアップの先にある資格です。腎臓が弱い患者さんに対する薬物療法で、有害事象が発生しないよう、適切な薬物療法を行うことができる薬剤師を育成することを目的として制度が作られました。
腎臓病薬物療法専門薬剤師に必要な知識や技術
腎臓病薬物療法専門薬剤師に必要な知識や技術に関しては、認定薬剤師と同様に、透析・腎移植などについての知識。慢性腎臓病はどのような症状が起きてどのように対処すればいいのか。慢性腎臓病になりやすい高齢者の方には、どのような薬物が危険で、どのような薬物が安全なのかなどの知識が必要です。
簡単にまとめて言えば、腎臓病に有効な薬物とその薬物が及ぼす他の臓器への影響などについての幅広い知識が問われます。
腎臓病薬物療法専門薬剤師になるには
まずは腎臓病薬物療法認定薬剤師になることから
腎臓病薬物療法専門薬剤師というのは、腎臓病薬物療法認定薬剤師でなければなることができません。
薬剤師の専門職というのはピラミッド型のステップアップ方式になっているところが多く、一般薬剤師から認定薬剤師、そこからステップアップして専門薬剤師になっていきます。
腎臓病薬物療法専門薬剤師に関しても例外ではなくピラミッド型のステップアップ制度をとっているので、まずは腎臓病薬物療法認定薬剤師にならなくてはいけません。
認定申請条件
- 腎臓病薬物療法認定薬剤師として、3年以上腎臓病や透析患者の薬物療法に携わっていること
- 日本腎臓病薬物療法学会の会員であること
- 日本腎臓学会、日本透析医学会のどちらかの個人会員であること
- 日本腎臓病薬物療法学会、日本腎臓学会、日本透析医学会、日本医療役が句会、日本薬剤師学術大会など、全国レベルの学会や、それに関連している国際学会における学会発表が、5回以上あること。そのうちの2回以上は筆頭発表者であること
- 複数査読制の、国際的・全国的学会誌・学術雑誌に、腎臓病や透析療法や、それに関わる学術論文の投稿を3編以上行っていること。そのうち1編以上は筆頭著者であること
- 上記全ての条件を満たしていること
これら全ての条件をクリアすることができれば、そこでやっと試験を受けることができるというわけですね。
試験について
試験については、認定薬剤師の試験をクリアした人であればそこまで苦労はしないでしょう。試験の模擬問題がネットで上がっています。問題ないように関しては認定薬剤師も専門薬剤師も同じ模擬問題が使われています。
腎臓病薬物療法専門薬剤師は、認定薬剤師とは違い、筆記テストのほかに自験例を30症例以上提出しなくてはいけないのですが、試験よりもむしろそちらの方が難しいでしょう。3年以上の認定薬剤師としての実務経験を積んでいく中で症例を30症例集めていくしかありませんね。
更新について
専門薬剤師の場合は、5年ごとに更新することになります。そのとき、研修単位が必要になるのですが、専門薬剤師の場合は60単位分の研修を受けることが必要です。なお、更新の際の研修単位基準に関しては、認定薬剤師も専門薬剤師も変わらず60単位となっています。
腎臓病薬物療法専門薬剤師活躍の場
腎臓病薬物療法専門薬剤師の活躍の場所は、腎臓病治療を行っている病院や診療所、保険薬局などです。最近では在宅での仕事の需要も高くなってきているので、活躍の場所は結構多くありますね。第1回試験が行われたのが2013年8月で、現在いる腎臓病薬物療法専門薬剤師は、ほとんどが過渡的措置によって認定された人たちです。
まだまだこれから人数も増えて、重要性も認知されていくであろう専門職なので、将来性十分。手当てについては一概に言うことはできませんが、多くのところで手当てがつくので、給与面も良いです。手当てなども今後高くなっていくかもしれませんね。