精神科専門薬剤師とは
精神疾患をわずらっている患者さんに対しての治療を行うチームの一員として、薬物という専門分野を駆使して患者さんに適切な治療をするサポートを行うことが、精神科専門薬剤師の主な役割です。
精神科専門薬剤師は、日本病院薬剤師会が認定し、運営している専門薬剤師のうちの一種。認定者数はかなり少なくなっており、ハードルがかなり高い資格です。精神科専門薬剤師は、その役割からとても高い技術と深い知識が求められます。そのため、試験も難しく、なるための道のりも険しいです。
精神科治療は、とても微妙で曖昧な分野でありながら、現在薬物療法が中心になっています。サポートという役割を持ちながらも、治療の中心的役割も担わなければいけなくなり、とても責任の重い立場です。
精神科専門薬剤師に必要な知識や技術
精神疾患や精神病の数というのは年々増えています。「うつ病」「統合失調症」などの一般的に知られている症状のとても重たいものから、「完璧主義」「依存症」「潔癖」「妄想」「露出症」なども精神疾患の一部とされており、精神科領域というのは、とても身近にあるものなのです。
身近であるが故に、どんどん種類が増えています。増え続けている精神疾患の症状ひとつひとつに対してとても深い知識を持ち、「この症状の人はこういった行動に出る」などの行動パターンなども把握しておかなくてはいけません。
薬物療法をしたとしても、その効果が現れているのかどうかが判断がしにくいのが精神科領域の難点。細やかな表情や動作、言動などから「効果出てるなあ」「出てないなあ」と判断しなくてはいけないので、そういった行動分析なども必要になります。
ただ知識を持っているだけではまったくだめで、実践経験がとても大切になる分野ですね。
精神科専門薬剤師になるには
まずは認定薬剤師から
精神科専門薬剤師になるためには、まずは認定薬剤師になる必要があります。まず最初は一般薬剤師として精神科で実績を積んでいき、講習会などに参加する。条件全てを満たしたら試験を受けて合格したら認定薬剤師になれます。
そうして精神科薬物療法認定薬剤師になってから、さらなる実績と学会発表・学術論文などを盛んに行って、試験を受け、精神科専門薬剤師になる。専門薬剤師は、どの種類もそういったピラミッド式のステップアップ方式になっています。
まずは認定薬剤師の試験を受けるべく、条件を満たすことからはじめましょう。
申請資格
- 精神科薬物療法認定薬剤師であること
- 日本医療薬学会、日本薬学会、日本薬剤師会学術大会、精神化領域の学会、関連の国際学会、全国レベルの日本病院薬剤師会ブロック学術大会で、精神化領域に関しての学会発表を3回以上行っていること。そのうちの少なくとも1回は発表者であること。学術論文は2編以上で、そのうちの1編以上が筆頭著者となっていること。
- 病院長や施設長の推薦
- 日本病院薬剤師会が主催している精神科専門薬剤師認定試験に合格すること
試験について
試験は難しいですが、精神科薬物療法認定薬剤師の試験をくぐり抜けた人にとってはそこまで難しくはないでしょう。合格率は例年60%を超えていてます。他の専門薬剤師に比べれば合格率が高いほうです。
試験内容は講習会の内容が基本になっているため、講習会の内容さえきっちりと頭に入れていれば問題ありません。精神科専門薬剤師の制度は、まだまだ誕生して間もないので、試験問題の例や試験概要などがあまり出回っていないので、気をつけましょう。
精神科専門薬剤師になるには、試験よりも学術論文や発表など、経験や実績を積むということが必要になるので、その点で困難であると言えますね。試験自体は、しっかりと対策していれば問題ないでしょう。
精神科専門薬剤師の活躍の場
精神科専門薬剤師の活躍の場は、精神科のある病院や診療所。うつ病患者や自殺者がどんどん増加している現代において、とても需要の高い仕事です。日本は、経済的に潤っていて苦労している人が少なく見える。でもその分精神面で苦労している人が多く、今後も精神疾患患者は増加していくでしょう。
それだけでなく、精神疾患の種類も増加していくと考えられます。そう考えると、将来性も十分あると言えますね。