ドラッグストアでも最近は調剤室を設けている店舗をよく見かけるようになりました。

そのため、もしあなたがOTC専任薬剤師として働くつもりでドラッグストアに入ったとしても、店舗によっては調剤もやらなければならない場合があります。

調剤はやりたくないと思ったあなた。これからはOTCと調剤を扱える薬剤師の方が、活躍の場が広がるかもしれませんよ。

ここでは、OTC販売と調剤を兼任する薬剤師のお仕事について解説いたします。

薬剤師として就職または、これから転職を考えるひとにとって、知っておけば必ず役に立つ情報ですので、ぜひご一読ください。

まずはOTC販売と調剤業務を兼任する薬剤師の仕事内容と求人について見ていきましょう。

OTC販売と調剤を両方やるのって大変?

OTC販売と調剤業務を兼任する薬剤師の仕事内容ですが、もちろんOTC販売がメインになりますので、言うまでもなくOTCに関する知識は十分に持っておく必要があります。

しかしながら、処方箋も扱うわけですから処方薬に関する知識も当然必要になります。

ということは、つまりOTCも処方薬も含め、日本で手に入る全ての医薬品についての知識が必要ということになります。

それだけではありません。

OTC販売と調剤の両方をしなければならないのであれば、薬剤師としてOTCと処方薬の両方の在庫管理をしなければなりません。

門前薬局であれば、病院で処方されやすい薬がしっかり把握できていますから、在庫管理もしやすいと言えます。

しかしながら、ドラッグストアの場合、どんな患者さんがどんな処方箋を持ってくるのかはあらかじめ分からないことがほとんどです。

そのため、OTC販売と調剤の両方を扱うドラッグストアの場合、おのずから薬の在庫管理が煩雑になることが容易に想像できるのではないでしょうか。

また、薬の在庫がない場合、どうやってそれをすみやかに調達するか、若しくは、患者さんの待ち時間をなくすかについて考えたりしなければならないでしょう。

最近では、スマートフォンのアプリを使ってあらかじめ処方箋データを薬局に転送するようなサービスもあるようです。

こうしたIT技術との組み合わせによる効率化を積極的に活用していくのもいいかもしれませんね。

OTC専任と調剤兼任、両者の求人内容の違いは?

次に調剤ありとなしでドラッグストアの求人と給料において、差があるかどうかについて調べてみました。

結果、調剤ありとなしで都市圏、地方ともに正社員の年給については、400万円~700万円程度と明確な差はありませんでした。

派遣の場合についても同様に調べた結果、地方では時給についてほとんど差はなく2000円~4000円とかなりのばらつきがありました。

ただし、派遣の場合、一部の都市圏では調剤ありのドラッグストアの方が、全体のうち時給3000円を超える割合がやや高い傾向が見られました。

続いて、調剤ありとなしでドラッグストアの正社員における求人数について調べましたが、都市圏、地方ともに調剤ありの方が求人は多いようですが、都道府県によってその傾向はまちまちでした。

おそらくその時々で求められる人員も流動的なのかもしれませんので、正社員の求人については、こまめに情報収集するのがよいのではないかと思います。

ただし、派遣については、とくに都市圏で調剤ありのドラッグストアの求人の方が多い傾向も見られますので、調剤をすることに抵抗がない場合は、調剤ありのドラッグストアも含めて探すのがよいでしょう。

OTC販売と調剤業務を兼任できる薬剤師こそが、これから活躍する薬剤師!?

最近、テレビやインターネットでよく見かけるようになった「かかりつけ薬剤師」に象徴されるように、薬剤師の役割も変わりつつあるようです。

こうしたことを踏まえて、これからの薬剤師像について考えてみましょう。

これから求められる薬剤師像とは?

まず、薬剤師は患者さんが飲んでいる薬について把握する必要があります。

OTCと処方薬の飲み合わせに注意しなければならないことは言うまでもありません。薬以外にサプリメント、さらに食生活までも把握できたら言うことないでしょう。

従来は、病院の処方薬は病院の隣で開設されているような門前薬局で受け取るというのが普通でした。

しかし、最近では門前薬局ではなく、職場や家の近くにある調剤室を併設したドラッグストアで処方薬を受け取るというひとが増えてきているようです。

職場や家の近くで便利な場所にあるドラッグストアに処方箋を提出しておいて、またしばらくしてから薬を受けとりに寄れば、ほとんど待ち時間なく薬を受け取ることができます。

また、処方薬と一緒にOTCを購入したいような場合、ドラッグストアであれば薬剤師にその場で相談することができます。

他にも、ドラッグストアであれば、健康食品から日用品まで取り揃えていますので、たいへん便利です。

OTCも販売できて調剤もできて、サプリメントや食事のアドバイスにいたるまで患者さんの健康をサポートできる薬剤師であれば、それこそがこれから求められる理想的な薬剤師と言えるのではないでしょうか。

たとえやりがいがあっても、忙しいのは嫌!どうしたらいいの?

これからの薬剤師は、OTCを販売に調剤もこなしながら、サプリメントや食事の影響も考えなければならないですって!?

そんなことまでやってらんないよ!という皆さんの叫びが聞こえてきそうです。

やりがいはあっても、しんどかったり忙しかったりするのは嫌。そんな考えの方もいるでしょう。

けど、よく考えてみてください。

これまではOTC販売専任、調剤薬局といったように働く場所によって必要とされる薬剤師のスキルが細分化されていた時代でした。

調剤室を設けているドラッグストアが増えているのと同じように、実は、調剤薬局でもOTCを置くようになってきているようです。

今後は、これまでOTCと調剤というように細分化されていた薬剤師の役割は、どんどん境界が曖昧になっていくことが予想されます。

つまり、「かかりつけ薬剤師」に象徴されるような、患者さんの健康をフルサポートできるような総合力がこれからの薬剤師に求められているのだと思います。

薬から食事にいたるまで総合的な知識を活かして患者さんの健康をサポートするという医療人としての使命をこれからの薬剤師が担っていくのは、たしかにたいへんなことです。

でも、それと同時にとても素晴らしいことだとは思いませんか?

そうした本来の使命に薬剤師が専念できるようになるためにも、薬剤師をサポートする役割の重要性が今後増してくるのではないかと思います。

調剤事務のように、薬剤師の事務周りをサポートする体制をとっている薬局も多いと聞きます。

もしもあなたがOTC販売と調剤を兼任する薬局を選ぶとしたら、そうした薬剤師のサポート体制がどれほど整っているかというのも職場を選ぶポイントのひとつにしてみてもいいかもしれません。