調剤薬局の中には、管理薬剤師という立場の人がいます。名前の通りその調剤薬局を管理する立場にある人ですが、管理栄養士と栄養士のように資格に違いがあるわけではなく、薬剤師であれば誰でもなることが可能です。
調剤薬局や会社によって、管理薬剤師手当が給料にプラスされるのが一般的で、金額は様々です。私の経験や友人の話から最低額でも月3万円。高いところは月10万円出るところもあります。そこの規模や売り上げにも関係があるのかもしれませんが、統一感はありません。
しかし、私が今まで勤務した調剤薬局の中で、ひとつだけ管理薬剤師手当のない調剤薬局がありました。そこは個人経営の調剤薬局でしたが店舗数は10件以上あります。
管理薬剤師手当のない調剤薬局の弊害
管理薬剤師の仕事も他のところと同じように様々な責任があり、在庫の管理や発注の管理、月末の締めの管理、レセプトやシフト作成を初め多くの管理薬剤師としての仕事が存在します。また、基準薬局として開局時間外にも患者さんからの電話に対応できるように、転送電話専用に携帯電話を保有しており24時間体制で対応しています。
これだけ他の一般薬剤師より仕事量も多く、最終的な責任もとる必要があり24時間携帯電話を持たされているのに一般薬剤師と同じ給料で手当が無いとなると、本人のモチベーションがまったく上がらないようで、本当に管理薬剤師はやる気がありませんでした。
「同じ給料なのに、なんで私だけ?みんなで一緒に仕事しているからいいでしょ?」と言って、自分の仕事をみんなに振り分けてきました。最終的には管理薬剤師として何をしている?と言いたくなるくらい、管理薬剤師としての仕事はほぼしていない状態まで自分の仕事を他の人たちに譲っていました。
これは、さすがにやりすぎではないか?と訴えると「だって別に管理薬剤師って名前だけで、手当も出ないしやる気でないからね。○○さんも、管理になった時にわかると思うよ。その時は私みたいにみんなに仕事を振り分けるとラクになるから真似していいよ。」と正直に言ってきます。あまりに正直すぎて気持ちいいくらいです。
私はシフト作成を担当していましたが、休みの希望を出す時だけ管理薬剤師としての立場を存分に発揮されました。早めに休みの希望を伝えられて、極力連休を作るように言われました。最初に管理薬剤師の休みが決まるので、他の人はそこを避けて休みを希望する必要があるし、ある意味パワハラでしたが何も言えません。
自分の仕事をしっかりとしているなら、愚痴も出ませんが、実際にはみんなからブーイングが出てばかりで本当に職場の雰囲気は最悪でした。それを確実に本人も実感していると思いますが、仕事を分散させてラクになっている現状に満足しているのか、改善しようという姿勢は見られないまま数か月がたちました。
管理薬剤師手当をつけてと言っても・・・
私はあまりにも働きにくい環境だったので、部長や専務に相談し、その中で管理薬剤師手当を採用して管理薬剤師の給料にプラスすることは出来ないかと掛け合いましたが、その必要はないと相手にしてもらえませんでした。部長や専務、社長など実際に数字しか見ておらず現場では仕事をしていない人にとっては経費削減しか頭になく、管理薬剤師手当は必要ない無駄な経費だと考えているようです。
確かに会社にとって利益は必要で最優先すべきものかもしれません。しかし、その利益を得るために何が必要なのか基本的なところが見えなくなっているように感じます。
このままでは、この会社で管理薬剤師になりたいから頑張る!と思う人も出てこないし、実際に管理薬剤師になっても仕事に対するモチベーションも上がらずに業績も上がらない。職場の雰囲気も悪く離職希望者も出てくる。