腎臓病薬物療法認定薬剤師とは

腎臓病薬物療法認定薬剤師は、2006年に発足された日本腎と薬剤研究会を前身とする日本腎臓病薬物療法学会が設立した認定制度です。

腎臓病の薬物療法に関して、これまでなかなか適切な治療を行うことができていませんでした。腎機能が低下している患者さんに排泄型薬物を服用させることによって有害事象が発生したというケースも多々あり、「腎臓病の患者さんに対する薬物療法の不適切さ」が問題しされていたのです。

そこで発足した上記団体が、腎臓病患者に対して適切な薬物療法を行うことができる薬剤師を育成するという目的でこの腎臓病薬物療法認定薬剤師認定制度が生まれました。

腎臓病薬物療法認定薬剤師は、腎臓病に関する幅広く深い知識を有し、施設内のほかの医療従事者に対して情報提供などを行っていく「腎臓病の薬物療法ならこの人」という立場に立つことになります。その役割と責任はとても重く、その分やりがいもありますね。

腎臓病薬物療法認定薬剤師に必要な知識や技術

腎臓病薬物療法認定薬剤師に必要になるのは、腎臓や腎臓病に関する専門的な知識。腎機能が低下している患者に対して、どの薬物がどんな悪影響を与えてしまうのか。どんな薬物であれば悪影響を与えずに適切な治療ができるのかなどの知識です。

腎臓というのは人間の毒素を体から追い出すために選別をかける器官。体が健康体でいるためにはとても大切な器官です。その腎臓の働きが低下してしまうと、腎機能が健康な患者さんで全く問題がなかった安全な薬だとしても、有害事象が発生することがあります。

そのため、腎臓病の薬物療法というのはとても難しい分野。適切な知識を持って適切な治療を行うことは難しい。ハードルの高い認定資格であると言えますね。

腎臓病薬物療法認定薬剤師になるには

単位履修修了制度

2012年度から導入された制度。日本腎臓病薬物療法学会が認めている学会や学術集会などへの参加を基準単位としていて、一定単位数を取得することが、まず必要になります。

そうして単位を取得し、「単位全部とったよ」と申請した学会員が「腎臓病薬物療法単位履修修了者」と認められる。そこから腎臓病薬物療法認定薬剤師へとステップアップしていくというピラミッド型のステップアップ制度ですね。

認定資格

  • 日本の薬剤師免許を持つ薬剤師であること
  • 5年以上の薬剤師歴と、3年以上の日本腎臓病薬物療法学会員歴があること
  • 5年以上、日本医療薬学会認定薬剤師、日本病院薬剤師会生涯研修履修認定薬剤師であること、日本薬剤師会生涯学習支援システムレベル5以上であること、薬剤師認定制度認証寄稿によって認証された生涯研修認定制度による認定薬剤師あるいは日本臨床薬理学会認定薬剤師のいずれかであること
  • 日本腎臓病薬物療法学会、日本腎臓学会、日本透析医学会、日本医療薬学会、日本薬剤師学術大会などの全国レベルの学会や関連している国際学会で、腎臓病および透析患者の薬物療法に関しての学会発表が3回以上あること
  • 直近5年間で30の自験例の提出
  • 認定試験の合格

試験について

2015年の試験は、2015年8月2日に行われました。会場は、大阪市北区にある北梅田研修センター。大阪のみでの試験で、東京では行われていません。認定費用に関しては、書類審査が10,000円。認定試験受験料が15,000円と合わせて25,000円かかります。

出題範囲に関しては学会のホームページで公開されており、出題形式は多肢選択方式で100問。参考図書には、「腎臓病薬物療法専門・認定薬剤師テキスト」「初心者から専門医までの腎臓学入門第2版」などがあります。前者に関しては日本腎臓病薬物療法学会が編集したもので、後者は日本腎臓学会が編集したものです。

他にも参考図書はホームページに数多く掲載されています。それらの全てに目を通し、講習内容をしっかり理解することが、試験合格への近道になるでしょう。逆に、それさえしっかり頭に入れていれば良いということです。

腎臓病薬物療法認定薬剤師の活躍の場

腎臓病薬物療法認定薬剤師の活躍の場は、腎臓病の治療を行っている病院や診療所、保険薬局などになります。そういった職場で腎臓病の薬物療法に関してしっかりと責任を持つ仕事です。

専門薬剤師になる道もありますし、手当てもつく場合がありますよ。