自分で調剤薬局を経営している方でなければ、管理薬剤師となるには既存の店舗を引継ぎしていただくことになります。少数ながら新規開店の店舗で管理薬剤師を任される場合もあるでしょうが、今回は大部分を占めている引継ぎにより管理薬剤師になった場合の注意するべきポイントをまとめていきたいと思います。
行政機関への届け出
この項目は経営者が行っているはずですが、各地区を管轄している保健所へ管理薬剤師が変更となったことを届け出なければなりません。
管理薬剤師の名前が必要な書類
調剤薬局では、さまざまなものに店舗責任者である管理薬剤師の氏名を記載しておかなければなりません。掲示物や必要書類に関しては法的な義務になっていますので、まずはその店舗に必要な掲示物・書類に関して整備しましょう。
業務手順書の責任者や、個人情報管理責任者も多くの場合は管理薬剤師が担いますので、名称変更しておくことを忘れないようにしてください。下記のものはその一部です。
- 薬局又は店舗の管理及び運営に関する事項
- 個人情報保護方針の掲示
- 業務手順書
この他にも地域や時期によって必要な掲示物・書類は変わってきますし、電子薬歴を導入していれば電子薬歴の運用手順書も必要になります。新たな店舗に赴任した際には、店舗内の掲示物や必要書類はそろっているか確認しておきましょう。
調剤報酬算定の確認
調剤薬局は患者の集中度や後発品の調剤比率など、さまざま要因で算定する点数が変わります。新たな店舗に赴任した時には、どういった算定項目を達成していて、なにが算定要件に満たないのかを確認しておきましょう。
多少努力することで経営利益を増やすことが可能な場合も多々ありますし、すでに算定要件を満たした仕事をしているにも関わらず点数算定していない場合もあります。
逆に算定要件を満たしていないのに算定しているケースであれば、返戻依頼しなければいけません。管理薬剤師となったタイミングで一度スクリーニングすることをおすすめします。
在庫状況の確認
調剤薬局は医師の指示に基づいて医薬品を調剤・投薬する医療提供施設です。当然医薬品を備蓄して患者様に投薬することで利益を出しますので、医薬品の在庫状況は重要な項目です。一か月の使用量を確認して過量になっていないか、または不足していないか。不動在庫はどれだけあるのか、きちんと確認しておきましょう。
医薬品を購入する際は、単純に必要な品目を必要な数量買えばいいというわけではありません。包装によって値段が変わることもありますし、使用量によって割引してもらう場合もあります。その店舗特有の契約を結んでいるといった例もあるため、現状の把握をしておきましょう。
店舗スタッフの勤務状況の確認
管理薬剤師は店舗の責任者です。店舗スタッフがどういった勤務形態なのか、把握することが必要になります。営業時間の長い店舗の場合にはシフト制で早番遅番の割り当てがあるでしょうし、休憩時間をどのように割り振るか、残業が発生しないように業務内容をどのように割り振るか、決めておかなければならない事項はたくさんあります。
引継ぎで管理薬剤師となるのであれば、現状のやり方をそのまま続けるだけで店舗は回ることでしょう。しかし、ただ慣習に流されるのではなく、より良い業務方法はないのか模索することが良い管理者というものです。まずは現状把握し、その後に新たな視点を持った管理者として改善できることはないか思案してください。
まとめ
大まかにまとめましたが、以上になります。私が管理薬剤師を任されたのも引継ぎ店舗でした。私の場合には店舗状況を改善するために任命されたため、残念ながら先任の管理薬剤師から十分な引継ぎの情報が得られずに大変苦労しました。
通常の管理薬剤師の変更であれば、十分な情報が先任者から伝えられるはずですから、手探りで状況把握をすることはないとは思いますが、少しでも今回の記事が参考になれば嬉しく思います。