薬剤師のどの職場でも「人間関係」の悩みがあります。
いじめ、パワハラはもちろんのこと、調剤薬局では患者さんとの人間関係も悩みのタネとなります。
このページでは、調剤薬局で働く薬剤師が様々な人間関係の悩みを解決する方法を検討していこうと思います。
職場内での人間関係の悩み
いわゆる「ハラスメント」の問題
調剤薬局にかぎらず薬剤師の職場での人間関係で問題となるのが「ハラスメント」です。
上司によるパワハラ、嫌がらせやいじめなどのモラハラ、妊娠した人に対するマタハラ、性的な嫌がらせであるセクハラなどが挙げられます。
もっとも、ハラスメントをしている本人に自覚がない場合も少なくありません。
したがって、事を荒立てる前にまず会社に相談してみて下さい。
会社から注意されることでハラスメントが収まれば、問題は大きくならずにすみます。
一方で、ハラスメントが収まらない場合には記録を残すようにしましょう。
身体的暴力や精神的障害を受けて医療機関を受診した場合には、診断書を書いてもらいます。
また調剤薬局ではカメラを設置している場合も多いもので、ハラスメントを受けた日時の録画映像を会社に確認してもらうのも良いでしょう。
さらに当事者以外の第三者の証言も得られるように、メンバーに協力を求めます。
そして、ひとりで悩むのではなく、同じ職場の人に相談するようにしましょう。同じ思いを抱えている人がいるかもしれません。
最後に、決して感情的にならないように気をつけて下さい。
感情的になると、ハラスメントではなく単なる被害妄想と受け取られる可能性があります。
会社に相談する場合には、冷静に「加害者に対して望むこと」「会社への要望」「具体的な対処方法」を伝えましょう。
ハラスメントには至らない問題
ハラスメントがあるわけではないけれど、人間関係が上手くいかないことはよくあることです。
忙しい調剤薬局では、作業に集中するあまり他の薬剤師からの指示が聞こえなかったり、ミスにいらついて語気が荒くなることもあります。
そういったことが積み重なると、どうしても職場の雰囲気が悪くなり人間関係もギクシャクしがちです。職場の雰囲気が悪くなると、患者さんにもそれが伝わるものです。
そこで職場の雰囲気を良くし、人間関係を改善する方法を考えてみましょう。
まず、簡単なことですがあいさつを必ずしましょう。あいさつをするのもはばかられるほど忙しい場合には、会釈だけでもいいでしょう。
あいさつされて嫌な気分になる人は、まずいません。仕事の始まりと終わりに気持ち良くあいさつをしましょう。
そして、悪口を言わない・悪口に賛同しないようにしましょう。愚痴を言いたくなる時もあるかもしれませんが、一度悪口を言ってしまうと止まらなくなるものです。
悪口はどういうわけか必ず本人の耳に入るものです。誰も良い思いをしないので言わないようにしましょう。
また、他人が犯したミス(インシデントや過誤)を根に持たないようにしましょう。そして、自分をミスした場合には素直に誤りましょう。
どんな状況でもインシデントや過誤は発生するものです。必要ならばインシデントノートを作成して薬局内・あるいは会社全体で情報を共有しましょう。しかし決して責任追及をしないようにしましょう。
最後に、小さなことにもお礼を言いましょう。あいさつと同じで、「ありがとう」と言われて嫌な気分になる人はいません。
また「ありがとう」と言うのは不思議な言葉で、言われるともっと頑張ろうという気分になります。
これらを実行しても、すぐに人間関係改善の効果は出ないかもしれません。しかし、人間関係が悪化することを防ぐことは可能です。まず明日から試してみて下さいね。
患者さんとの人間関係の悩み
対応に苦慮する患者さんとの人間関係
患者さんの中には、全く話をしてくれなくていつも一方通行の人・全く話を聞いてくれない人・聞いているのか聞いていないのかよくわからない人等など対応に苦慮する方たちが少なからずいらっしゃいます。
こういった患者さんとの人間関係を改善するためには、まず信頼関係の構築が必要です。
どの患者さんに対しても言えることですが、マニュアル通りの服薬指導をしても患者さんの心には何も残りません。
そこで、ポイントを絞って重要なことだけを伝えるようにします。
どんなに話を聞いてくれない患者さんでも「今日は一つだけ大切なことをお話させて下さい」と前振りをすれば、意外と聞いてくれるものです。
距離を縮めるのには時間がかかるかもしれませんが、信頼関係が構築されると患者さんの方から話をしてくれるようになりますよ。
親しい患者さんとの人間関係
患者さんの中には、薬剤師と非常に好意的に接してくれる方もいます。話が好きで、関係のないことまでついつい話し込んでしまう方もいらっしゃいます。
しかし、調剤薬局はあくまで薬を通じて患者さんの健康を守る場所です。順番を待っている患者さんもいます。
薬局が混雑しているときには「今日はおまたせして申し訳ありませんでした。混雑しておりますので要点のみ説明させていただきますね。」という感じで、長話にならないようやんわり断っておきましょう。
一方で、「話をわかってくれる患者さんだから」といって患者さんに甘えすぎるのも良くありません。
例えば、混雑時に断りもなく順番を飛ばしたり、薬が不足している場合に当然のように再来局を求めるのは、せっかく構築されている信頼関係を壊してしまう可能性があります。
その他、プライベートなお誘いをしてくる患者さんもごく稀にいらっしゃいますが、お誘いを受けるのはやはりルール違反でしょう。
求められても断るべきです。そういったことで患者さんが来局してくれなくなっても、仕方がないと割り切りましょう。
調剤薬局での人間関係の悩みが解決しないときは転職に踏み切ろう
以上、様々な人間関係を丸くおさめる方法を検討してきましたが、どうでしたか?
職場の人間関係がギクシャクするとそれがストレスとなり、過誤を起こす可能性があります。可能な限り人間関係は改善したいものですよね。
しかし、いくら努力しても相手のあるものですから、改善が難しい場合もあります。
チェーン店ならば異動を申し出るという方法もありますが、中小規模の調剤薬局ではそれもかなわないことが多いです。
そういった場合には、転職という選択肢もありだと思います。
次の職場で人間関係で悩まないようにするためには、実際に職場訪問するのが良いでしょう。
忙しい時間に殺伐とした雰囲気になっていないか、また忙しくない時間に従業員同士が仲良くしているか等、自分の目で確かめるのが大切です。
個人的には、忙しくない時間に事務さんがニコニコしながら薬剤師と親しく話している職場は、良い職場であることが多いように思います。
そういった薬局では、忙しいときにも互いに気をつかい声を掛け合って仕事をしているものです。
人間関係はどこにいってもありますが、職場を変えることでリセットすることはできます。
よりよい環境で職能を発揮するために、理想の職場を見つけてくださいね。