認定実務実習指導薬剤師とは

ご存じの方も多いと思いますが、2006年に薬学部が4年制から6年制に変わりましたよね。6年制薬学部において、病院薬局実務実習という必修の実習があるのですが、その際に実習生の指導・対応をするための人員を病院や薬局に置かなくてはいけなくなりました。

それにより、日本薬剤師研修センターが「認定実務実習指導薬剤師」という制度が始まりました。その役割というのは、薬学生の指導であり、将来の薬剤師業界を担う若者たちの教育の一端を担うことです。

認定実務実習指導薬剤師の人数は、2015年6月30日の時点で、25,594人。そのうち病院で指導を行っているのが8,274人で薬局で指導を行っているのが17,320人となっています。薬局や病院の数に比べると少ないように思いますが、実際の指導業務に関しては認定を受けていなくても行うことができため、少なくなっているわけですね。

認定を受けるのは、病院や薬局で働いている薬剤師であれば誰でも可能です。

認定実務実習指導薬剤師に必要な知識や技術

必要になるのは、人にものを教えるという技術とコミュニケーション能力です。薬学生の指導をするのが認定実務実習指導薬剤師の仕事ですから、物事をうまく教えるスキルというものが最も重要になります。

もちろん、自分自身が薬剤師としての正しい知識や技術を持っているということは最低限の条件になりますが、それをうまく、わかりやすく教えることができるかというのはまた別の技術です。自分が薬学生時代にどんなことを学んだのか、職場での実務経験によってどのような知識や技術が得られたのかなどを再確認しながら、実習生たちに教えていきます。

また、円滑に実習を行うためには、まずは円滑な人間関係を結ばなければいけませんからコミュニケーション能力も大事な要素の1つと言えます。

認定実務実習指導薬剤師になるには

認定実務実習指導薬剤師要請研修の受講資格について

認定実務実習指導薬剤師になるためには、まずは研修を受講しなくてはいけません。そのための受講資格は実務経験や勤務状況などが関わってきています。

  • 薬剤師実務経験が5年以上あること。ただし、6年制の薬学部を卒業した場合は、薬剤師の実務経験が3年以上あれば、前もって研修を受講しておくことができます。それでも認定申請自体は、5年以上の実務経験が無いと行うことができません。
  • 病院や薬局での実務経験が3年以上継続していること

上記2つが最低限満たしておくべき条件で、以下は満たしていたら「なお望ましい」条件です。

■病院の場合

  • 一般病床が100床以上ある
  • 薬剤管理指導業務をすでに行っている
  • 院外処方箋を発行している
  • 一般社団法人日本病院薬剤師会賠償責任保険や、同じような保険に入っている

■薬局の場合

  • 保険薬局
  • OTCや、医療関連用品の販売も行っている
  • 在宅で患者訪問薬剤師管理指導を行っている
  • 麻薬小売業免許を持っている
  • 薬剤師賠償責任保険や、それと同じような保険に入っている

研修について

研修は、「認定実務実習指導薬剤師養成ワークショップ」「認定実務実習指導薬剤師要請講習会」の2つがあります。前者は薬学教育協議会が主催していて、協議会のホームページにて情報を得ることができます。

後者に関しては、日本薬剤師研修センターのホームページにて情報を得ることができます。開催日やどの口座なのか、主催者と開催場所を一括でチェックすることができるので、受ける予定の人は随時チェックするようにしましょう。

講座の内容については、アイウエオカの5つがあります。「ア」は、学生の指導についての研修。「イ」は薬剤師の理念についての研修。ここまではかなり基本的なことで、大学のオリエンテーションのような位置づけのものです。「ウ」は実務実習モデル・コアカリキュラムについての研修で、「オ」は参加型の実務実習はどうやって実施するのかについての研修。「カ」は、薬学教育モデルやコアカリキュラムについての主な変更点や、薬剤師にはどのような資質が求められるかについての話になっています。

認定実務実習薬剤師の活躍の場

認定実務実習薬剤師の活躍の場所は、病院や薬局に限られています。病院や薬局で基本的な仕事を行いながら、実習に来るということになったときに認定実務実習薬剤師としての本領を発揮することになるというわけですね。