夜勤手当と当直手当の違い
夜勤手当と当直手当というのは、違うものです。しばしば同列に語られますが、厳密に言えば違います。まず、夜勤と当直という言葉の意味の違いについて見ていきましょう。
夜勤というのは、通常業務が夜間にまで及んでいることです。介護や医療の現場でよくあります。警備員でも「夜勤」という言葉を耳にしますが、夕方から翌朝まで仕事があったりするのが夜勤です。その間睡眠は取りません。
当直というのは「何かあるかもしれないから、待機しててね」という意味合いのある言葉です。その職場に泊まり込んで、何かあれば対応するというのが当直で、基本的には眠っています。何かあれば、起きて対応するといったところです。
夜勤の際に支払われるのが夜勤手当。当直の際に支払われるのが当直手当というわけですね。「睡眠時間があるかどうか」で考えても間違いはありません。当直は「緊急要因」であり、夜勤は「通常業務」というのが夜勤と当直の違いです。
薬剤師の夜勤手当や当直手当
薬剤師でも当直がある
薬剤師でも当直があります。当直と言えば看護師や医者だけだというイメージを持っている人もいますが、そうではありません。薬剤師の当直もあります。薬剤部のある病院・一定規模の医療機関において薬剤師が当直をするというのは、珍しくはありません。
むしろ、病院においては医者も看護師も薬剤師も当直をするのが当たり前になっている傾向がありますね。薬が必要なときに薬剤師がいないのでは困りものです。医者・看護師・薬剤師全てが揃って一つの医療チームなわけですから、薬剤部がある病院には当然薬剤師の当直があります。
ただ、最近では当直が無い病院も多いです。病院薬剤師の求人で、何も書かれていない場合は「当直がある」と思っておきましょう。当たり前ですが、「当直無し」とアピールしている病院では、当直がありません。
そうやってアピールしている病院の求人が、多くなっています。求人サイトで「当直手当」というキーワードで探すよりも「当直なし」というキーワードで探すほうが数が多いです。
夜勤手当・当直手当が支給されるところは少ない
夜勤手当や当直手当が支給される病院は、残念ながらとても少なくなっています。これはあくまでも一例であり、参考程度の数字ですが、薬キャリでの2016年1月時点での求人で「当直手当」「夜勤手当」について見てみましょう。
まず、「当直手当」と調べると155件の求人が見つかります。なお、そのうち115件が調剤薬局です。病院は40件程度しか「当直手当」を支給しているところが見当たりません。
次に、残業手当について見てみましょう。残業手当に関しては、当直手当よりも比較的多いです。当直ありというところより、残業ありというところのほうが多いので当然と言えば当然ですね。3,593件でした。
そのうち病院は183件です。
ちなみに、病院薬剤師の求人数は4021件でした。そのうちの40件であり、183件になります。
夜勤手当・当直手当の金額は?
薬剤師の夜勤手当や宿直手当についてですが、どちらも「深夜割増賃金」として考えた場合、労働基準法でその割合が定められています。給料の25%ですね。月給で考えているところは、日割り計算をして決められるというわけです。
月給30万円の場合で考えてみましょう。たとえば、月給30万円で月あたりの労働時間が120時間あったとします。30万円を120時間で割ると、1時間あたり2500円の給料となりますね。その25%なので、夜勤手当(当直手当)の割増金額は、1時間あたり625円となります。
時給計算すると、2500円に625円がプラスして支払われなければいけないのです。これが、夜勤手当・当直手当の金額になっています。労働基準法で定められていることなので、薬剤師業界でもそうでなくても同じです。
まとめ
病院薬剤師は当直があるというところが当たり前になっていますが、当直手当が割増で支払われるとしているところがそこまで多くはありません。求人に書いていない場合もあるという可能性を含めても、十分に支払われているとは言えない状況です。
夜勤手当に関しては、支払われるところが多くなっています。