食品衛生管理者の資格概要
食品衛生管理者は各都道府県の食品衛生協会が実施している資格です。食品衛生法第48条の規定によって、製造または加工の過程において、食品衛生を考慮しなければいけない食品や添加物などを扱う場合には食品衛生管理者を置かなくてはいけないと決められています。
施設専任の管理者になるので、とても責任の重い役割です。そこで食品製造や加工をスムーズにかつ安全に行うことができるように管理をします。消費者が安心して加工食品などを食べることができるのは、食品衛生管理者が食品工場などに必ずひとり以上はついているからというわけです。
食品衛生管理者に必要な知識や技術
食品衛生法についての知識や、それぞれの添加物についての知識、食品衛生を考えなければいけない食品の加工方法や保存方法、衛生管理方法などについての実践的な知識が必要とされます。
以上が資格を取得するために必要な知識で、実践的に仕事を行うための知識は、自分が置かれることになる施設がなんの食品や添加物を扱っているのかということです。食品衛生法にて定められているのは以下のような食品。
- 全粉乳
- 加糖粉乳
- 調製粉乳
- 食肉製品
- 魚肉ハム
- 魚肉ソーセージ
- 放射線照射食品
- 食用油脂
- マーガリン
- ショートニング
- 添加物
以上のどれを扱っているのか、添加物ならどの添加物を扱っているのかについて熟知し、自分たちが扱っている食品や添加物についての専門的な知識が、実際に働くのにあたって必要とされます。
食品衛生管理者になるには
資格要件
- 医師・歯科医師・薬剤師・獣医師である
- 学校教育法に基づいている大学や、旧大学令に基づいている大学または旧専門学校令に基づいている専門学校にて医学・歯学・薬学・獣医学・畜産学・水産学・農芸化学の過程を修めて卒業した
- 都道府県知事の登録を受けた食品衛生管理者養成施設で所定の課程を修了した
- 学校教育法に基づいている高等学校や中学校もしくは旧中等学校令に基づいている中学校を卒業したものや、それと同等以上の学力があると厚生労働省令の定めによって認められるもので、食品衛生管理者を置かなくてはいけないところに3年以上従事し、講習会を修了したもの
上のいずれかに該当する人であれば誰でも食品衛生管理者になることができます。その中で、四番目の人に関しては講座を受ける必要がありますが、そのほかに関してはいますぐにでも食品衛生管理者として仕事をすることができます。
薬剤師の人などは講座を受ける必要がないということです。薬剤師免許に、食品衛生管理者としての資格がもうすでに備わっていますから、食品工場などで働けば管理者になることもできるでしょう。
講座について
講習会の内容については、一般共通科目と乳製品関係科目・食肉製品関係科目・添加物関係科目とに分かれています。そこからさらに細かくわけると、次のようになります。
■ 一般共通科目
- 公衆衛生概論
- 食品衛生法及び関連法令について
- 食品や添加物などの基準規格
- 化学概説
- 細菌学序論
- 毒物学
- 食中毒学
- 食品学
- 施設においての衛生管理について
■ 乳製品関係科目
- 細菌学実習
- 乳製品検査法
- 乳製品検査実習
- 施設見学および臨地訓練
■ 添加物関係科目
- 分析法概論
- 添加物鑑定法
- 添加物鑑定実習
- 施設見学及び臨地訓練
これらの講習を各都道府県の食品衛生管理者養成施設で受けることになります。細かい概要については各都道府県によって違うので、「食品衛生管理者養成施設 兵庫県」というように自分の住んでいる件名で検索して調べてみましょう。
講習を受けるだけで取得できるので、いたってやさしい資格ですね。
食品衛生管理者の活躍の場
食肉製品・乳製品・食用油脂などの食品衛生法で定められた食品・添加物を扱う食品製造会社が主な活躍の場所になります。そのほかであれば、食品営業なども仕事としてあるでしょう。
この資格はとるのはとても簡単です。薬剤師であれば自動的に取得していることになりますし、そのほかの人でも講習を受けるだけで取得できるのでハードルは極端に低くなっています。その分、この資格を利用した就職は難しいです。
食品会社に就職したとて、もうすでにそこに管理者がいる場合はその役目はまわってきませんからね。薬剤師が自動的に持っていることになる資格の一部として頭の中にとどめておく程度に考えておくのが良いでしょう。
管理者の役についた場合、給料アップがあるので将来性はありますが、そこまでが大変です。