栄養サポートチーム専門療法士の資格概要

栄養サポートチーム専門療法士とは、一般社団法人日本静脈経腸栄養学会が平成16年から実施・運用している資格で、薬剤師や看護師などが取得することができます。平成27年度の認定者は1083名。年々認定者数が徐々に増えている資格です。

栄養サポートチーム(以下NST)のなかで、患者さんの栄養管理などのサポートを行う専門家としての役割が求められます。経口摂取できる患者さんもいれば、それができない患者さんもいる。そのことを把握し、患者さんそれぞれにあわせた栄養管理を行うのがNST専門療法士というわけです。

栄養サポートチーム専門療法士に必要な知識や技術

栄養についての深い知識や、栄養管理についての技術などが必要になります。薬剤師においては特に栄養についての知識や、栄養剤についての知識が求められます。薬剤師は薬剤の専門家ですから、経口で食事を摂取できない患者さんへの栄養剤投与などについての知識や経験、技術が必要となるわけです。

また、NSTというのは栄養士・看護師・臨床検査技師・言語聴覚士・作業療法士・歯科衛生士・薬剤師というとても幅広い職種の人で形成されています。自分とは違う職種の人とチームプレイを行うわけですから、協調性や発言力なども必要です。

栄養サポートチーム専門療法士になるには

認定申請資格

  • 日本国の以下の国家資格を持っていること
  • 歯科医師・管理栄養士・看護師・薬剤師・臨床検査技師・言語聴覚士・理学療法士・作業療法士・歯科衛生士

  • 5年以上、医療や福祉施設などの現場で勤務をし、栄養サポートに関係する業務をしていた経験がある
  • 日本静脈経腸栄養学会の学術集会に1回(10単位)以上、臨床栄養セミナー(10単位)に1回以上参加すること。必須単位数は30単位以上。30単位取得するか、それに加えて学会が認めている栄養に関係する全国学会や地方会、研究会への参加単位数が30単位以上あること
  • 上記すべての資格を満たした後、認定試験を受けて合格すること

認定試験について

2014年11月9日に行われた試験の場合、申し込みは申請書類をホームページからダウンロードして郵送にて送るという方法で申し込むことができました。申込期間は、7月1日から31日の必着。受験料は1万円で、この受験料に関しては細則が変わらない限りは変わりません。

会場は一箇所で、2014年の場合は国立京都国際会館にて行われました。試験内容は論文と口述試験の2種類で、マークシートや筆記試験などはありません。合格したら、受験料とは別に認定料2万円が必要となります。

更新は5年ごとで、更新手数料が1万円かかります。合格率は73.4%と高めで、認定者数の多くは薬剤師や看護師です。栄養に関する仕事をしている薬剤師であれば、問題なく合格することができるレベルですね。論文も口述試験も、実務経験から答えられるような問題になっています。

単位取得のためのセミナーなどにきっちりと参加して半年ほど仕事の合間に勉強していれば十分に合格できるレベルです。薬剤師の資格を取るときのほうが難易度が高いと感じている人も多いようですね。

栄養サポートチーム専門療法士の活躍の場

薬剤師が栄養サポートチーム専門療法士として活躍できる場所は、入院設備のある病院やクリニック、そのほか療養施設や介護施設など福祉関係の施設も挙げられます。訪問介護などの分野においても栄養サポートチーム専門療法士の存在が重要視されています。

要は栄養について考えるべきことがあるところには仕事があるということです。活躍できる場所が多いので就職や転職にもあまり困らないでしょう。

現在ではこの資格の認知度が低くなっています。この視覚はアメリカで生まれたものであり、日本で重要視されはじめたのはつい最近のことですから、日本ではまだまだこれからといったところ。近年徐々に広がりを見せており、認知度も今後さらに高まっていくことが考えられます。

それに合わせて需要も増え、職場も増えていくことでしょう。将来性は十分あると言えますね。むしろ、今ではなく少し先の未来を見据えるならこの資格をとっておいて損はないといった感じです。給料にも、多少金額がプラスされる程度の影響があるのでとっておくとなにかと役に立つでしょう。