精神科薬物療法認定薬剤師とは

精神科薬物療法認定薬剤師は、一般社団法人日本病院薬剤師会が運営している専門薬剤師制度のうちの1つです。

近年、精神疾患の患者数は増加する一方で、その増加がとまる様子もなかなかありません。ストレスや重圧がつきものとも言えるような現代社会において、精神科領域の薬剤師の認知度が低いのが問題視されています。

増加していく精神疾患患者たちに適切に関わることのできるように薬剤師を育てる必要があるということで制定された制度が、精神科専門薬剤師認定制度。精神化薬物療法認定薬剤師は、「精神化分野の薬物療法のスペシャリスト」としての役割が求められています。

精神化薬物療法認定薬剤師の認定者は、平成26年10月1日時点では、202名しかおらず、そのうち更新者はたったの27名です。全国でもこの人数なので、まだまだ人数が足りませんね。

精神科薬物療法認定薬剤師に必要な知識や技術

精神疾患というのは、種類がひとつだけではありません。沢山の種類があります。一般に認知されているところでも「うつ病」「解離性同一性障害」「社交不安障害」「仮眠症」「統合失調症」など、さまざまなものがありますよね。

もちろんそれだけではなく、精神疾患の数はどんどん増え、現在ではかなり多くの症例があります。そんな多岐にわたる精神疾患。求められる知識は、精神疾患ひとつひとつの症状、それに対する対処法、どんな薬物が適切かなどの深く拾い知識になります。

精神科医療の全体を理解している上で、どんな薬物がいいかを提案することができなければいけません。そのため、精神科医や看護師たちとの連携も必要です。精神科治療の薬物療法は、効果の確認がとても難しく、患者さんの言葉や日ごろの動作・体調などを細やかに見てあげて、そこから判断しなくてはいけません。観察能力も問われますよ。

精神科薬物療法認定薬剤師になるには

申請資格について

  • 日本の薬剤師免許を持っている薬剤師であること
  • 5年以上の実務経験。日本病院薬剤師会もしくは日本薬剤師会の会員でありながらも、日本医療薬学会、日本薬学会、日本臨床薬理学会、日本精神神経学会、日本神経精神薬理学会、日本臨床精神神経薬理学会、日本生物額的精神医学会、日本病院、地域精神医学会、日本社会精神医学会、日本老年精神医学会、これらの団体のうちいずれかに所属していること。
  • 精神科のある病院や診療所に5年以上継続勤務していること。精神科領域の薬剤管理指導業務を通産で5年以上行っていること。
  • 日本病院薬剤師会が認定している精神化領域の講習会や、上記学会が主催しているセミナーなどを所定の単位以上履修していること。
  • 精神化領域の薬剤管理指導実績を一定数以上有していること
  • 日本病院薬剤師会が行っている認定試験に合格すること

試験について

試験の会場は、受験者数によって変更したりしますが、平成26年度の認定試験の会場は、慶應義塾大学薬学部芝共立キャンパスでした。受験料は、一般社団法人日本病院薬剤師会の会員は10,800円(税込)で、非会員の人は16,200円(税込み)です。

受験資格は、先述した申請資格の条件全て(試験に合格すること、という項目以外)を満たしているものとされています。受験の申し込みはインターネットから受け付けていて、「申し込みはこちら」をクリックして参加申し込みフォームに必要事項を記入したら、登録アドレスあてに受付メールが届く。その後、1週間後くらいには受験票や振込票が郵送にて届くという仕組みになっています。

試験の難易度はかなり高くなっています。精神科領域というのはまだまだ危うい領域です。そんな領域についての試験なので、問題もマニアックなものが多くなっています。幅広い知識を深く身につけていなければいけないので、さまざまな資料を読みこんで勉強しておく必要があるでしょう。

精神科薬物療法認定薬剤師の活躍の場

精神科薬物療法認定薬剤師の活躍の場所は、精神科のある病院やクリニックです。そこで精神科医や看護師などと連携をとりながら、患者さんひとりひとりと真剣に向き合って、患者さんのこころに寄り添った薬物療法をするというのが、精神科薬物療法認定薬剤師の仕事。

精神科領域はまだまだこれからの分野。精神科薬物療法認定薬剤師になるのは困難ですが、将来性はかなりあるでしょう。