精神科(心療内科)というのは病院の中でもかなり特殊な科です。外科や内科や耳鼻科に皮膚科・眼科などはどれも体に関するものですが、精神科は人々の精神・・・こころに関するもの。そんな精神科で働く薬剤師の実態というのも、少しだけ変わっています。
「日本は経済的に豊かで体も健康な人が多いが、精神面で苦労している人が多すぎる」
この言葉は、今は亡きマザー・テレサが日本を訪れた際に発した言葉とされています。このマザー・テレサの言葉のように、現在は体は健康だという人が多いのにも関わらず、精神面での不調を訴える人が多くなっています。うつ病患者の数は年々増加傾向にありますからね。
今やうつ病をはじめとする精神病や精神疾患というのは、誰にでも起こりえるものになってきています。仕事がつらいのであったり、人間関係に悩んだり。そういった日常的な理由から、人のこころは簡単に崩れ去ってしまいます。
そんな今、精神科での薬剤師の仕事について注目が高まっています。
精神科での薬剤師の仕事内容と役割
精神科の薬剤師の仕事は、チームプレイが非常に大切です。精神科医療というのは、精神科医と看護師と薬剤師全員が力を合わせて行っていかなくてはいけないもの。精神科医がカウンセリングで症状をききだし、どのような薬を投与すればいいか、どのような療法がいいかを判断します。
現在の主流は薬物治療なので薬物を投与するという判断をすることが多いですが、どのような薬がいいのかは精神科医と薬剤師が相談して決めるということも多いです。そんな、精神科治療のメインを担っている薬物治療を任されている薬剤師の役割というのは、とても重要なもの。
さらに、精神科での薬物療法というのは、治療の効果を確認するのが難しいです。目に見えてわかるものではないので、患者さんもなかなか言葉にできなくて困るということもあります。かといって薬剤師や医師側からはなんともわからないので、「経過を知る」ということがとても難しい仕事ですよ。
また、治療薬というのは一般的にその症状にあてはまるものでも、患者さん個人個人によってはその薬によって症状が悪化してしまうということもあります。でもこれは試してみなければわからないので、副作用を早い段階で見つけるために、検査をすることもあるので、頭を悩ませることも多々あるでしょう。
薬剤師として精神科で働くやりがい
精神科での薬剤師の仕事は確かに難しいものです。フィジカルではなくメンタルに作用する薬を投与し、人の内面という見えないところを治療する仕事ですから、難しいのは当然のこと。
でも、その分大きなやりがいがあります。精神科は体ではなく精神に関わるものという説明をしましたが、そのために他の職場では得られない知識と経験を得ることができるのが大きなやりがいになるでしょう。精神面に作用する薬について深く知ることができる職場は、ほかになかなかないですからね。
精神科薬剤師の将来性
現在、精神病というのはとても身近な病気になっています。インフルエンザや花粉症のように、誰にでも起こりえるもので、私たちの生活は常に精神病と隣り合わせ。ストレス社会で戦う現代人にとって、精神科というのはオアシスのようなもの。
カウンセラーに悩みを打ち明けにくるといった軽い利用方法もできますし、本当に病気だった場合は薬剤師による薬物投与によってその苦しみを和らげることもできます。精神病に対する完璧な治療方法はまだまだありませんが、だからこそ精神科とそこではたらく薬剤師の需要というのは、今後一層高まるでしょう。
日本の労働環境をはじめとした現状が良くならない限り、精神病は国民病のようなものになっていくでしょうから、世間から一目置かれる存在になり、年収も平均で400万円ほどという現状よりもあがるかもしれません。
まとめ
精神科で働く薬剤師の仕事は、とても難しく不確定的なものです。かなり難しい仕事ではありますが、その分、精神面に作用する薬の知識というほかではなかなか得られない知識を深めることができるやりがいがあります。
今後さらに需要が高まると、ますますやりがいやメリットが増えそうですね。精神科ではたらく人たちは、これからの医療を担う人材であるとも言えるでしょう。