処方箋の基本的な知識

処方箋と薬剤師の責任に関して

処方箋というのは、医師が薬剤師に対して指示書どおりの調剤を要求するものです。基本的には薬剤師は医師が作成した処方箋どおりに調剤をします。ただ、薬剤師というのは、法的に処方医の監督下にあるものではありません。医師とは独立して業務を行うものです。そのため、指示書とは少し意味合いが違っています。

また、薬剤師は処方箋をチェックして疑義がないかどうかを見なければなりません。もしも疑義があれば、それを確認してからでしか調剤してはならないと薬剤師法の第24条で決められています。薬剤師は処方箋を受けて調剤しますが、調剤について独自の責任を持つものであり、処方箋通りに調剤をしたとしても、処方箋に不備があれば薬剤師の責任になることがあるのです。

処方箋の種類と記載事項

処方箋にはいくつかの種類があり、それぞれ記載事項が定められています。種類関係なく、全ての処方箋において記載しなければならないのは、「患者の氏名・年齢」「薬名・分量・用法・用量」「発行の年月日・使用期間」「病院・診療所の名称や所在地または医師の住所記名押印または署名」です。

保険処方箋は、それに加えて性別と保険医療機関コードを記載していなければなりません。保険医療機関コードは、レセプトの突合をしやすくするために記載しなければならないものです。それを診療や調剤報酬審査に活用します。

麻薬を処方する際には麻薬処方箋として、患者の住所と麻薬施用者の免許証番号を記載しておくことが必要です。

また、全ての処方箋において、処方箋が調剤済みとなった場合にも記載しなければならないことがあります。調剤済みという旨を示し、調剤量を記載。調剤年月日・調剤した薬局等の名前や所在地・疑義紹介した場合の変更内容と回答を記載しておかなければなりません。

有効期限と保管義務

処方箋の有効期限は、発効したその日を含めて4日間です。つまり3月1日に処方した場合には3月5日には無効となるということになります。有効期限が過ぎたものについては、医療機関で再発行してもらい、再度処方箋の交付と薬の交付を受けることが可能です。

ただし、再発行は健康保険適用外なので、費用は全額自己負担となります。

また、薬局側は処方箋を3年間保管しておかなければならない義務があるのです。先述したような記載事項を記載し、処方箋を保管・管理します。処方箋は公式文書なので、保存しておかなければならないのです。

電子処方箋について

電子処方箋が検討されている

近年幾度かにわたって処方箋の電子化が検討されています。処方箋および医療情報を電子化するということは、日本だけではなく諸外国でも重要な課題として掲げられているものです。最近では電子カルテを導入するところも多くなりましたが、それもその一環として挙げられるでしょう。

電子処方箋はまだまだ検討されている段階であり、実現はされていません。(2016年2月現在)ただ、いくつかの方法が考えられています。まず、処方箋という書面を「PDF」「JPEG」などの画像データとして電子化するという方法です。

また、処方箋に記載された処方情報を電子化してデータとして伝達すると言う方法も考えられています。書面自体ではなく、そこに書かれた内容をデータにするわけです。三つ目に考えられているのは、処方データを処方箋とみなし、書面を作成・提示・保存することが必要無くなるという方法になります。

最も前向きに考えられているのは、三つ目の案です。

導入された際のメリット

電子処方箋が導入された際のメリットとしては、電子処方箋のシステムを作っておけば、そのシステムを使って他の情報を共有できることが考えられます。他の情報とは、病名・検査値などを含めた様々な医療情報のことです。

そういったことは患者から口頭で伝えてもらっているのが現状なのですが、それだと精度が低く、全ての患者に実施することも難しくなります。将来的に電子処方箋が実施された際、薬局の薬剤師がどこまでの情報を閲覧できるかはわかりません。

しかし、そういったシステム作りは可能になります。もしも病名や検査値などを閲覧することができるといった体制になるのであれば、患者さんの満足度がより高くなることも考えられるのです。そのため、電子処方箋については注目している必要があります。