ドラッグストアで勤務している薬剤師のみなさん、お仕事は忙しいですか?
「当然忙しいよ。毎日たくさんのお客さんが来て、接客が追い付かない。」
「お客さん自体はそう多くは来ないのだけど、品出しと発注管理に時間を取られすぎて辛いです…。」
「とにかく忙しくて手が回らない!毎日残業なのは辛い!」
そんなドラッグストア勤務の薬剤師の皆さんに、毎日の業務が少しでも楽になるよういくつか対処法をご紹介させていただきます。
ドラッグストア薬剤師の激務の実態
ドラッグストアも駅前店や郊外店などいろいろな業態があります。
それぞれのパターンに分けて、ドラッグストアがどうして・どのくらい忙しいのか検証していきます。
駅前型店舗の場合
駅前型のお店は、とにかく売り場面積が狭い場合が多いです。
郊外型店舗よりもかなり狭いので、在庫管理はそう難しくない場合が多いです。
薬剤師が管理する医薬品はカウンター内が多く、カウンターの中にある医薬品が欲しい場合はスタッフに都度申し付けるシステムのため、販売スタッフが「これ売れたよ~」と伝えてくれることもありました。
しかし売り場面積の割に来客数が多いです。
通勤・通学中のお客さんが多いため、朝は早く夜は遅くまで混み合うお店が多いです。
また、混雑するからかイライラしている方も多く、そのような方のクレームに捕まってしまうとかなりの時間のロスになります。
「お薬相談カウンター」と銘打ったカウンターに、レジと勘違いして「レジじゃないのか!紛らわしい!」怒鳴りこんで来るお客さんも見たことがあります。
駅前型のお店の場合、主な忙しい原因は「接客の多さ」でしょうか。
筆者は接客ばかりしていると他の仕事が手につかず、閉店後作業に入ることもしばしばありました。
郊外型店舗の場合
郊外型のお店は、広い売り場面積と広い駐車場、客層は地元のおじいちゃんおばあちゃんが多くなるという特徴があります。
売り場面積が広いので、当然商品管理は大変な作業になります。
医薬品も駅前型店舗よりも種類は多く、在庫も多く抱えることが出来ます。
そのため、発注・品出しなども薬剤師が担当することになると、作業に膨大な時間がかかります。
その上接客もこなさなければならないのです。接客を少しでもしていると作業時間が減ってしまうため、筆者はなるべくお客さんに捕まらないようにしていました。(薬剤師としてはどうかと思いますが、そうでもしないと夜までに作業が終わらなかったのです。)
郊外型のお店の場合、主な忙しい原因は「接客以外の作業」でしょうか。
どちらも共通の多忙の原因
ドラッグストアはレジ打ちや品出しなどを行うパートさんが雇用されていることが多いと思いますが、パートさんがどうしても確保できない曜日や時間帯があります。
そうすると、常勤の薬剤師も他の従業員と同じように変わりなくレジに駆り出されることがあります。
当然レジ打ちなどをしていると、お客さんへの応対や医薬品管理業務などは停滞してしまいます。
また品出しに関しては、小売業ですと賞味期限の短いもの(パンなどの日配品など)が優先になるため、品出し要員がお店全体で足りていないと薬剤師もそちらの品出しに呼ばれることもあります。薬の期限はパンなどに比べたらとても長いですからね…。
薬剤師以外の従業員が少ない場合、「レジ打ち」や「雑貨の品出し」などで時間を取られてしまうことが多いです。
どうしたら激務を解消できるのか?
以上に挙げた激務の原因について、1つずつ対処法を解説していきたいと思います。
接客に時間がかかりすぎる!
クレーマーなどはもちろんですが、売り場にいるとお客さんから絡まれるのはよくあることです。
作業をしていると鬱陶しく思ってしまうことも多くありますよね。
しかし考えていただきたいのは、私たち薬剤師は薬を必要としている方に適切におすすめすることが仕事です。
それなので、薬や健康食品関連でお客さんが絡んできた場合は精一杯対応してあげるべきです。
「~の売り場はどこですか?」くらいまでならわかる範囲で案内してあげましょう。
しかしそれ以外の「~を取り寄せたい」「おたくで買った~だけど」「ペットフードはどれがおいしいの?」などの店舗運営的な、また専門外の時間のかかりそうな案件の場合は、いさぎよく他の従業員に投げてください。
専門外の事を無理に対応すると、逆に時間がかかったり、紛らわしくなってしまったりするパターンもあります。
何よりも薬剤師がそのような対応に捕まっていると、その時にお薬の相談をしたいお客さんが来た場合お待たせしてしまうことになりかねません。
私たち薬剤師はお薬の対応は快く受け、その他の対応は他のプロにお任せしましょう。
薬剤師のドラッグストアでの仕事は、あくまでも「医薬品・医療機器のカウンセリング販売」です。
薬の品出しや発注が大変すぎる!
