HIV感染症専門薬剤師とは

HIV感染症専門薬剤師とは、日本病院薬剤師会が認定している専門薬剤師制度のうちのひとつ。平成26年次点では更新者と新規認定者合わせても22名しかいません。

HIV感染症というのは、医療がかなり発展してきている現代においても有効な治療方法が無いと言われています。そんなまだまだ治療法が不確定なものなのですが、日本国内においては感染者数が13,000人を超えていると言われているのです。

世界各国と比べると日本での感染者数はまだ少ないほうなのですが、それでも適切な治療を行うのが難しいということから、非常に怖い感染症です。

HIVの治療というのは、ほとんどが薬物療法によって行われます。適切な治療を行うことができるために、HIV感染症とその薬物療法について豊富な知識を持った専門薬剤師の存在が不可欠。HIV感染症専門薬剤師は、HIV感染症のエキスパートとしての働きをしなくてはいけません。

HIV感染症専門薬剤師に必要な知識や技術

HIV感染症専門薬剤師は、HIV感染症についての基礎知識から深い知識までを持ち、それを瞬時にアウトプットできなければいけません。知識を頭の引き出しの中にいつでも取り出せるように入れておいて、それを医師や看護師などに伝える。

知識とアウトプットする力、それを人に正しく伝える力が求められます。

また、情報収集も必要です。「治療法が確立していない感染症」ということはこれから確立するかもしれない感染症とも言えますから、新薬についての情報は常に集めていなければいけません。また、自らでも研究をしてその成果を他の医療従事者などに提供するということも必要です。

知識力とそれを伝える力と研究の技術が必要ということですね。

HIV感染症専門薬剤師になるには

申請条件

  • HIV感染症薬物療法認定薬剤師であって、なおかつ日本エイズ学会の会員であること。
  • 日本医療薬学会、日本薬学会、日本薬剤師会学術大会、日本エイズ学会および関連している国際学会や全国レベルの学会、あるいは日本病院薬剤師会ブロック学術大会にて、HIV感染症に関係する学会発表を2回以上行うこと。最低でもそのうちの1回は発表者であること。
  • 複数査読制の国際的、全国的学会誌
  • 学術雑誌に、HIV感染症領域に関係している学術論文を1編以上著していること。最低でもそのうちの1編は筆頭著者であること。
  • 病院長や施設長などの推薦。
  • 日本病院薬剤師会が行っているHIV感染症専門薬剤師認定試験に合格すること

以上の認定申請資格は平成20年8月6日のものです。2015年10月現在でもこの専門薬剤師認定申請資格が使われてますが、今後変わっていくことも考えられるので気をつけましょう。

また、平成20年度については上記の申請資格を使って専門薬剤師認定を行っておらず、過渡的措置をとって認定しました。試験の実施は平成21年度から行われたものです。

試験について

試験の難易度は高めです。人数が少ないことからもわかりますが、認定薬剤師のときも専門薬剤師のときに受ける試験もかなり難しくなっています。専門薬剤師にいたっては、試験を受けるまでの過程でつまずく人も結構います。

出題基準については、HIV感染症に対する基礎知識・臨床・薬物療法・服薬指導などのさまざまな観点・範囲からの出題になります。

例えば、「HIV感染症患者の長期療養と合併症についての説明」が問われる問題や、「針刺し事故」についての理解度を問う問題などです。対策に関しては、参考図書を中心に勉強していればいいでしょう。

平成26年度の試験は、平成27年1月18日の日曜日10時から12時の間に行われました。会場は日本薬学長井記念館の地下ホール。東京都の渋谷区で行われましたが、会場と日時については年度や規模によって替わることがあります。

受けようと思っている人は、日本病院薬剤師会の案内が更新されるのを常に待ち構えていましょう。

HIV感染症専門薬剤師の活躍の場

HIV感染症専門薬剤師の活躍の場は、病院・メーカー・施設や教育関係などさまざまな方面です。メーカーに勤め、薬を研究開発したり、副作用についての情報収集を行うこともあります。教育関係では学校薬剤師に対しての指導などが仕事になりますね。

さまざまな場所で活躍でき、まだまだこれからの医療領域ということもあって、将来性は高いと言えます。