臨床心理士の資格概要

現代社会は、心理的な問題を抱えている人が増えています。マザーテレサもかつて言いました。「日本は裕福だけど精神的に苦労している人が多い」と。一昔前から言われ続けていたその言葉は、昨今特に現実のものとして突きつけられています。

そんな中、「こころ」「心理」に関する専門職を育成し、そういう人たちの援助我必要であるという目的で1988年に認定臨床心理士が生まれました。日本臨床心理士資格認定協会が認定資格を運営。2013年の段階で26,329人の臨床心理士が生まれており、人々の心理に寄り添う存在として活躍しています。

臨床心理士には、現代社会の問題解決における重要な役割があるのです。

臨床心理士に必要な知識や技術

臨床心理士に必要なのは「共感」と「理解」です。心理学などの知識も必要になりますし、臨床心理技法を頭の中に入れておいてそれを活用することも大切。でも、それだけでは臨床心理士の仕事は務まりません。

人間の心理というのはとても複雑なもので、単純なものでは決してない。そんな「こころ」に問題を抱ている人のことを理解し、共感してあげることが臨床心理士にとって最も必要な能力と言えます。それには人生経験や想像力などが必要です。

臨床心理士になるには

臨床心理士になるまでの流れ

まず、大学の卒業資格を得ます。そこから大一種指定大学院か第二種指定大学院または専門職大学院に進む。第一種指定大学院と専門職大学院の場合はそのまま試験を受けることができます。専門職大学院は試験の一部免除なども。

第二種指定大学院に進んだ人は実務経験が1年以上必要です。そうして第一次試験を受け、合格し、第二次試験。そこで合格して晴れて臨床心理士になることができるわけです。

臨床心理士になってからは、5年ごとに資格を更新しなければいけません。なったあとも勉強を絶やさず行うことが、臨床心理士として仕事をするためには大切です。

試験について

臨床心理士になるためには試験を受けなければいけません。一次試験の筆記試験と二次試験の面接があります。

一次試験は全100問の多肢選択方式試験出マークシート式になっています。時間は2時間30分と少し長め。マークシート式の試験のあと、1時間30分論文記述試験を行い、一次試験は終了です。

多肢選択の試験では基礎知識から深く専門的な知識までが出題されます。内容は、臨床心理査定・臨床心理面接・臨床心理的地域活動とそれらの研究調査に関する問題。臨床心理士の倫理や関係法令の知識も問われます。

単に暗記するというより、実習での臨床実践によって身についた知識というのが必要です。暗記した知識とその知識を照らし合わせ、自分のものとするという感じですね。

論文は1,001文字以上1,200文字以内と決められています。

二次試験野面接は、個別に時間指定された個人面接。面接官は2人います。ここで審査するのは、口述で知識について答えられるかなどの知識習得度だけではありません。臨床心理士としてふさわしい人間かということも問われます。

受験資格

  • 協会認可の第1種指定大学院を修了
  • 協会認可の第1種指定大学院を修了し、1年以上の心理臨床経験を行う
  • 協会認可の第2種指定大学院を修了し、1年以上の心理臨床試験を行う
  • 協会認可の第2種指定大学院を終了し、2年以上の心理臨床経験を行う
  • 学校教育法に基づいた大学院において、臨床心理学やそれに順ずる心理臨床関係分野を専攻、修了
  • 外国にて2年以上の心理臨床経験を行う
  • 医師免許を持っている
ここでいう心理臨床経験というのは、給料をもらって教育相談機関や病院などで心理臨床に関する従業員として経験を積んだというのを条件としています。給料をもらわないボランティアや研修員などについては心理臨床経験として認められません。

臨床心理士の活躍の場

学校のスクールカウンセラー・精神科・心療内科・保健センター・保健所・児童相談所・老人福祉施設・療育施設・企業の相談室(産業カウンセラー)・警察関連施設などが臨床心理士の活躍の場になっています。

警察関連施設に関しては、犯罪者のプロファイリングを行う仕事や、少年院や刑務所に収監されている受刑者に対してカウンセリングを行う仕事のことです。

活躍の場は幅広く設けられているので、選択肢が多くなっています。