介護老人保健施設で働く薬剤師の仕事内容
介護老人保健施設が、近年薬剤師の職場として注目を集めています。高齢化社会を支える仕事である介護老人保健施設で働く薬剤師。病院薬剤師に似ているその役割と仕事内容を紹介します。
介護老人保健施設の薬剤師の仕事
介護老人保健施設の薬剤師配置義務
介護老人保健施設には薬剤師の配置義務があります。基本的に施設につき1人は薬剤師がいるということですね。もっと突き詰めて言えば、入所者300人あたりに最低でも1人の薬剤師を配置しなければならないという規定があります。
入所者300人の命や施設で過ごす時間の快適さなどが自分1人の双肩にかかっている。「ああ、肩が重たい」と感じる人も多いようです。本当に300人あたりに1人という基準で薬剤師を配置しているところもありますし、2人3人雇っているところもあります。
仕事の忙しさは、施設の薬剤師人数と入所者人数の比率で決まるといっても良いくらいです。
介護老人保健施設での薬剤師の仕事内容
介護老人保健施設では、基本的に総合的な医薬品管理をします。今施設にはどんな薬がどれくらいあるのか。どれくらいあれば良いのかなどを帳簿に記入しながら管理する。管理薬剤師のような仕事内容が主になります。
また、介護老人保健施設で処方されている薬というのは、中には劇薬になる可能性をはらんでいるものが結構たくさんあるので、「数が足りない」となったら大変です。介護老人保健施設にはさまざまな入所者がいて飲まなければいけない薬の種類や分野は人それぞれ。とても幅広い分野の医薬品を扱うことになるため、管理が大変です。
管理するだけでもかなり苦労しますが、人によっては複数の種類の薬を飲まなければいけないという場合もありますよね。高齢者の方はさまざまな症状が併発してくることが多いので、それらに対応すべく複数の薬を服用する人も多い。薬と薬の飲み合わせによって不都合が起きないように気を遣わなくてはいけません。
しかも1人で上記全ての仕事をこなさなくてはいけないということもあるので、介護老人保健施設で働く薬剤師というのは基本的に激務とされています。
介護老人保健施設で働く薬剤師に求められるスキル
介護老人保健施設で働く薬剤師に求められるスキル。その中で最も重要視されるのが、「マルチタスクができるかどうか」です。介護老人保健施設では、さまざまな仕事のことを頭に入れて同時に色々なことを考えなくてはいけないという場面が多々あります。
帳簿記入している最中に、入所者さんの薬の時間が来た。入所者さんひとりひとりによって薬の種類が違うから、あの人はなんだったけと確認しなければいけない。お薬を飲ませてまた管理に戻って・・・。そういったことの繰り返し。
品質管理したり調剤したり入所者さんと関わったり・・・猫の手も借りたいという状況が慢性的に続きます。しかも薬剤師がひとりだけだったという場合は猫の手すら借りることができません。全ては自分ひとりの右手と左手・右足と左足にかかっている。何本手があっても足りないですよね。
そういった状況の中にあっても、正確に的確に仕事をこなしていくことができるというマルチタスクのスキルが最も問われます。基本的に薬剤師がひとりしかいないことが多いので、薬剤師間でのコミュニケーションなどは必要ありませんが、ひとりでもやっていくことのできる力が必要になるのです。
介護老人保健施設での薬剤師の役割
介護老人保健施設での薬剤師の役割というのは、その施設での薬の門番。たったひとりで入所者の服用する薬を管理し、調剤し、入所者ひとりひとりに薬を渡す。介護老人保健施設内で「薬といえばこの人」と思われる存在・・・それが、介護老人保健施設での薬剤師の役割であり立ち居地です。
他の職場でいえば、やはり病院薬剤師に似ているでしょう。服用薬から点滴薬まで、幅広い薬を取り扱い、看護師との連携もとらなくてはいけません。似ていますね。
まとめ
介護老人保健施設で働く薬剤師は、とても激務。基本的に施設にひとりしかおらず、たったひとりで管理から調剤までさまざまな仕事をこなす。仕事をしている様はまるで阿修羅です。
とても大変でしんどい仕事ですが、その分「私しかいないんだ」と強く感じ、やりがいの大きな仕事ですね。