地域薬局とは

病院ではなく、地域に密着

地域薬局というのは、門前薬局のように病院に密着するのではなく、地域に密着して地域医療を行う薬局のことを指します。

門前薬局は病院に近いため、どうしても、その病院からの処方箋がメインになってしまう。つまり病院に密着した医療を行うことになりますね。

地域薬局というのは、そうならず、地域密着で営業をしています。

地域薬局の役割

地域薬局の役割は、しっかりと地域医療をすることです。ここでいう地域医療というのは、在宅訪問などの業務も含むでしょう。地域薬局は、住民が抱えている医薬品への不信感や不安などを解消させるという役割もあります。

地域のお薬相談窓口のような役割と言えば良いでしょうか。処方箋を持った患者さんが気軽に訪れて、薬をもらうことはもちろんのこと。気軽に訪問して薬に関する相談を薬剤師という薬の専門家に持ちかけることができるように、地域薬局は機能しなければなりません

それは処方薬だけでなく、OTC医薬品に関しても同じことです。このOTC医薬品は、現在服用している処方薬と飲み合わせても大丈夫なのか。症状改善のためにはどのOTCが効果があるのかなどですね。そういった気軽な相談が地域薬局の役割です。

薬のことは、素人ではなかなか判断できません。素人が判断して、副作用でも発生してしまったときには大事です。そういったことを無くすというのも、地域薬局が担う役割のひとつと言えるのではないでしょうか。

地域薬局の問題やメリット

社会は門前メインだけど本来薬局は

一昔前から、社会は医薬分業に力を入れてきました。多くの経営者が医薬分業の名の下に門前薬局をどんどん設立していき、今では医薬分業率は7割を超えていると言われています。

社会は門前薬局メインですし、経営者としては門前薬局のほうがビジネスモデルとして優秀です。

そのため、薬局を設立するなら、安定して収益があがる門前薬局のほうが良いと考えるのは必然。そういう「儲かる」という理由で門前薬局の設立が加速し、見事医薬分業率が高まったという背景があるので、一概に批判はできません。

しかし、その一方で薬局は本来の役割を失いつつあります。薬局というのは、本来地域の病気の改善・予防・健康づくりをサポートすることが役割です。相談窓口のように機能するというのも、その役割を果たすための一環。

昔は文字通り地域の相談窓口でした。現在の調剤薬局の形が成立するまでは、化学製品のことであればなんでも薬局に相談する。身近にいる化学の専門家として様々な相談に応じてきたのです。お金にはなりませんが、本来はそういった役割があります。

現在はそういった役割を取り戻すために、地域薬局ではなく「かかりつけ薬局」が推奨されていますね。

患者さんと密な関係を築くことができる

地域薬局は、地域に密着した地域医療を行います。地域の住民の健康サポートという役割がある以上、患者さんひとりひとりと向き合う時間が長いです。一日の処方箋も門前薬局より明らかに少ないですし、ひとりひとりと長い時間向き合うことができます。

そのため、患者さんひとりひとりの健康状態などを把握しやすいのです。「あの人は常備薬としてこれを飲んでいるから、絶対にこれとこれとは飲み合わせはだめだ」とすぐに判断できます。そういったことが、地域薬局のメリットとして挙げられるでしょう。

自然とアットホームな薬局になる

地域薬局は、門前薬局と比べると、処方箋の枚数が少ないということもありますが、患者さんと深く関わります。そのため、ゆったりとした時間が流れているところが多いです。

薬剤師同士が仲が悪いということでもなければ、自然と雰囲気はアットホームなものになります。

患者さんが気軽に訪れることのできる薬局ということは、それだけ薬剤師にも心の余裕が生まれるということ。アットホームな雰囲気で働いてみたいという人には、地域薬局の求人を探すことをおすすめします。

ただ、地域薬局=暇とは限りません。アットホームな雰囲気というだけで、暇だろうと思って転職するのは、やめたほうが無難でしょう。