私は500床以上総合病院で勤務していました。薬剤師は約50人、薬局内は調剤部門、病棟部門、DI部門、研究部門などに分かれており、日勤ではそれぞれの部署に分かれて仕事をしています。

午後17時から翌朝9時までの夜勤業務もありました。夜勤では調剤を中心に行います。今回は私が経験した調剤部門と病棟部門について仕事内容をご紹介したいと思います。

調剤部門における薬剤師の仕事内容

調剤部門では入院患者の内服薬・注射薬の調剤、一部の外来患者の調剤を行います。入院患者の処方は診療科によって処方曜日が決まっている定期処方と、いつでも処方できる随時処方があります。

定期処方は1週間分の処方で、一定時間がくると一斉に病棟に運ばれてしまいます。そのため、いつも時間に追われて調剤を行っていました。外来はほとんど院外処方でですが、特殊な薬剤を使用している方や院内での処方を希望した方のみ外来処方を扱っています。

ただ、入院患者も外来患者も一緒に調剤を行っているため、外来患者は1時間近く交付窓口に待たせてしまうこともあり、患者からクレームを受けることもよくあります。

調剤部門の中でもシフトが分かれており、粉薬の調剤のシフトであれば一日中粉薬を作っています。注射の調剤であれば一日中注射、抗癌剤調製であれば一日中抗癌剤の調製です。

一日の仕事が終わる時間になると今度は薬品の発注が待っています。薬の発注一つにしても、その薬品のだいたいの値段、処方頻度や休日の薬の動きなど全体が理解できなければならないため、慣れるのに半年程度かかります。

このように仕事が多岐に渡っているため、仕事を覚えるまでは失敗もするし、怒られるし、自分に自信が無くなり泣きながら帰宅した日も多々あります。

しかし、一つつこなすごとに自分がレベルアップし、やりがいは感じることができます。これだけ多岐に渡る仕事をしていることで、どこの病院・薬局に行っても通用できるキャリアも手に入れられると思います。

病棟部門における薬剤師の仕事内容

病棟部門では専任薬剤師として日勤帯は多くの時間を病棟のナースステーションで過ごしています。ちなみに、私の病院の場合はカルテが電子カルテでしたので、基本的にはパソコンがあればどこでも作業が行えます。

病棟部門の主な仕事は、入院患者に対して入院時面談と持参薬の鑑別、入院中あるいは退院時の薬の説明です。

面談と持参薬の回収

患者が病棟に上がってきたらすぐ面談と持参薬の回収を行います。持参薬の鑑別をした後は持参薬表を作成しますが、医師は持参薬表を見て入院中の薬の服用指示を出しします。

従って、できるだけ迅速に持参薬表は作成しなければなりません。しかも持参薬表通りに指示が出されるためミスは禁物です。

薬の説明

入院中の薬の説明は、新たな薬が追加されたときや看護師から依頼された時に主に行います。中でも抗癌剤、インスリン、麻薬など本人の理解と管理が重要な薬剤については必ず説明に行きます。

退院時の薬の説明は退院処方が出た患者全員に対して、薬の説明書を用いて行います。

病院で働く薬剤師に必要なもの

以上のように病棟業務では入院から退院まで薬のフォローをしなければなりません。患者の状態は刻一刻と変化していきます。

薬の説明だけではなく、薬が適正使用されているか確認するために、入院中の患者の血液検査検査値、状態はカルテを見て常にチェックしています。カルテには専門用語や略語が使われていることも多く、疑義があれば医師と直接話すことがあるため、疾患の知識や専門用語を覚えることは必須です。

その他にも、医師や看護師向けの講義や患者向けの勉強会も開催することもあります。病棟業務の醍醐味は医師や看護師から信頼され、薬のことや患者のことを相談されるようになってくることです。また、薬剤師の職能を最大限に生かし患者の薬物治療に貢献できるという点です。

病院へ転職したい薬剤師へのアドバイス

病院勤務で苦労したことは、人数が多い医師・看護師の中で、小人数派の薬剤師の影は薄くなりがちで、その中で意見を通すことがとても大変だったことです。また、激務の割に薄給であることもデメリットだと思います。

職場は大変忙しかったのですが、その分薬剤師間の連携が強く、人間関係は良好でした。

自己研鑽の機会は多く、医師や看護師と対等に渡り合うために常に勉強しますし、やる気があれば学会参加や論文発表も可能です。ただ、それらのことを刺激的と感じるか負担に感じるかは個人によって違うと思います。

常にステップアップする努力さえ怠らなければ薬剤師として十分職能を発揮することができます。慣れるまでは大変だと思いますが、若い薬剤師の方やキャリアアップしたい方は病院での勤務をお勧めします。