転職は人生の一大イベントです。今までの生活から一転した別な生活が待っているのですから。私の転職経験は1回だけで、調剤薬局から調剤薬局への転職であったために仕事の内容には大きな変化はありませんでしたが、それでも生活は大きく変化しました。

転職を考えるということは、何かしらの不満が現在の職場にあるということかと思います。その不満が転職によってすべて解消するかといえば、否と言わざるを得ません。

しかしながら、自らの人生を真剣に考えて新たな一歩を踏み出したことには大きな意味があります。新たな職場に移ったとしても、新たな問題に直面してしまうことでしょう。それでも、転職というハードルを飛び越えた自分にはその問題を受け止める器ができています。不安に感じることもあるとは思いますが、まずは一歩踏み出してみることも大切です。

転職を考えた理由

私が転職を考えた理由は様々あります。その問題が転職によってすべて解決したわけではありませんが、大部分は好転しました。

トップダウン式の薬局の管理方法

私が最初に勤めていたのは、地方を主にして展開している中規模の調剤薬局グループでした。中核病院前の門前薬局もあり、薬剤師として学ぶための状況は備えている会社でしたが、各店舗に認められている権利が少なく、トップダウン式の薬局の管理方法に日に日に不満が積もっていました。

給料の不満

金銭面での不満も大きく、家族への仕送りや自分の生活費を考えると、このまま働いていても将来設計ができないと考えていました。会社の期待に応えて働いてもそれに見合う見返りがなく、本部の方から頑張りは知っているし、賞与や昇給できちんと考えていると説明もされましたが、実際に渡された内容を確認しても以前と大差はないもので愕然としたのを覚えています。

店舗の管理方法、自身の勤務体制、賃金の状況から考えて、これ以上この会社にいても自分に得られるものがないと判断して退職に踏み切ったのです。

退職にあたって

退職までの期間

退職の旨を会社に伝えた後、実際に退職できたのはそれから半年後です。11月に退職する意思を伝え、翌年5月の末日に退社となりました。

会社の規定では退職の少なくとも一か月以上前に報告すればよいとなっているのに、退職の意思を伝えてからも全く退職手続きを行ってもらえませんでした。薬剤師数が不足しており、様々な店舗に登録して移動させられる人材が惜しかったようなのです。

転職先の決定

そこで私は有休を収得し、次に務める会社を先んじて探しました。卸業者さんや薬剤師会の力を借りて、務める会社を見つけ、その会社には退職日が決まっているので問題ないと報告して入社日を先に決定したのです。

それから退職届をもって本部の上司に掛け合いました。すでに退職の意思は伝えており、何度も催促していましたが、今回の件でやっと重い腰を上げて手続きを進めていただけることになったのです。

薬剤師数が確保できる都市圏では少ない話かもしれませんが、薬剤師の絶対数が少ない地方部では退職の意思を伝えても今回のように無視されてしまうこともあります。雇用者と労働者は対等な契約関係です。雇用主といえども、正式に手続きを申し出ている労働者を不当に拒否することはできません。強い意志をもって自分の意見を伝えましょう。

転職をしてみて変わったこと

私の場合には転職といっても調剤薬局から調剤薬局への転職であるため、大きな仕事の変化はありません。ですが、薬局の管理体制や金銭面での状況が全く異なるため、今まで以上に仕事に情熱を傾けることができました。今まで携わったことのない法律分野の業務など、新たな視野を獲得することもできました。

一つの会社で頑張ることを否定するつもりはありませんが、小さな世界しか知らずに働くよりも別な会社の別な視点や考え方を吸収することもスキルアップの重要な因子であると思います。転職に関して悩み始めた段階で、すでに今の会社に関して気持ちが離れ始めているということです。自分に嘘はつかず、気持ちに素直になることも大切ではないでしょうか。

転職をすることによって様々な法的な手続きも必要となりますし、それが面倒というのは確かにありました。ですが、そのおかげで惰性で支払っていた税金について学ぶ機会になりました。転職に関して悪い面も、考え方を変えれば大切な学ぶための機会です。すべて向き合うことで、またひとつ成長できたと実感しています。

前向きな転職は前向きな人生を構築してくれます。実際に私は、転職によって明るい未来に歩き出しました。人生の転機には妥協せず、しっかりと考えて結論を出していきましょう。