医薬品情報専門薬剤師とは
医薬品情報専門薬剤師は日本医薬品情報学会(JASDI)が実施・運用している認定制度。この医薬品は効果があるのかどうか、安全なのかどうかを見極めて適正に使用することができる薬剤師を育成する目的でつくられた認定制度です。
他の専門医薬剤師は、チーム医療の一員として、その領域・・・つまり緩和ケアなら緩和ケアについての知識と技術力を高め、医師たちと連携をとって治療をすすめていく専門性の高い役割でした。
それに比べて医薬品情報専門薬剤師というのは、ありとあらゆる分野・領域の医薬品情報を活用して医薬品を適切に使用することができるようにするという役割であり、位置づけになっています。「ある特定の分野」ではなく「とにかく医薬品に関する情報」を専門にするのが医薬品情報専門薬剤師というわけですね。
平成23年度には、29人、24年度には11人の計40人しかいない。他の専門薬剤師に比べても少なくなっています。
医薬品情報専門薬剤師に必要な知識や技術
医薬品情報専門薬剤師に必要なのは、医薬品に関する正しく広い知識。ひとつの領域だけにとらわれずに、より幅広い薬剤師の専門分野・領域の知識と技能を有していることです。勉強というよりは「情報を扱うための素質」が大きく関わってきますが、勉強するのであれば、次のようなことを勉強する必要があります。
- 医薬品の特性について
- 医薬品の調査方法、検索方法
- 医薬品情報の評価についてと加工について
- 医薬品情報を正しく活用するための表現能力
- 開発や適正使用を行うための判断の仕方
- 人に情報を適切に伝えるための方法
- 専門用語、医療制度や法律などについての理解
- 医療倫理と情報倫理、メディアリテラシーについて
以上の事柄についての知識と技能が必要になります。
医薬品情報専門薬剤師になるには
認定要件
- 学会が指定しているセミナー 20単位
- 学会が主催している年次学術集会 10単位
- 学会が主催しているフォーラム 5単位
- 医療や教育・行政などの業務に従事していること。多岐にわたっていてもかまわない。
上記と合わせて、下記、職種ごと要件が異なります。
■病院や診療所で働いている場合
- 医薬品情報管理室などの、医薬品情報を扱う場所で働いていること
- 採用薬評価や、治験薬評価、採用薬の院内安全対策などの業務に従事していること
- 業務内容の半分以上は医薬品情報に関連することである
■薬局や薬事情報センターで働いている場合
- 薬局や薬事情報センターにおいて、医薬品情報業務に従事していること
■卸業で働いている場合
- 医薬品情報業務をしていること
- 卸業での医薬品情報業務は、医薬品情報部門・市販後調査部門などがある
■企業で働いているという場合
- 医薬品情報業務をしていること
- 企業での医薬品情報業務とは、安全情報部門・学術・コールセンター・教育部門などがある
■行政で働いているという場合
- 薬事行政で、医薬品に関連する安全対策関連業務に従事している
■教育現場で働いているという場合
- 大学などで、医薬品情報学に関連している教育を施していること
- 医薬品情報関連の卒業論文や修士論文の指導担当であること
■情報センターで働いているという場合
- 情報機関で、医薬品情報に関する業務を行っていること
- 情報機関は、日本医薬情報センター、国際医学情報センターなどがある
以上のようなことが認定要件になります。複雑な用件は必要ありません。他の専門薬剤師と違う点といえば、職場が多岐にわたっていても良いということですね。
認定の諸費用や認定試験について
認定試験は、1年に1度だけ開催されます。平成27年の認定試験は、平成27年10月24日に慶應義塾大学薬学部芝共立キャンパス3号館5階大学院セミナー室での開催。その年の試験情報については、一般社団法人日本医薬品情報学会のホームページで確認できますよ。
認定にかかる諸費用に関しては、まず受験料が10,800円。認定審査量が同じく10,800円。認定量が21,600円かかってきます。合計して43,200円かかるというわけですね。
医薬品情報専門薬剤師の活躍の場
活躍の場は、先ほど認定要件で述べた全ての職場です。病院などの医療現場はもちろんのこと、薬局、企業、薬事情報センターや大学、行政などでも活躍できます。活躍の場所がとても多いですし、扱う分野も「情報」ということで、普遍的に需要が高いと言うことができるでしょう。