「調剤薬局への転職を考えているけれど、未経験だし不安だなぁ」と思っている方は結構いると思います。

かくいう私も、他業種から不安を抱えつつ調剤薬局へ転職した一人です。

そこで、調剤薬局未経験の薬剤師が調剤薬局へ転職する際に大切な求人選びのポイントを検討していきたいと思います。

調剤薬局未経験の薬剤師の求人選びのポイント

処方せん枚数に対する薬剤師数をチェック

まず当然のことですが、調剤薬局未経験の薬剤師を受け入れる体制が整っているか否かが転職時には重要です。「未経験可」となっていても、実際には人手不足で未経験者の受け入れ体制が十分でない薬局もあります。

そこで、処方せん枚数に対して薬剤師が十分にいる薬局を選ぶようにしましょう。

しかし、ここで注意しなくてはならないのはその計算方法です。

一部の診療科目を除き、薬剤師が一日に扱える処方せん枚数は40枚とされています。つまり、一日の処方せん枚数が120枚ならば薬剤師数は3人でいいはずです。

しかし、一人で40枚の処方せんをさばくのは至難の業です。余裕を持って業務をするならば薬剤師一人あたり30枚以下くらいが理想です。

また、未経験者にしっかり業務を教えることになると、指導担当者の扱う処方せん枚数は激減します。

したがって、一日の処方せん枚数が120枚の薬局で余裕を持って未経験者を受け入れるつもりならば、どの時間帯にも薬剤師は4~5人必要ということになります。

処方せん枚数に対して薬剤師数がギリギリの薬局は、未経験者の受け入れ体制が十分でない可能性があります。

このような薬局に就職してしまうと、しっかり指導してもらえないばかりでなくいきなり服薬指導の業務を行うよう強制される可能性もあります。

患者さんのためにも自分のためにも、このような薬局への就職は避けたほうが無難ですね。

未経験者向けの研修の有無をチェック

薬局によっては、調剤薬局未経験者のための研修を設けているところもあります。

研修ではまず、集合研修で業務の流れを勉強したり接遇研修が行われることが多いようです。

その後、薬局に配属され、実務経験を積みながら先輩薬剤師とともに最初は簡単な業務から、そして徐々に複雑な業務に臨むというスタイルが一般的のようです。

未経験者に対してこのような研修が行われている薬局では、就職後も業務に密着した内容の研修会(例:服薬指導のロールプレイ、業務で困っていることをみんなで話し合って解決方法を検討する等)が定期的に行われていることが多いようです。

このようにしっかり研修が行われている薬局に就職すれば、調剤薬局が未経験でも不安は軽減されますね。

なお、研修体制があるかどうかわからない、薬剤師数に余裕があるかどうかもわからないという場合には、地域の薬剤師会などで実施されている研修を受けてから就職するのも良いと思います。

単科の医院あるいは病院の門前薬局がおすすめ

調剤薬局未経験の薬剤師が、いきなり大病院の門前薬局に就職するのは正直大変です。

病院での勤務経験があれば別ですが、様々な科の薬剤を扱うことになるので毎日猛勉強しなければ日々の業務についていけません。

そこで知識量に自信がない場合は、単科の医院あるいは病院の門前薬局に就職すると良いでしょう。

勉強会の有無も確認を

また、定期的な勉強会の有無も確認しておきましょう。というのは、就職してしばらくは日々の業務に追われるので、自力であちこちの勉強会に参加するのは難しいからです。

薬局で行われる勉強会は、門前の病院や医院で新規採用となった薬剤や関連疾患に関するものが多いので、業務に直結している事が多く非常に役に立つことが多いです。

このように、就職後も知識のフォローアップができる薬局に就職するのが望ましいですよね。

未経験者が知っておきたい調剤薬局特有の勤務体制

また、勤務体制についてもチェックが必要です。

というのは、調剤薬局には他の業態にはない特有の勤務体制があるからです。

拘束時間が長い勤務時間(中抜け時間に注意)

勤務時間が1日8時間となっていれば、通常の職場の場合「8時間+休憩時間1時間」ですが、調剤薬局ではそうとは限りません。

これは、調剤薬局に特有の「中抜け」というシステムがあるからです。

調剤薬局では、処方せんがほとんど来ない昼の時間帯に従業員に長めの休憩を取らせている場合が多いです。この長めの休憩を「中抜け」と呼びます。

この中抜け時間が長いと、勤務時間が8時間であっても拘束時間が長くなります。初めて調剤薬局へ就職する人はこの点に気づかずに就職してしまい、後悔することもあります。

そこで、就職時は勤務時間だけでなく中抜け時間があるかどうかのチェックも必要です。

残業の発生は患者さん次第

残業の多くは未記入の薬歴が蓄積することによって生じます。したがって、患者さんが多い日は残業が発生しやすくなります。

例えば、大型連休の前後や祝日の前後は、患者さんの人数が激増する事が多いです。

また、風邪やインフルエンザが発生しやすい冬場、花粉症の患者さんが増える春先には内科・小児科・耳鼻咽喉科の処方せん枚数が多くなります。

就職後、残業時間が長くて苦労するのはイヤですよね。できれば希望する薬局の残業時間がどの程度か、季節変動がないかも調べた方が無難でしょう。

医療機関に準ずる休日

さらに、休日についても注意が必要です。

ほとんどの薬局では、休日を近隣の医療機関と合わせています。そのため、完全週休2日制をとっている薬局は少ないのが現状です。

中抜け時間がなく完全週休2日制をとっている薬局は、人員に余裕のある大手のチェーン薬局や公立病院の門前薬局に多いようです。

ただ、公立病院の場合はお盆休みがないことが多いので気をつけましょう。

休日夜間の受付にも気をつけて

門前の医院・病院が休日夜間の当番日には、薬局も医療機関の受付時間に合わせて開局を求められることがあります。

未経験の薬剤師がいきなり休日夜間のシフトに組み込まれることはないと思いますが、将来的には(早ければ数ヶ月後に)休日夜間の担当を任される可能性があることも視野に入れておきましょう。

このような勤務を望まない場合には、事前にしっかり調査しておく必要があります。

まとめ

転職にあたっては給与や福利厚生面も確かに重要ですが、それだけで就職先を決めてしまうと後悔する可能性があります。調剤未経験でも無理なく働ける職場を探して、楽しく仕事ができるようにがんばってください。

しかし、個人の力には限界があります。そこで「薬剤師転職サイト」への登録をおすすめします。

転職サイトでは、未経験薬剤師でも安心して就職できる職場がいくつも紹介されています。

また、担当アドバイザーに自分の希望を優先順位をつけてしっかり伝えると、より良い職場を紹介してもらうことができます。

上手に転職サイトを利用して、希望の調剤薬局への転職を成功させてくださいね。