お店が広ければ広いほどこの悩みはつきものです。
駅前店などでカウンター内に管理されている程度ならばそこまで難しくはないかもしれませんが、郊外店では膨大です。
接客の項目で述べましたが、「薬剤師の仕事はあくまでも薬の接客販売」です。
そのため、あまりにも商品の管理量が膨大で管理しきれない場合、パートさんなどに依頼して手伝ってもらうという手もあります。
作業量が多すぎて薬の相談に乗れないというのはドラッグストアに勤務する薬剤師として本末転倒ですので、しっかり接客する時間を作るためにも、他の人にお手伝いしていただくことがいちばんの改善策になります。
なんで薬剤師が雑貨や品出しやレジ打ちをしないといけないの?
日配品の品出しやレジ打ちなどは、薬剤師がやる必要はまったくありません。
薬剤師がその作業をしていることで薬の販売がおろそかになる場合、お店全体としても損失になります。
いくら人が不足しているとは言え薬剤師がレジ打ちをしなければならない状況は、一度エリアマネージャーなどに相談してみた方が良いでしょう。
パートさんの雇用を強化したり、また他店舗の社員を配置したりと運営側の対策を急いだほうが良いパターンです。
それが叶わない場合でも、混雑時レジや品出しをする優先順位は、薬剤師が他の従業員の中でいちばん低くするよう申し出た方が良いと思います。
筆者も一度そのような状況になり、店長やエリアマネージャーと相談して、「レジに入る場合は店全体に『薬剤師はレジにおります』と、薬の相談に来たお客さんが混乱しないようアナウンスしてもらってから入る」というようにしていただきました。
いずれの原因だったとしても、まずは上司に相談しましょう。
激務がどんな原因だったとしても、一度エリアマネージャーなどの上司に相談してみることをお勧めします。
このままだと毎日の勤務が辛い、お休みを頂かなければならなくなりそう…という場合は、そこまでしっかり伝えることが重要です。
薬剤師は相変わらず不足していますので、欠勤されたり退職されてしまうと、次の薬剤師を確保するのが大変難しいため、少し勤務条件を緩和してでも、薬剤師に勤務を続けて欲しいと思うことが多いです。
「辞めることを覚悟で上司に相談」は大変有用な手です。
筆者も9時~21時勤務だった際はさすがに体調を壊してしまい、上司に相談したことがありました。(その後、上司が経営本部にかけあってくれて、改善されました。)
ですので、何が原因でも「上司に相談する」は必ず行った方が良いです。
どうしても環境が改善されないようなら転職を考えるべき
以上の対策を取っても状況が改善されない、または周りの協力が得られない場合は、この会社は慢性的な人員不足か人員配置に大きな問題を抱えている可能性があります。
その場合、店舗勤務の薬剤師やエリアマネージャー程度ではどうしようもない場合がほとんどです。
もう体力は限界…と思ってこのページを見てくださっている方が多いと思いますが、状況が改善されずこのまま体調を崩してしまうのは大変勿体ないことです。
体を壊す前に、「転職する」という選択肢も考えてみていただきたいです。
薬剤師の活躍するフィールドはたくさんありますし、ドラッグストア勤務より激務ではない職場もたくさんあります。
ドラッグストア勤務の方が次のステップとして選択しやすい転職先をご紹介いたします。
調剤薬局や病院
調剤薬局や病院は、診療時間が限られるということです。
多くの病院は18時前後で終わりますし、調剤薬局も長くて19時前後までのところがほとんどです。基本的にドラッグストアよりも勤務時間が短くなりますので、その分体を休める時間が増えます。
仕事内容は調剤が主になりますが、経験が無くても大手の調剤薬局は研修体制がしっかりしているため、無理せずスキルアップすることも可能です。
パートなどの非正規という道
ドラッグストアでの勤務を続けたい場合、パートなどの働き方も選択肢に入れても良いと思います。
パート薬剤師は正社員よりも仕事が軽く、提示が来ればきちんと退社することが出来ることが多いです。
管理薬剤師としての責任が重すぎる場合、いくつかの店舗で掛け持ちしてパートすることで、管理薬剤師から外れることができます。
「作業しなきゃ…。」という重責が激務の原因になる場合、このように週何日かの勤務にすることで肩の荷を降ろすことが出来ます。
パート薬剤師の勤務形態を柔軟に対応してくれる転職先が見つかりそうなら、このような勤務形態もぜひ選択肢に入れてみてください。
激務で悩んでいる薬剤師にはいろいろな選択肢があります!
以上、ドラッグストアにおける激務対策についていくつかご紹介させていただきました。
薬剤師は慢性的に不足しているため、どの選択肢を取っても邪険にされることは少ないと思いますので、ご自身に合った方法がありましたらぜひ実行してみてください。
毎日激務に追われるドラッグストア勤務の薬剤師さんが、これを読んで少しでも将来への対策を練っていただけたら幸いです。
ドラッグストア勤務を継続するにしても、転職するにしても、皆さんがご自身の体調やライフスタイルに合った働き方ができるよう応援しております!