救急認定薬剤師とは
救急認定薬剤師は日本臨床救急医学会が平成23年度から実施・運用を開始した認定制度。平成26年度の認定者は35名で、その時点で全員で64名の薬剤師が救急認定薬剤師に認定されています。
救急認定薬剤師の役割は、医師・看護師と協力して救急医療に対応するという重要なもの。近年、救急医療の現場は人手不足が深刻化しています。その中で、チーム医療の大切さが認識され、現在はチーム医療が一般的になってきました。救命救急センターなどで救急医療に携わる薬剤師も多くなってきている中で、救急治療の薬物療法について高度な知識や技術を持った薬剤師を育成するという目的で実施されています。
人の命に直接関わる現場で仕事をする。人の命を救えるか救えないかということを薬物療法という観点から担っています。自分の行動ひとつで人の命を救うことができる。逆に救えないこともある。大変重要な役割です。
救急認定薬剤師に必要な知識や技術
救急認定薬剤師に必要なのは、救急に関する知識と技能。さらに、救急に関しての薬物療法に対して高度な知識・技術・倫理観を持っていることが必要とされます。
また、それらの知識だけでなく、判断力も必要です。救急医療の現場においては瞬時の判断力が問われます。治療について迷ったり議論をしている暇などありません。今すぐ症状を見極めてどんな治療が適切か、どんな薬を使う必要があるのかを医師とともに判断し、すぐさま実行に移さなくてはいけない。判断力と実行力が必要というわけです。
それだけではなく、周りを見る力というのも必要になります。みんながみんなあわただしく働いていますから、自分のことだけではいけません。周りを見て適切に動くことができる力が必要とされます。
救急認定薬剤師になるには
申請資格
- 優れた薬剤師であること
- 病院や診療所での実務経験が5年以上あり、そのうち2年以上は救急医療に従事していること
- 日本臨床救急医学会の正会員で、会員歴が2年あり、会費を全て納めていること
- 日本病院薬剤師会生涯研修履修認定薬剤師、日本医療薬学会認定薬剤師、薬剤師認定制度認証機構によって認証された認定薬剤師または、日本臨床薬理学会認定薬剤師の資格を持っていること
- 医療機関で、救急医療に参加した症例を25症例以上報告すること
- 認定薬剤師認定委員会が指定し、理事会の承認を得ている学術集会
- 研究発表などで、規定単位数を取得すること
- 認定薬剤師認定委員会開催の講習会を受講していること
- 日本臨床救急医学会評議員または施設長の推薦
受験資格は、他の認定資格と比較すると少し厳しめになっています。他の認定薬剤師資格を持っていることや、症例を25症例以上というのがそのハードルを高くしている要因ですね。
試験について
試験についての情報は、学会のホームページで得ることができます。平成26年度の試験については、平成27年の8月30日に行われました。時間は1時間30分。昭和大学4号館600号教室で行われましたが、会場についてはその年の開催規模によって異なる場合があります。
試験を受けるには、まず書類審査に合格する必要がありますが、これは基本的に先述した申請資格を満たしていれば問題ありません。書類審査はしっかりと資格を満たしている人かどうかを判断するためのものという感じになっています。
出題基準は、「薬剤師のための救急・集中治療領域標準テキスト」というテキストが中心となっています。出題数は50問。合否判定基準や合格率については公表されていませんが、合格率はそこまで低くはないでしょう。
テキストについては学会ホームページで購入申し込みをすることができます。試験の出題範囲になっているので、必ず購入しておきましょう。まず、学会ホームページのトップから各種研修コースというメニューをクリック。そこから「救急認定薬剤師」というメニューをクリックし、「標準テキストのご紹介」ページ内の「ご購入申し込みはこちらから」の「こちら」をクリックすると申し込みできます。
救急認定薬剤師の活躍の場
救急認定薬剤師の活躍の場は、救命救急センター・総合病院のICUなどの救急医療が行われている現場です。現在、救急医療が行われ、薬剤師が活躍している病院は多くはありません。これから需要が高まってくる資格と言えるでしょう。