門前薬局とは

病院・クリニックの近くにある薬局

門前薬局というのは、病院やクリニックの近くにあり、その病院・クリニックからの処方箋をメインに受け付けている薬局のことを言います。むしろ、そばにある病院の処方箋を専門的に受け持っていると言えるかもしれません。

国内には、5万7千軒以上の薬局がありますが、そのうちの7割程度は門前薬局が占めているのだそうです。薬局経営者からすれば、門前薬局を建てたいと思うのは当然のことでしょう。門前薬局だと、それだけで来局者数を増やすことができますからね。

来局者数が増えれば処方箋の数も増えて儲かります。医薬分業が盛んに進められていた時代には、門前薬局がとても増えたものです。それによって医薬分業が進んだのですが、コバンザメ商法として批判を浴びることもありました。

他にも種類があるのか?

門前薬局以外にも、薬局には種類があります。

大きなくくりで言えば、全て保険薬局なのですが、細かく見ていくとマンツーマン薬局や面分業薬局・かかりつけ薬局などさまざまな種類があるのです。それについては、ここでは割愛しますが、それぞれにそれぞれの特徴があります。

門前薬局の問題と働くメリット

処方箋枚数が多く、集中率が高い問題

門前薬局が抱えている問題というのは、どうしても調剤薬局ひとつに患者が集中してしまうというところです。

平成26年には、とうとう調剤薬局に規制が入りました。1日の処方箋枚数が100枚を超えていて、7割から9割は同じ医療機関からの処方箋である場合の処方箋の単価が下がったのです。

月に平均4000回以上の調剤を行い、集中率が7割を超えている保険薬局と、月に平均2500円以上の調剤を行い、集中率が9割を超えている保険薬局は処方箋受付が25点となる規制です。それ以外では、41点としています。

この規制にあったほとんどの薬局というのが、門前薬局です。それほどまでに処方箋枚数が多く、集中率が高いというのが問題視されていました。完全に門前薬局を狙い撃ちした改定でしたからね。

他の薬局より早く仕事が終わることが多い

門前薬局は世間的に見れば問題がたくさんあるのかもしれませんが、働く薬剤師からすればメリットもたくさんあります。

まず、他の薬局よりも早い時間に仕事が終わることが多いということです。門前薬局の営業というのは、そばにある医療機関によって左右されます。

休日に関しても、医療機関と同じ日に休みます。病院の外来が土日休みなら土日に休み、日曜日と木曜日に休みならその日に休む・・・。

それと同じで、営業時間に関してもそばにある医療機関の外来の時間に左右されるのです。クリニックであれば、営業時間が完全に同じになりますね。

門前薬局は、処方箋を発行している医療期間の受付時間が終了すれば、自動的に薬局の営業も終了します。それが、他の薬局よりも早く仕事を終えることができる理由というわけです。

機器を使うところも多い

最近では、病院のデジタル化に伴って、門前薬局もデジタル機器を利用するということが多いですね。薬剤師の知識に頼ってしまうのではなく、パソコンで、飲み合わせの禁止などが確認できるようになっていたりします。

薬剤師としてはとても楽ですが、停電したときなどに機器が使えなくなると、薬剤師だけの力では対応できないということも考えられるため、必ずしもメリットばかりではありません。

機器を使わない職場に転職するとなったときには、不安も付きまとうでしょう。そういったデメリットがあるということも、知っておかねばなりません。

現在は、門前からかかりつけ薬局へ移行の動きが盛ん

近頃では、門前薬局よりも、かかりつけ薬局を厚生労働省は推奨しています。

高齢化が進んでいますし、在宅ケアの対応ができるところが求められてきています。地域に根付いた営業をする調剤薬局が必要だと考えられており、2025年をめどにして、すべての薬局をかかりつけ薬局にしようという考えがあるのです。

そのため、そのうち現在のような門前薬局ビジネスは変わってくるかもしれませんね。